本日、17時僕は自宅を出た。自宅から100メートル先にあるコインランドリーに行くためにだ。予定時間は1時間、いつものようにラフな格好で、ヒゲもそらずに、1冊だけ本を持って。
それは僕のありふれた日常で、いつものように1時間後には自宅でくつろいでいるはずだった。
ところが、である。洗濯物を洗濯機に入れて、椅子に座り、『まずは親を超えなさい!』を読み始めて2分くらいした頃、あることに気がついた。
右ポケットにあるはずの家のキーがないのだ。
以前にも一度、キーをなくして、管理会社に連絡した時に再発行には10000円以上かかると聞いていたので、簡単に管理会社に連絡するわけにはいかない。
蛇足だが、6年前に住んでいた栄荘という築40年くらいの家賃4万円台のちっとも栄ていないアパートに住んでいた時は1000円くらいで、再発行ができたが、今、住んでいるマンションはオートロックのセキュリティーがしっかりしているオシャレなワンルームマンションなのだ。
こういう時には、そのセキュリティーのしっかりさ故に高くつくのである。
さて、キーがなくなったとはいえ、幸いにして、僕の行動範囲は自宅からコインランドリーまでの100メートル程。しかも自宅を出てからキーがなくなったのに気づくまで15分くらいしか経っていない。だから、簡単に見つけられる自信はあった。
ところが、何度自宅とコインランドリーを往復してもキーは見つからなかった。ひょっとしたら、部屋を出てキーをかけて、ポケットに入れる時に落としたのかもしれない。
オートロック故にエントランスのロックは開かない。幸いにして1階に住んでいるので外側からジャンプして部屋の前の通路を覗いて見たが、キーは落ちていなかった。
そもそも、キーを落としたのなら音がするはずである。その音で何回かキーを落としたのに気づいたことがある。記憶をたどっても、その音は僕の脳内では再生されなかった。となると、やはり、キーをなくしたのはコインランドリーでということか。
僕は再びコインランドリー内を探すことにした。つづく。