☆☆凍結融解胚移植のすすめ | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

私は、特別な事情がなければ、採卵周期に移植(新鮮胚移植)をせず全例凍結融解胚移植を行っています。日本のクリニックでは徐々にそのような方向になってきています。それには次のような理由があげられます。

1 日本産科婦人科学会のデータベースによると、日本全国の統計で、体外受精の妊娠率は、すべての年齢において、凍結融解胚移植>新鮮胚移植となっています。つまり、同じ質の胚(受精卵)なら凍結融解胚移植の方が成功率が高いことを意味します。この理由は、採卵周期はホルモンバランスが悪いため、着床環境がよくありません。その1例が、採卵前の黄体ホルモン(P)上昇です(2012.12.28「採卵前の黄体ホルモン(P)上昇」)。卵子を沢山採取することと着床は両立できないわけです。
2 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防(2013.1.14「OHSSの予防」)
3 子宮外妊娠の予防(2013.1.17「凍結融解胚移植では子宮外妊娠のリスクが低下」)
4 周産期リスク(分娩前の出血、早産、低出生体重児、周産期死亡)の低下(2013.1.24「凍結融解胚移植では周産期のリスクが低下」)
5 胚(受精卵)の凍結技術の飛躍的な向上:日本が胚凍結技術では間違いなく世界一です。これはビトリフィケーション(ガラス化法)の発達があるからに他なりません。