物価上がってんのになぜ平成28年度の年金上がらないのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

平成26年の物価や賃金の上昇で去年の年金額は上がりましたが、平成27年の物価だって上がってるのになぜ今年は年金額は去年と据え置きが決まったのか。


よく、物価上がったら年金額も上がる…とは聞きませんか?



まあ…間違いではないんですが、平成27年は0.8%の物価が上がったけど、平成28年度からの年金額は上がらなかった。



実は年金額を上げ下げする場合は、あるルールが存在するんです。



この先月末発表の
厚生労働省のホームページ見ると年金額の改定ルールが書いてますが意味がよくわかんないですよね(^^;;


ですが、自分が以下にまとめたルールを見てもらえればわかります。
難しい用語が出てきますがそんなものなんだとスルーしてください(^^;;



67歳年度到達以前の受給権者(新規裁定者という)は賃金の伸び(名目手取り賃金変動率という)で年金額を改定します

これは今年の発表だと、賃金は0.2%下がってます。
だから本来なら年金額を下げなきゃいけない。


68歳年度到達以後の受給権者(既裁定者という)は物価変動率で改定します
去年の物価が0.8%上がってるから本来なら年金額は上がるはずだった。



ですが、ここで、少子高齢化の社会情勢の変動に応じて年金の給付を抑える措置が置かれます
そう。
物価や賃金が上がっても簡単には年金額を上げさせないんです。



これをマクロスライド調整といって、
公的年金全体の被保険者数の減少(少子化)と、平均余命の伸び(高齢化)を数値化(スライド調整という)して物価変動率やら賃金変動率からこのスライド調整を差し引くんです。


少子化が進んで高齢者が増えると、現役世代の負担が増えますよね?
高齢者が減って年金給付が少なくなると、現役世代の保険料負担も減る。



去年のスライド調整は0.9%(公的年金全体の被保険者数の減少0.6%➕平均余命の伸び0.3%=0.9%)のマイナスでした。


しかし、今年は0.7%(公的年金全体の被保険者数の減少0.4%➕平均余命の伸び0.3%)のマイナスでちょっとマイナスが緩和されました。
これは60歳以上の高齢者の雇用見込みが進んで、厚生年金被保険者が増加したためです。

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で、やっとここから本題に入れるんですが、もう単純に以下の年金額を変更する際のルールを見たらわかります。



まとめると、※新規裁定者は、
①賃金(名目手取り賃金変動率の事)が上昇した時。
➡︎賃金の上昇分からスライド調整を差し引いて年金額を改定。



賃金が下落した時に物価も下落
ア…物価よりも賃金の下落幅が大きければ、物価の下落に合わせて改定。

イ…賃金よりも物価の下落幅が大きければ、賃金の下落に合わせて改定。



賃金が下落していて物価が上昇した時。
➡︎前年度の額で据え置き。





※既裁定者は

①物価が下落した時。
➡︎物価の下落に合わせて改定



物価は上昇したが、賃金も上昇してた時。
ア…賃金よりも物価の上昇幅の方が大きければ、賃金の上昇分からスライド調整率を差し引いて年金額を改定

イ…物価よりも賃金の上昇幅が大きければ、物価の上昇分からスライド調整率を差し引いて年金額を変更



③物価が上昇してるけど賃金が下落してる時
➡︎前年度の年金額で据え置き。




という事になり、

去年物価が0.8%上がって賃金(名目手取り賃金)が0.2%下がってますが、上のルールで、を見て当てはめてみてください。
すると、新規裁定者も既裁定者も前年度の年金額と据え置きに当てはまります



ちなみに、平成26年は物価が2.7%上昇で賃金が2.3%上昇していました。
これを使って、平成27年度の年金額を変更したんですが、

上のルールに当てはめてみると、新規裁定者でいうとに当てはまり、既裁定者でいうと②のアに当てはまってるから、賃金2.3%を用いて、この2.3%(1.023)からスライド調整0.9%(0.991)を引いて1.4%(1.014)になりました。


つまり老齢基礎年金を例で言ったら、
平成16年に決めた年金額780,900円✖️(平成26年度改定率0.985)✖️1.014=780,900円✖️0.999(平成27年度改定率)=780,100円(平成27年度価額)



で、今年でいうと、本来で言ったら物価は0.8%上がって、賃金(名目手取り賃金変動率)が0.2%下がってるからなんだか年金額も上げ下げしそうな感じですが、上にまとめたルールに当てはめると前年度の年金額に据え置きになるため、年金額が前年度と変更無しになったわけです。


ま、いろいろと年金は社会の事情で調整されるわけですねー(^^;;



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