500円玉に隠された秘密 | blog.正雅堂

500円玉に隠された秘密

平成12年から発行されている新500円硬貨。

最近では、自販機を見ても「旧500円玉使えます」の文字も少なくなってきた。

この新しい500円硬貨では日本の貨幣史では初めての試みである金属への透かしを用いるなど、徹底した偽造防止策がとられた。
500円の「00」の中に見られる「500円」の透かしは良く知られているが、この硬貨に用いられた偽造防止策はこれだけではなかった。


それはマイクロ文字、または隠し文字とも呼ばれるもので、普通に手にしているだけではぜったに気付くことのできない小さな文字。
1文字が0.18㎜というサイズで、人間の肉眼ではほぼ確認できないと言われている。しかし、文明の進歩はすさまじいもので、市販のデジタルカメラでもこれを接写することができた。そこでこれを紹介してみようと思う。


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この硬貨の表裏にあるマイクロ文字はそれぞれ「NIPPON」と刻印されている。


虫眼鏡で必死に確認しようと試みるが、これは難しい。

そんなものでは焼け石に水、というような感である。


郵趣家の端くれとして、ルーペ位は持ち合わせているが、それをしても難しい。私の郵趣歴は10年前くらいで止まっているので、その当時にこのような印刷技術は特に知られていなかった。短いながらも技術の進歩と言えるだろう。


顕微鏡などがあれば一発で見分けられるが、理系とは全く縁の無い拙宅にそのようなものは無い。デジタルカメラの目が頼りである。

これは今年発行の500円硬貨。早くも2枚が財布に入ってきた。

これをサンプルに見ていくと・・・・


まずは年号のある裏面から。

500円の「5」の上部に「N」が隠されている。

5の下部には「I」が確認できる。新しいはずのコインも接写すると、早くも傷だらけ。造幣局から出荷される時点で、コイン同士がぶつかりあい、既に傷がついているのだ。

500の文字の真ん中の「0」の下部にそれぞれ「P」「P」が確認できる。

拙宅のデジカメの目では、ここまでが限界。

そして1の位の「0」の下部に「O」「N」がある。

偽造防止策とはいえ、市中の商店でこれを見分けることは絶対に不可能である。これが無くても流通してしまうことだろう。


そして、表面にもある。

内閣の紋章である桐の絵が描かれているが、この中央の茎の下部に文字は隠されている。裏面と同じ「NIPPON」だ。


これらは、財務省や造幣局のホームページにも公開されていない、国家としての機密事項の一つに挙げられる。

しかしながら、収集家や専門家の間ではまことしやかに流れている情報であり、実際にはこれだけではない、もっと様々な隠し文字や偽造防止策が施されている可能性はある。


そして、あらゆる手法の偽造対策が込められたこのコインは、発行から3年目の2002年、コインオブザイヤーに(最も革新的なコンセプトの貨幣部門)に入選を果たしている。

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1万円札1枚あたりの製造単価は27.8 円。千円札でも18円と言われている。この新500円硬貨の単価に付いては公開されていないけれども、相応の費用が投じられていることは否めないだろう。



かつて、赤穂藩森家が発行した藩札は享保17年に偽造札が横行し、上方の両替商では扱いを拒否されたり、藩内の領民が他藩の藩札で取引したりなど、その信用度は失墜させたと記録にある。藩では塩田開発のための資金を調達するために膨大な藩札を発行したこともあり、幕末に至るまで慢性的な財政難に苦しむことになる。


藩のレベルならまだしも、これは日本全国で通用する通貨。さらには世界的にも信用度が高くなった円の価値を守るためには、多少高くともできる限りの偽造防止策を施していただきたいものである。


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