自らの表現に光と影があります。
台湾茶を淹れながら、誠実に説明していた自分はいました。他人に向き合うつもりのこの自分は、表現の光と例えます。
初日の茶会に嶋田さんが撮ってくれた1枚です。
どういう蓄積のもとで、限られた時間と空間でこの瞬間を捉えられたかに、思いを馳せてみました。礼奈の豊かな表現力は、私の表現を包んでくれました。
この写真を見て、表現は空気に溶け込み、3回の茶会はそれぞれ風変わりの台湾茶を見せていたと思います。
初日の茶会に嶋田さんが撮ってくれた1枚です。
影のような、重ったくて硬そうな自分で、真面目さも感じられるかというところを、肯定してくれている方々もいます。
目に見えること、見えていないこと、自分の全てを受け入れさせてくれた礼奈の表現力に、私はまた感動を覚えました。
「ルーちゃんは構えるとダメになるタイプだね」
と居酒屋時代のオーナーさんが教えてくれました。
表現の場を見返してみれば、台湾茶を淹れている私はおそらく、「構える」という癖が抜けていないように思います。
ダメになるのは、よくパフォーマンスしようと理屈や計算が入ったからではないかと、オーナーさんの言葉を噛み締めながら自ら原因を探っています。
しかし、理知的に台湾茶を淹れることに慣れたせいか、自ら頭を下げて思考していたこの行動を見て、なぜかホッとします。
思考することは「構える」ことに等しくないと再認識しました。
カメラの向こう側にも、茶席の向こう側にも、自然体を見つけていくヒントとして、これからの表現に生きていそうです。
礼奈の捉えた瞬間のお陰で、表現の質に色々思いを馳せました。
機知的な表情は
生きる喜びを連想させました。
ちょっとした頭の回転は、通用しなくなってきた歳だが、まだ8歳児だった自分の面影に再会できて嬉しいです。
肌で空気を感じることが往々にしてある。
それは触覚といい、温度や肌さわりで感じた情報を判断する。
香りと味で空気を感じたことはあるだろうか。
苔の匂いを連想させる味や、木質系の植物を連想させる味、
または、果物、花。
軽くて上がりそうな味もあれば、
静かに落ち着かせる味もある。
立夏の旬、
あなたの中の空気を探りに、いらしてみてください。
*** 光 の 移 ろ い に 薫 る ***
二十四節気の茶文と写真展
茶・文 張茹涵
写真 嶋田礼奈
会期 2023年5月3日(水)ー5月7日(日)
11時ー18時(最終日17時まで)
場所 lucite gallery
東京都台東区柳橋1丁目28-8