憲法,生存権そしてTEPCO | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

憲法記念日。
Made by USA とかいろいろ言われていますが。
結構ええとこあんねんで!
由来も・・・
今日は,つらつらと憲法関連から拡がります。

全世界で最初で最後の原爆という悲劇により,太平洋戦争が終わり,ひどくよごれた(1945)。
日本国憲法公布はひどくよろこばしい(1946)。
それで,後始末の取りきめは・・・内容はいろいろあるけど,結果としては,遠く来い(1951)サンフランシスコへ!とか言うて呼び出されて。

はい!本題へ!
今回は,読者からのご質問に応える形で行きます。今回はテーマをご提供いただいた形ですが。
(具体的・抽象的な質問・テーマ提供は募集しています。末尾ご覧下さい)

Q(テーマ)
憲法と絡めて,生存権というのが今クローズアップされています。具体的にどのようなことなのですか。

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毎日新聞の報道(↓抜粋)
憲法記念日:護憲派、改憲派が各地で集会
憲法記念日の3日、各地で憲法を考える集会が開かれた。東日本大震災を受け、護憲派は原子力エネルギーの利用に疑問を呈する一方、改憲派は現行憲法では国家的危機には対処できないとの考えを強調。それぞれの立場から議論を深めた。

***引用ここまで***

生存権の話し。
憲法25条。
要は,国は国民が苦境にある時は積極的にサポートする義務がある,というものです。
人権としてのマニアックな分析としては・・・
人権の大部分は「国は~~してはならない」という「禁止」の規定です。
表現の自由であれば,「国は規制するな」「手を出すな」という具合。
国が積極的に「手を差し伸べろ」というのはちょっと変わっているのです。
話し戻ります。

生存権というのは,一般的には,障害・高齢その他のやむを得ない事情により働けない・収入がない,という方に,経済的サポートをすることです。
そう,「生活保護」が典型です。
どの範囲で,どのレヴェルでサポートするのか,は具体的事案として問題になることは多いです。
憲法25条には
「健康で文化的な最低限度の生活」
と,簡素に書いてあります。GHQ草案を訳したのでぎこちないと指摘する方も居てますが。置いといて。

で,今回,これが話題になっているのはなぜか。

震災被災者です。
まだ避難所暮らしを脱せない方も多くいらっしゃいます。
状況によっては「健康」状態も悪い,到底「文化的」ではない,「限度」を逸した低レヴェル,ということで,憲法に反している,という声があります。
高齢者・ご病気をお持ち,などの理由も絡んで,避難所暮らしの間に亡くなっている方もいらっしゃいます。
自宅に戻れない理由も,家が津波で流された,という方も,原発事故の避難エリアに入っている,といろいろです。
国が義務を果たしていないことが理由なのか,東電に責任があるのか,難しい問題が残っています。

とにかく,従来は,生存権が出てくるのは,病気・怪我で働きたくても働けないという類型がほとんどだったのですが,現在は,震災による被害,というケースが膨大に出てきています。
農業・水産業はこれから被害が表面化してくると予想されます。

やはり,今回は,「初」の従来型震災被害 プラス 原発事故の被害 という複合型なのです。

えーと,ここまでで生存権は終わりにして,以下付随トピックに入ります。

原発事故の影響は非常に大きいです。
「法的責任追及」も重要ですが,単純に「原因追及」は重要です。それと「今後の方針(政策)の国民レヴェルでの議論・検討」。

言えること(言いたいこと)
1 原子力発電を日本が導入した時点で,政治先行で「導入」が決まっていた
 ・そのために安全性確保は後回しだった
  →導入後に,運転していた東電・東芝(サポート)のエンジニアは「未完成じゃねーか!GEにつかまされた!」と嘆くことになった。
 ・というか,核廃棄物処理方法が未定!!!(これだけで1冊の本,ですが140文字で済ます!)
  ・平成17年の「原子力政策大綱」(by原子力委員会)というオフィシャルものでも未定とされている(「1-2-7」「2-3-1」あたり;極めつけは「高速増殖炉の商用ベースの導入予定が『2050年頃』←p33。皆さんご想像のとおり「何も根拠はありません」!)。
  ・昨日の参議院議員会館での,原子力安全委員会の1員の渡辺さんのコメント「再処理が必要です。その後の処理については決まっていないんです」が印象的だった。
2 実は,事故の原因は「運転のミス」ではなく「設定のミス」である。
  具体的には,耐震設定が軽い地震・低い津波,しか想定していない。
  言い換えれば,たまには事故が生じる,ことが前提となっていた。
  勿論100%の安全,というのはないのだろう。
  だとしたら,万一事故になった時の想定をすべき。避難訓練もそうだけど。
  もっと大事なのはクリアランス。
  大都市から少なくとも500キロ,できれば1000キロ離すべき→日本では難しい
  前提として,真面目に耐震の設定を決めるべき。結局「日本では難しい」の結論になるが。
3 原発事故時の被害の大きさが「よく分かっていない」
  子供に年間20mSvという設定がどうなのか!おかしいやないか!と思います。
  一旦冷静になって。
  この20mSvの根拠は・・・
  IRCPという国際機関の作っている基準なんですが。
  では,IRCPはどうやって基準を作ったの?これはあまり突っ込まれていないんです。
  T65Dという暫定被曝推定線量,を元にしています。
  この暫定線量って何?
  それは,広島・長崎で被爆した方の実情から,線量とその影響をデータ化したものです。
  なぜ暫定か?
  広島・長崎で被爆した方が受けた正確な線量は分からないからです。
  (その後,改良が重ねられT65D→DS86→DS02とヴァージョンアップしています
  とにかく,原発が日本で始まった1960前後の時期は各種線量規制値の信頼性が低い状態だったのです。
4 5・6号機
  最初,定期点検で停止中だから問題ないでしょ,と思っていましたが違いますよ!
  原子炉内には燃料棒が入っているのです。
  運転してないから熱出てないでしょ?→違いますよ!
  出てるんです。勿論たくさんは熱出てないです。
  ただ,熱の発生はゼロではないです。
  車で言えば,アクセルは踏んでいなくてもクリープ現象でちょこっと進む感じです。
  一定の冷却は必要です。
  では,スグに冷やせるのか。
  冷却水が100度以下で安定したことを「冷温停止」と言いますが,
  5号機 冷却再開から1日+9時間30分かかった。
  6号機 冷却再開から約21時間かかった。
  それなりにハラハラだったのです!
5 東電TEPCOマークの由来(余談的)
  最初,ウラン235の核分裂と思っていました。
  中性子1個がウラン235にぶつかって→核分裂が生じその際→中性子が3個出る
  これですが,明確に東電HPには書いてありません。
  うーむ,と思っていてもう1つ説を思いつきました。
  その名も「増殖炉でプルトニウムを作る場面」!
  (高速)中性子1個がウラン238にぶつかって→ウラン239になり電子1個放出→β崩壊を2回繰り返す際(ネプツニウム239経由)→電子2個が放出される→プルトニウム239
  この新説だと,中性子1個を投入→電子3個を放出,で動画ロゴの動きに合う。
  中性子と電子は大きさが全然違うけど。

後半テーマから外れっぱなしで失礼!

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