判決のミスを法務局が救済~判決による登記~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 不動産を友人から買いました。
  しかし登記申請に協力してくれません。
  どうしたら良いでしょうか。

これはえげつない!
でも友人・親戚同士だと結構あるのです。
「登記後回し」のまま長期間が経過→何かの理由で仲が悪くなって意固地になる
というケースが。

誤解ありがち度 1(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

↓いろんな弁護士の意見が読める↓
↓↓クリックをお願いします!↓↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

A 判決を取れば,登記できます。先行して,仮処分登記を行う方法もあります。

売買など,契約当事者が複数いる場合は,全員揃わないと登記申請ができません。
一般的には,当事者全員が司法書士に委任状を渡すという形です。
登記してくれない場合は,訴訟を提起して,判決を出してもらえば,結果的に単独で登記申請ができます。

また,妨害的に登記を別の人に移転されそうだ,という時は,登記を不正に動かせないよう,「処分禁止の仮処分」という仮登記を入れてもらう方法もあります。
その場合,訴訟本体とは別に,裁判所に保全の申立を行うことになります。
  
実際によくあるのは,判決ではなく訴訟中に「和解」で終わるパターンです。
勿論,和解調書でも単独申請が可能です。

最後に注意点!

判決主文・和解条項で登記上問題の生じる表現になっていないかをよく確認すべきです。

当事者も裁判官も気付かずに,「問題ある」判決書や和解調書が作成されることが昔から続いています。
弁護士も裁判官も,登記の基本的なルールについて良く知らないことが多いのです。ホンマですよ。

ヴェテランの弁護士のアンケートでは「登記できない判決や和解調書をもらったことがある」のマルの割合は多いです。
アンケート取ったことはないですが,周囲のヒアリング結果によって。

「登記の基本的ルール」に行きます。

所有権移転であれば,所有権移転の年月日と,その原因,例えば「売買」とか「贈与」とか「相続」などが明記されている必要があります。
「登記原因」「原因日付」とか呼んでます。

仮に表現に問題があれば,裁判所で「更正決定」によって直してもらうか,法務局の方で「大目に見てもらう」かのどちらかで対応することになります。

裁判官がプライドからか,「直さへんで!もう作ってもーたんやから。法務局で受け付けてもらってくれ」とか言うこともあります。
一方法務局。「んー,そうねー,よくまちごうてしまうんよねー」とか優しく言いながら救済措置を発動してくれることもあります。
法務局の救済事例は次のとおりです。

・登記原因・日付が書いてない
 →「平成※年※月※日判決」として受理する(昭和29年5月8日民事甲第938号民事局長回答)
・登記原因が「売買」だが,原因日付が不明
 →「年月日不詳売買」として受理する(昭和34年12月18日民事甲第2842号民事局長回答)
・登記原因が「時効取得」だが,原因日付が不明
 →救済不可!「年月日不詳時効取得」とすると,時効の起算点が明らかでないからNG(登記研究434号146頁)
・登記原因・日付不明
 →ケースバイケース。「年月日不詳判決」として受理された例があるらしい。

最後のとこですが。
不動産登記は,長期間放置されている,というか動きがなかった,ということがよくあります。
建物の新築当時の所有者を確認することもあります。
ものすごい古い登記を確認することがあります。
ふるーい登記を見て思うこと。

昔は緩かったんやなぁ。

ニックネームによる登記とか,字が間違っている,とか,達筆過ぎて読めない,とかが結構あります,経験上。


Q(質問やテーマ提供)を募集しています!
↓のホームページから,相談と同じ要領でメールやフォームでお送り下さい。
ご質問者が特定されない形で,ブログ・ホームページのQ&Aコーナー等でトピックとして使わせていただくことを前提と致します。
PCのホームページ
モバイルのホームページ


震災関連法律相談Q&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
不動産登記の無料相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
http://www.mc-law.jp/yoyaku.html
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030