未払い残業代の遅延損害金~%は3つある~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 前回,残業代未払いに対しては「付加金」が加算されることがあるということを読みました。
  これとは別に利息のようなものは付かないのでしょうか。

「遅延損害金」と,正式には呼んでいます。ありますよ。
これも,掘るとちょっと深いです。ミニトピックの割には。

誤解ありがち度 4(5段階)
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A 「利子」という形ではないですが,遅延損害金が加算されます。

ちょっとだけ深いので駆け足で行きます!

遅延損害金の利率。

1 退職後は年14.6%
2 退職前
(1)勤務先が個人事業主・株式会社などのノーマルケース
   年6%
(2)勤務先が公益法人などの「非営利」の場合
   年5%

結構,この「結論」,知らない人が多く居てます。
ちょっとだけややこしいのです。
でも知らないでいるとそのまま進みます。
裁判でもそう。
裁判では,裁判所は当事者にヒント与えてはいけない(原則)というルールがあるのです。
そう!教えると逆サイドの方から「不公平だ」「助力してる」と言われてしまうので。

内容に戻ります。

退職日以降の遅延損害金のルール。

賃金の支払の確保等に関する法律6条1項
第6条1項  事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあつては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかつた場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年14.6パーセントを超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

ってことは,政令を見ると,14.6%以下のパーセントが書いてあるのか。
あ,でも,「政令」でググっても出てきません。きっと。
こんな名前です。「政令」の正体は↓

賃金の支払の確保等に関する法律施行令。

第1条に早速書いてます。

第1条  賃金の支払の確保等に関する法律 (以下「法」という。)第6条第1項 の政令で定める率は、年14.6パーセントとする。

14.6%以下とは思ったけど,丁度,というか最大の,というか14.6%。
そのままやん。
わざわざ隠すようなハイパーレファレンスを貼っといて,飛び先見たら同じ数字て!
法律はこういうの好きなようです。
コード(プログラム)組む人の間では「スパゲッティ」と悪い意味で言われます。
パスタ自体がネガティブではないです。イタリーとの国際問題には発展しません。

話し戻ります。

次に,在籍中の期間の遅延損害金の%に行きます。

商法
第514条  商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年6分とする。

「商行為」って何?ってことですが。
翻訳します。
「利益を求める者(法人・個人)との取引」

さらに
「利益を求める者」=「個人事業主・株式会社etc」です。
普通の勤務先はこれですよね。
ですから,普通は6%となります。

「利益を求めない」会社があるのかよ!?仕事はボランティアじゃないんだから!
とお叱りを受けそうです。

これがあるんです。
ボランティアが仕事って会社(法人)が。

公益法人 です。

この場合は,ちょっとだけ%のディスカウントが行われます。

民法
第404条  利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする。

と,1%割引で5%となっています。
民法だけは明治生まれと古いので「パーセント」ではなく「分」なのです。ワリブリンのブ,です。
明治生まれ言うてもカールと兄弟ではありません。

構わず次。

以上は全部ウソ!とは言わないですが。

仮に,勤務先と従業員でルールを設定しているとそちらが優先です。
とは言っても,就業規則や給与規程なんかで,「未払いしたら年☆%」とか書いてあることはほとんどありません。

さらに。

実務上,裁判→判決 まで行かずに代理人の交渉で示談成立!ということが多いです。
そのような場合は,双方細かいもの含めていろいろ「譲歩」します。
その譲歩の一環として,遅延損害金をカットすることもあります。

それと,以上の「遅延損害金ルール」は,未払いの残業代だけではなく,各種手当などの「賃金」カテゴリのものはすべて含みます。

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