養育費の一括払い→追加請求~養育費一括払い×税務~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
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Q 離婚後の養育費について,「月々」ではなく,将来の約10年分を一括で支払いました。追加で要求されることはないのでしょうか。

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A 「養育費の変更」として,追加の請求が認められる可能性があります。

【養育費の一括払い→追加請求】
Q離婚後の養育費について,「月々」ではなく,将来の約10年分を一括で支払いました。追加で要求されることはないのでしょうか。

A「養育費の変更」として,追加の請求が認められる可能性があります。

理論的には,父母(=扶養義務者)において,養育費を合意した場合,「支払い方法(何か月ごとに支払うか)」に制限はありません。
将来分を一括で払う,ということもあり得ます。
一般的な債務であれば,一括で全額を弁済すると,債務は消滅します。それ以降に請求を受けることはありません。
この当たり前のことが,養育費の場合は適用されないことがあります。
元々,養育費というのはリアルタイムで,父母の経済状況の変化や子供の養育に必要な金額の変化などに応じて,金額(分担額)を調整する,という性格があります(民法880条)。
養育費を一括払いした場合でも,ケースによっては,「事情の変更による増額」が適用されます。
そうすると,結局,一定額の追加が必要,ということになることも生じることがあります。
ただし,このように変更(増額)が認められるためには,合意時(審判時)には予見できなかった事情が生じた,ということが条件です。
例えば,単に支払いを受けた側の親が,計画的な支出をせず,早めに使い果たしてしまった,というだけでは,変更(増額)は認められません(後掲裁判例)。
なお,実際に子供が経済的に困窮している場合,実際問題として,救済せざるを得ない,ということになる,という問題は防げないでしょう。

[民法]
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第八百八十条  扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

[平成10年 4月 6日 東京高裁 平9(ラ)2110号 子の監護に関する処分(養育費)審判に対する即時抗告事件]
 本件当事者間においては、既に調停によって抗告人が負担すべき養育費の額が合意されて抗告人はその金額を支払済みであり、調停によって定められたもの以外には何らの金銭請求もしない旨の合意が成立している。しかし、民法880条は、協議又は審判で扶養の程度や方法を定めた後に事情の変更が生じた場合には、先にされた協議又は審判を変更することができる旨規定しているのであるから、前記調停の成立後に、調停時には予見できなかった事情の変更が生じたことにより、調停で定めた養育費の額が事件本人の生活の実情に適さなくなり、新たに養育費を定めるべき相当な事情が生じた場合には、相手方から抗告人に対する養育費の請求が許されることとなる。
 そこで、このような事情の変更が生じているか否かを検討するに、相手方は事件本人が中学校を卒業するまでに抗告人から養育費として支払を受けた1000万円を使い切ったと主張するが、その大半は私立学校の授業料と学習塾の費用であるところ、離婚調停における前記合意よりすれば、相手方は受領した養育費を計画的に使用して、養育に当たるべき義務があるものと解すべきであり、相手方において、事件本人を公立の小中学校に通学させ、学習塾の費用を節約すれば、抗告人から支払を受けた1000万円の大半は使用せずにすみ、事件本人に高等教育を受けさせる費用として使用することが可能であったと考えられるのに、小学校から私立学校に通わせると共に学習塾にも行かせたものである。相手方は抗告人が小学校から一貫して私立学校での教育を受けていることから、事件本人にも私立学校での教育を受けさせるのが相当であると主張するが、前記認定のとおり、当事者間において相手方がその責任において事件本人の養育に当たる旨の合意が成立しているのであり、抗告人は事件本人の養育の方法について具体的な希望を述べた形跡はないのであるから、事件本人の養育方法については、相手方の資力の範囲内で行うべきで、これと無関係に私立学校に通学させるべきものとは認められない。また、私立学校の授業料や学習塾の費用がある時期から急激に高騰したといった事情は認められないから、相手方としては、事件本人を私立学校と学習塾に通わせた場合には、高等教育を受ける以前に抗告人から支払われた養育費を使い尽くすことは当初から容易に予測可能であったと認められるのであり、これを補うためには、相手方自ら稼働して養育費を捻出するか父親からの援助を得ることが必要であったと考えられるが、相手方は離婚後就労状況が安定していないし、家業は父親の存命中から不振続きであったから、これらによって養育費を補填することは当初からあまり期待できない状況にあったと認められる。
 以上の事実によれば、前記の調停成立後にその内容を変更すべき事情の変更が生じたとは認めることはできず、事件本人が、既に就労可能な年齢に達していることを併せて考慮すれば、相手方の本件養育費請求は理由がない。

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