今、私は城崎アートセンターにいます。児童青少年演劇協同組合の大会です。
私個人は、会員ではないのですが、そこで行われている日大の西田豊子先生の戯曲講座の講師メンバーの一人なんです。フリーの私にとっては貴重な機会です。
しかしですねえ、稽古場を抜けて来ているので、心が浮遊しています。
そして、ほんまもんの、大雪がざんざん降っています。
４０年ぶりの寒波が来るその北国にいます。温泉街は真っ白。
昼に太陽が出ていたので甘く見てたら、あれ～～～
来る時も、伊丹ー但馬間は欠航だったので、速攻、伊丹空港からモノレール、宝塚線で宝塚に出て、特急コウノトリ５号に飛び乗ったのですが、月曜の帰京も多分、欠航が決まるまでやきもきしなくてはいけなそう。
特急コウノトリで宝塚から城崎まで福知山線で行く間、陰鬱な山並みを見続けていました。
冬というのはある種、全てが枯れて山肌が見えてくるので、壁のような山が続くとまるで、
谷間をずっと進んでいるようにおもえます。山の路をあまり見ることのない私には、ああ、
ここで飢饉になったらどないして生きていったらええのやろ？と思うのです。
特急は、福知山で山陰本線と合流します。福知山の向こうは綾部があります。
ここは、大本教の聖地。出口なおという５６歳の極貧の女が、神がかりをした場所です。「三千世界の建て替え」を唱え、複数の神が彼女に降りたのです。生真面目で働くことだけが取り柄な女は、嫁いだ家が零落し、放蕩ものの夫を亡くし、家財産全てを亡くし、娘を狂死、餓死で失い、その結果、神の声をある日聞きます。
天保７年の天保の大飢饉中に生まれ、明治25年に神がかりするまで、彼女は安心や幸福という豊かさと無縁でした。大きな産業も無い綾部では生糸や木綿を生産していましたが、明治と共に更に苛酷な経済状況となったその地方では、貧窮、発狂、自死が相次いだそうです。
「獣の世」「我よしの世」彼女の言葉に込められた世間への恨みは凄まじいものがあります。家も畑も失った彼女は、夫を亡くすと、幼い子ども達を家に残し、「綿繰り」「ぼろ買い」に何日も出かけ、ようやく生き延びる金を手にして家に戻る日々が続きました。ある日、戻ると幼い子共が一人、餓死していたのです。
山肌を眺めながら、寒さにぶるぶるしながら、出口なおの苦難を思ってぞっとしました。凶作や相場の暴落によって、餓死者、身売りあまたあり、家族が離散し死んでも弔いもなく、疫病にあえぐ社会。それは戦争を産んだ時代です。日清戦争に勝って台湾を手に入れ、その植民地へと人々が繰り出していく社会。それが明治の近代化の途中の景色です。
そこから、ひと眠りしてふっと気づくと「八鹿」でした。
これは「ようか」と読みます。古い人は「八鹿高校事件」という最悪の事件をご存知でしょう。
西田先生は、20代後半の若きフリーライター時代、その事件の取材で出石や和田山に滞在したそうで、様々な当時の話をしてくれました。地元で正常化の為に立ちあがった青年らと語り合ったという話、八鹿高校の生徒会長の話、本当はもっと知っている人がいても良いのではと思います。
新宮公演の為に、私と一緒に新宮まで談判に行ってくれた西田先生ですが、彼女の熱きハートはもう40年以上、燃えっぱなしです。見習わなくては～～
分からない方には、何のこっちゃですが、八鹿を通ったので走馬灯でした。
そしてひと眠りしてしばらくすると、豊岡の盆地へと空が開けて来ました。円山川のだっぷりとした流れと雪景色が北国です。私は遠州の生まれで雪にはとんと縁がなく、雪はほんとに美しいのですが、うまく歩けません。しかし雪国の豊かさや文化の深さというものに憧れるのです。コウノトリもいるそうな。
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さて、「プロキュストの寝台」はものすごい沢山の役があります。みんなで、手分けじゃありませんが、あれやこれやです。
水野ゆふさんは、神がかりが凄いです。神がかりに掛けてこの女優さんの右に出るものは居ないのではないか！！！という神がかりです、ご期待を。
そして、村役人である村方さんの徳兵衛さんは、次には地獄の亡者になり、ある人は、ドジョウ掬いを踊りつつ、青年を演じという、まあすごいアンサンブルなんです。
女優さんも女の役ばっかりではありませんよ。ああ、ほんとにまったく、書くのはいいけど、やるほうは大変です。いつも、メメントの衣装を担当してくださっている中村さんが今回、Pカンパニーに参加しています。衣装点数の多さは半端ないですね。
そして髪の毛！女優さんは、素晴らしく上手に日本髪を結えるようになりました。男優は？？さあどうするどうする？？お楽しみに！
