一言 | ぽやぽやエブリデイ

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ドラクエ10などのWeb世界で、世知辛い世の中を憂い

それでいながら眠気には勝てない毎日を繰り返していきます。

ミソスープの具は豆腐とワカメ!!

特撮やアニメの歌が好きです。スライム状のものは嫌いです。

先日、ルームチャットで私が発した衝撃の一言を写真に収めたので、忘れないうちに貼っておきます。


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現実とリアル!!!



【小説連載プロジェクト ガラスの瞳のクラルス 第2話】


当ブログで連載中のネット小説、「ガラスの瞳のクラルス」、ご好評を頂いております。


バックナンバーはこちらから!! 


第1話 【 1234 】 第2話 【 1 】 挿絵 【 1234



シティにうごめく悪魔の影……暗躍する組織!


クラルスとザインはどのようにしてそれらに立ち向かうのでしょうか?



『ぽやぽやエブリデイ 本格ネット小説連載プロジェクト』



【ガラスの瞳のクラルス】



(6) 第2話 中編・1=



「まるで娘をとられた親のようだな」


爺にそう言われ、彼の古店のカウンターに腰を下ろしたザインは顔を上げた。


そしてシルクハットをかぶり直し、もごもごと呟くように言った。


「いや……まぁ、な……」


「いいじゃないか。そもそも日常に関与しないという方針だったはずじゃ」


「それとこれとは別の問題だ」


「どう別なんじゃ?」


「…………」


少し押し黙った後、ザインは言った。


「人間ではない。『あれ』は、人間のように見えるが、ヒトではない」


「…………」


「本質的には、悪魔に似たようなものだからな。いくら体面上人間を取り繕っていても、邪悪であることに代わりはないよ」


「割り切ってるな……まぁ、それくらいでないとやってはいけんのだろうが……」


爺はくわえていた葉巻をつまんで、フーッ、と煙を吐き出すと続けた。


「どうしても気になるというなら、フォーマットすればいい」


「…………」


「新しい魂などいくらでもあるぞ。何もあの娘に固執する理由は……」


「理由ならあるんだ」


ザインはコートのポケットに手を突っ込んで立ち上がると、数歩進んで壁にもたれかかった。


「ほう……」


「最も、あんたに話す義理はないけどな」


「聞きたくはないようなロクでもないことであることは察せるよ」


「察してくれて助かる」


呻くようにそう言ってから、彼はポケットから手帳を取り出して広げ、呟いた。


「そろそろか……」


「ん?」


「いや、応援を中央に要請していたんだが、それが到着する時間なんだ」


「ふむ……魔導人形と魔導士か?」


「違う」


爺の言葉を否定し、ザインはどこか暗い表情で小さく笑った。


「今話題の、ダンサーを呼んである」



シティ中央の酒場で、十人ほどの衛兵に囲まれ、クラルスは面白くなさそうな顔で、オイルの入った給油瓶のストローを噛んでいた。


目の前のテーブルには数々の料理が並んでいる。


隣にはデューイが座っていて、彼らを囲むように衛兵たちが椅子に座り、酒をあおっていた。


「それで、毎回思ってたんだが、クラルスちゃんはどうしてあんな力が出るんだ?」


衛兵の一人がニコニコしながら口を開く。


クラルスは感情の読めない目を彼に向けた。


「いや、何。単純に凄いと思ってさ。悪魔の攻撃を受けても傷ひとつつかないなんて、かっこいいさ」


「傷ならつくわ。人間と同じ」


小さな声でそう言うと、意外そうに衛兵たちは顔を見合わせた。


「それって、すぐ直せるのか?」


「直してもらえる時もあるし、直してもらえない時もある」


「痛みとかってあるの? 随分毎回激しく戦ってるけど」


矢継ぎ早に質問を投げかけられ、クラルスはふぅと息をついてストローから口を離した。


「痛みなんてないわ。私には、あなた達が頬張ってる料理の匂いも、温かさも、味も何も分からない。満足した?」


冷たくそう言われ、口を開いた衛兵がバツが悪そうに鼻を掻いて口ごもる。


そこでデューイがフォローするように横槍を入れた。


「まぁまぁ。こうやってお近づきになれたんだし、徐々に仲良くなっていけばいいさ」


「…………」


しかめっ面をしているのか、膨れているのか、よく分からない顔でクラルスはテーブルの上を見つめていた。


彼女の脇の椅子に乗せたバスケットから、キョロが首をのぞかせて周りを見回している。


「クラルス・ウィルハンテード嬢に乾杯!」


「乾杯!」


デューイの酒に任せた号令に続く衛兵たち。


クラルスはまたひとつため息をついて、そこでふと頭を抑えた。


「く……」


呻いた彼女を見て、酒を煽ろうとしていたデューイが手を止める。


「どうした?」


「…………」


クラルスは瞬きすることもなく、真っ直ぐに、誰に言われたわけでもないのに酒場の隅っこを見つめていた。


一瞬。


ほんの十分の一秒ほど。


そこに、黒いシルクハットに、黒のマント。


そして黒いメガネをつけた少年の姿がうつった気がしたのだ。


次いで、その脇でカウンター席に座って酒を飲んでいた男性が、不意に震えだした。


ガクガクとグラスを握りながら痙攣し、やがてグラスが床に落ちて、パリンッ! と乾いた破裂音を立てる。


「お客様、どうされました?」


心配そうにバーテンダーが声をかける。


男はそれに答えようとして、次の瞬間、ぐるんと白目を剥いて床に倒れ込んだ。


突然のことに酒場が一瞬シーンと静まり返る。


次の瞬間、デューイ達衛兵が、腕につけていた腕時計のような数値計測器を見て顔色を変えた。


「悪魔指数だ! 全員この建物から避難しろ!」


衛兵の一人が叫ぶ。


酒場にいた人々が、間髪をおかずに我先にと出口に殺到する。


クラルスはかろうじてキョロをバスケットからつかみ出したが、人混みに押されて突き飛ばされ、ゴロゴロと床を転がった。


倒れこんだ男は、うつ伏せの姿勢のまま体を痙攣させていた。


やがてその背中が、まるで虫が脱皮するかのように、スーツごとバリンと破れた。


そこから、噴水のように血液が吹き上がり、慌てて起き上がろうとしたクラルスの顔を汚す。


キョロが、彼女の腕の中で毛を逆立ててフーッ! と唸った。


血液の奔流はすぐ止まったが、そこからズルリとアメーバのような黒い物体が這いずり出てきた。


赤い眼球が二つ、中央にくっついているだけの、スライム状のモノ。


それが触れた周囲が、グズグズの沼のようになり沸騰を始める。


「悪魔……!」


「クラルス!」


「キョロをお願い!」


駆け寄ってきたデューイにキョロを押し付けると、クラルスは耳元のヘッドフォンのスイッチを入れた。


「ザイン! 悪魔が出た!」


『こちらでも感知済みだ。そこはボイラーも近い。冷静に撃退しろ』


「空間汚染を使ってる。第十三タービンを解放しなきゃ……」


そこまで言ったクラルスは、衛兵達が槍を構えて、悪魔に対して突撃をかけようとしているのを見て、慌てて大声を上げた。


「駄目!」


『クラルス、どうした!』


答える間もなくクラルスは地面を蹴って走りだした。


そして今まさに悪魔に対して槍を突き立てようとしていた衛兵に体当たりをする。


悲鳴を上げて床を転がった衛兵から視線を離すと、スライム状の悪魔が、いきなり剣山のように鋭い針を四方八方に体内から突き出したのが見えた。


「……う……」


顔をしかめて、クラルスは頭を守った右腕を振って飛び退った。


針の一つが右腕を中ほどまで貫通していた。


次の瞬間、彼女の二の腕から先がボコボコと泡立ちはじめ、たちまちドロリと液状になり溶解した。


「腕が……」


『やられたのか? 第十三タービンの解放を承認する。封印を……』


「右腕をやられた……左腕で封印は無理よ……!」


押し殺した声をクラルスが返す。


ザインが一瞬言葉に詰まり、歯噛みした時だった。


「これが噂の魔導人形……? 期待外れね」


酒場の入り口から、妙に澄んだ甲高い声が響いた。


遅れてシティにサイレンが鳴り響く。


「対応が遅い……アナウンスが鳴る前に終わらせる!」


黒いシルクハットに黒いコートを着た、クラルスと同じくらいの背丈の少女が、腰に手を当てて仁王立ちしていた。


年の頃は十四、五くらいだろうか。


彼女は背丈に似合わない格好を翻し、地面を蹴るとためらいもなく悪魔に向かって走りだした。


「何してるの! 下がりなさい!」


クラルスが慌てて声を荒げる。


「下がるのはあなたよ!」


少女はそう怒鳴り返すと、ポケットから小さな安物のライターを取り出した。


それを見たクラルスの顔色が変わった。


ライターの脇に彫刻で、魔法陣が描かれていたのだ。


「全員ここを離れて! 今すぐ!」


まだ槍を構えていた衛兵たちにそう叫ぶ。


それと間髪をおかずに、少女はライターの着火ボタンを右手の親指で弾いて、小さな火を点けた。


「踊れ、ケツァ・ル・コアトルズ」


ライターの炎を大き横に振る。


途端、小さな炎が一気に燃え上がり、巨大な豪炎の竜巻となって少女を取り囲んだ。


そして酒場の屋根を吹き飛ばし、幾十の炎の弾丸のようなものが、そこから分裂して悪魔に躍りかかった。


踊るようにライターを振りながら、彼女はカウンターに駆け上がった。


「アタック!」


ライターの炎を悪魔に向けて強く叫ぶ。


次の瞬間、炎の竜巻が渦を描いて悪魔に突き刺さった。


それはギュンギュンと音を立てて黒いスライムに吸い込まれていき……やがて、悪魔は風船のように膨張して、数秒後、炸裂した。


「フィニッシュ!」


ライターの炎を下に振り、少女はダンスの締めのような動きで、悪魔に背を向けた。


周囲に爆炎が飛び散った。


豪炎、轟音。


シティの天井に届かんという勢いで、火の柱が吹き上がって、酒場の中のありとあらゆるものを吹き飛ばした。



「……あら」


燃え盛る酒場から悠々と足を踏み出して外に出てきた少女は、ざわめく周囲の中、地面に崩れ落ちたクラルスを冷めた目で見た。


クラルスは、抱えていた逃げ遅れた衛兵を脇に投げ出し、背負っていたバーテンダーを振り落とすと、その場に膝をついた。


「こんな人の密集地帯で召喚術を使うなんて……」


押し殺した声でそう呟いたクラルスに、少女はライターを放り投げてパチン、と手に取り火を消してから、馬鹿にするように鼻を鳴らしてみせた。


「人間もどきに注意されたくないわね」


「教会の退魔師じゃない……あなたは……」


そこでクラルスはガクガクと体を揺らして、機械音を立てながら崩れ落ちた。


「あれ……?」


「クラルス、どうしたんだ! おい!」


デューイが駆け寄ってくる声が聞こえる。


『損傷が酷い。一時的に全機能をシャットダウンする』


ザインの冷静な声。


クラルスは歪んでいく視界の中、侮蔑するように仁王立ちになってこちらを見下ろした少女を見上げた。


しばらく睨み合い。


そしてクラルスの意識は、闇に落ちていった。



To be Continued....!!  (次回へ続く)



【DQX 弾き語りライブ】

毎週月曜日開催予定です!!!


ぽやぽやエブリデイ


リクエストなどがありましたら遠慮なくくださいませ~。


覚えていたら即、知らなければ練習してきます。


次回 9月23日(月) の23:00~0:00まで、鯖21グレン宿屋前で!!】



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