11月になったので、皆様に頂いたテーマで、とりあえずこちらから書いていきます。





瞼は視界を覆う程垂れ下がっていて、まるで焼き過ぎて破裂した後のでろんと伸びた餅のような状態になっている。


鼻は見事な程にんにくで、歩く度にぶるんと揺れる。


肌にはまるで、夜空に浮かぶ星のように、いや、お好み焼きに混ぜられた紅生姜のように、無数のニキビが散りばめられている。


これは中国に伝わる妖怪の事ではない、僕とコンビを組んでいる桝本君の事である。


数年前、前の相方と解散した僕は桝本君に誘われた。


『次組む時は本当に出来る人と組みたいと思ってる。』


そう断った僕に対して、桝本は平然と言い放った、


『そりゃよかったわ。俺も全く同じ事考えててん。』


結果、スカウター越しに見ると、前の相方と能力値が全く同じの、いや元気の数値だけは前より数倍高い相方が誕生したのだ。


ただスカウターの数値なんてのは、所詮現在地を計るものでしかない。


感が悪くて、下手くそな桝本君の台本は、稽古が終わる頃には注意点や動き方、キャラの喋り方などが細かく書き込まれ真っ黒になっている。


重要なのは強いかではなく、強くなれるのか。


更に言えば、もし相方が弱いのであれば僕が強くなればいいだけの事である。


誘ったのは桝本君でも決めたのは僕なのだ。


相方が悪いから駄目だったとか、もっと出来る奴がいるからそっちにしようではいつまで立っても本物になれないような気がする。


僕等はコンビなのだ、そりゃその比重を数値で表せば、あくまで数字に置き換えるなら、通常はそんなサービスないですけど今回だけ特別数値化しますね。


と言うのなら、僕の方が上かもしれない。


けれど一緒にやると決めた以上、そこにはもう誰の責任も、誰のおかげも存在しない。


それがコンビであり、相方という存在なのである。



例え売れても、このまま全く売れなくても、その覚悟だけは持っておかなければと思ってます。