ITベンチャーにて、人事担当、メンタルヘルス責任者を担当している方(男性)からメッセージをいただきました。

仕事上、何人ものメンタル不調の社員を見てきた、現場の事情をよく知る人の意見として、たいへん貴重と思いますので、了解を得て、紹介したいと思います。(他のブログへコメントされた意見も含まれています。)


この方の仕事は、主に、休職になった社員の復職支援、再発対応、そして転職指導など、1年2年がかりになることもしばしばだそうです。

うつ病は、誰でもかかる病気だが、休職して薬で治る……そんなものではないと言います。

簡単なメンタルチェックの検査のあと、気になる社員に念のため、街中の心療内科を受診してもらい、その後の報告を聞くと、多剤併用の処方、翌週から2ヶ月の休職診断書。


「それって、どうみてもおかしいでしょう。

来年秋から、厚労省はさらに、各企業にメンタルヘルスの配慮を義務付けると報道しています。医者と製薬会社だけが、儲かるために、メンタル不調という名のもとに、会社からほぼ正常な人間を排除していくことが本当に正しい配慮なのでしょうか?

もっと、日頃から自律心を持ち、メンタルシフトできるような、社員育成を行うこと。そういう職場環境や、上司との関係性を創ることが、よっぽど大事だと思います。

人間生きていくなかで、悩みもあれば、不都合なことも多々あります。誰だって、仕事がうまくいかない、数字が上がらない、失恋もあり、身内の不幸があれば落ち込みます。

そのような心理にあって、即時うつ状態などと検査診断されたら、たまったもんじゃない!

もっと、心理状態を冷静にみて、自身で判断できる能力を持って、人生の山や谷を越えていくべきです。きっと自分の意志で、自分の足で、しっかりと歩いていけるはずですから。つくづく、そう思っています。



ある日突然、多少、疲れた社員が、医師の簡単で手軽な診断によって、薬漬けにされていく姿を、幾人もフォローする立場にあるというのは大変に辛いことです。(幾人かの休職社員のフォローを半年、1年もすると実感します)

家族も、両親も、大きな心配をして、復職しても元通りの配置にはならずに、補助的な業務に終わっていきがちです。

本来の病状は、個々によって違いはあるはずですが、もっと、話を聴いて、何が原因なのか、その背景は、過程はどうなのか、企業組織で異業界、異業種、管理職まで、実務経験のある人がカウンセラーの立場になれば、もっと正しい個人支援ができると思っています。

医師、薬剤師、カウンセラー、その他、プロフェッショナルでも、患者本人の悩みは本人にしかわからないのですが、いくらかでも、実体験がある人が患者の声を聴いて判断するとすれば、もっと、本人の状況が理解できるのではと思っています。

いまや、世間では知識や、認定資格、臨床、グループワーク、勉強会など、カウンセラーを育成するムードは高まっている傾向に感じます。

しかし、それもまた、違和感があって、「内なる思想共有」を濃くしているだけで、とある先生を中心として、歪んだコミュニティが出来上がっているようにも感じます。

心を病んだ人が、心理カウンセラーに成りたい欲望を持つ人も多いのです。その是非は、ここでは言及はしませんが、知識・話法のテクニックでは本来のカウンセリング機能は、万全では無いだろうと思っています。


EAP(従業員支援プログラム)や、コーチング、メンタルコーチなど、いくつものセミナーにも自ら参加してみたり、心理系の出版物を読み拡げて、メンタル分野の職種も詳細を調べたり、専門家に対面することも多かったです。ただ、その対象に触れて、何かが足りない、どこかが違っているって思う自分がいます。

いくつか、外的要因をあげてみると・・・・。

ITネットワーク関連の業務弊害、成果主義、コミュニケーション障害、大人の発達障害の症状、多様な職場ハラスメント、女性蔑視、家族、育児、教育、また親族のトラブル、家庭経済、異性問題、各依存症、生活習慣、PTSD、などなど……。

精神的に気持ちがふさぎこんで、意欲がなくなる(うつの)状態は、どんなことが原因かと探れば、いくら上げてもきりが無いくらいです。

これらを、一括して「神様の薬漬け?」で、治療(寛解)できるとは、思えないです。

ますます、精神を鈍くさせて、判断力を失わせることで、突発奇異な行動を抑制させる程度でしかないでしょう。

どんどん服薬を続ければ、精神も脳も正常な機能を失っていくことになります。体内に吸収された薬物は、服用を止めても、長期間、滞留することになります。

それでいて、医師が施した責任は追求されず、服薬治療の名目のもと、とっかえひっかえ、多剤併用にて、あたかも動物実験をされているような印象に映って見えます。これは、心痛く、かなしい限りです。


すべての精神医療の関係者が悪いと決め付けるつもりは、決してありません。ただ、限られた診療時間で、数多くの患者を回転させるほうが、診療報酬の点数は上がるし、街中の個人医であれば、売上が伸びていくのは、間違いないのですから。

時間や手間のかかる、カウンセリング療法を選択することより、薬物療法に偏向してしまいがちな、日本の医療の裏側が伺えてしまいます。


「早期介入・早期治療」すべての効果を是認することはできないと納得しています。最初の誤診がもとで、紙袋にあふれるカプセルを、妄信的に体内に注ぎ込むことのどこが、健康回復への近道なのでしょう。

本当に弱者救済の措置として、社会的な仕組みや、規制を作っていくべきだろうと思っています。」


企業のメンタルヘルス担当者として、精神医療の矛盾、荒廃を間直に見てきた方の意見。私の意見を代弁していただいたようにも思います。

この方も書かれているように、また前エントリで取り上げたように、来年秋から、社員のメンタルヘルス対策を義務付ける法案が施行されます。これまで通りの(つまりこの方が書かれているような)メンタルヘルス対策がそのまま義務として施行されたなら――

簡単なメンタルチェックの検査のあと、気になる社員に念のため、街中の心療内科を受診してもらい、その後の報告を聞くと、多剤併用の処方、翌週から2ヶ月の休職診断書――

そうしたことが、社員にとって、会社にとって、国にとって、本当に有益なことになるのでしょうか。疑問です。