死をもたら薬と組織犯罪:ビッグファーマはいかに医療を腐敗させているか』

 前のエントリでmyu さんがコメント欄に書き込んでくれましたが、ここに再掲させていただきます。ぜひ、NHKの担当者にも読んでもらいたい内容です。


医学博士で、コクラン共同計画(ライブラリー)共同創設者であるPeter Gøtzsche博士の著書『死をもたら薬と組織犯罪:ビッグファーマはいかに医療を腐敗させているか』。

この自著について、 Gøtzsche博士が以下のように語っています。

ビデオはhttp://www.youtube.com/watch?v=VIIQVll7DYY

 以下、myu さんの翻訳です。


私がこの分野の研究から到達した結論はとても気まずいものでした。向精神薬は市場からすべて排除されたほうが、国民ははるかに幸せだったでしょう。医師にはこれらの薬を適切に扱うことができないからです。そういう薬を使える状態にあることが利益以上に害を生むことになるのは、避け難いことです。


西欧諸国において、処方薬は心疾患と癌に次いで第3位の死亡原因であり、製薬会社のビジネス・モデルは組織犯罪です。

彼らは組織犯罪集団マフィアをはるかに凌ぐ金を私たちから盗み、多くの人間を殺してきました。

私たちの社会は薬剤処方を推し進める医療モデルからの脱却を図るための行動を起こす必要があります……。


治験データには、そのほとんどに欠陥やバイアスがあります。薬を売るために製薬会社が隠す不都合なデータを見つけ出すために、時に私たちの仕事(医学文献の精査)は警察の捜査のような趣もあります。製薬会社がデータを偽ることで、何万人もの患者の命が奪われることになりますから。

医薬品を規制する機関も製薬会社の言うことを信頼していますが、製薬会社はエビデンスを操作することで、正直に申告するよりも、何億ドルも多くの金を稼ぐことができます。

他のどの科よりも最悪なのが精神科です。

製薬産業は治験で信じられないほどの不正を働いており、自殺や有害性を示すデータを公表せずに隠していたことが、私の行った世界の大手製薬会社10社の調査から明らかになりました。

彼らのビジネス・モデルは、合衆国の法に照らせば立派に組織犯罪そのものなのです。この組織犯罪は非常に深刻です。

詐欺、贈収賄、公表されないキックバック、その他の汚職……。司法省から再三にわたる警告を受けながらも、彼らは犯罪を繰り返しています。

司法省に対して「二度と同じ犯罪を犯さない」と署名しておきながら、それでもなお犯罪を繰り返すのは、製薬会社にとっては罰金など犯罪で儲ける額のごく一部に過ぎないからです。


≪抗精神病薬というのは極めて危険な薬であり、どうしても使わざるを得ない場合にのみ使うものであって、脳に重篤かつ永続的ダメージを与える薬であることから、少量を短期的に使うのが望ましい。すでに説明したように統合失調症患者でもそのほとんどは薬を避けることができ、そのほうが患者の長期転帰は良く、また医療費の削減にもなる≫ 


 抗精神病薬という極めて危険な薬が広く使われていますが、例えばジプレキサというよく使われる薬で、私の計算ではイーライ・リリー社はこれまでおよそ20万人を殺しています。

この死亡者数は本当に膨大なもので、こうした薬については、さらに慎重の上に慎重を重ねた使用が私たちに求められています……。

私がこの本で訴えたいことは、こうした処方薬は医師が適切に扱える代物ではないということ、またFDAなどの規制当局にも、その安全性は保証することができないということです。これは処方薬が死亡原因の第3位であることから明らかなことです。


製薬産業にとって精神医学はパラダイスでしょう。

精神障害の定義は曖昧で、なんでも簡単に操作できます。

その診断も、思いつきでいくらでも操作できるものです。

だから用心しなければなりません。
自分たちが戦わなければ、最後には私たちが精神病患者にされるでしょう。


精神医学がこれほど多くの人間を殺していながら、なぜ誰も何もしないのか、私にはわかりません。この薬が悲劇なのは、これを手にした医師がそれを患者に投与することで短期的な効果が見られるものの、それを使い続けることは本当の精神疾患を作り出すことになることです。最悪の事態です。

従って、短期的には利益となり得ても長期的には害となるという二重性を、医師にはうまく管理することはできないというのが私の結論です。

しかし現実には精神科医たちはダラダラと数ヶ月、あるいは数年にわたって、患者に害を与えるような薬の使い方を続けているのです。


悲しいことにほとんどの精神科医は、自分たちがどれほどの害を引き起こしているか理解できていません。

私はこの問題を詳細に調べ、本書で「抗精神病薬など何一つこの世に存在しなかったほうが、人類のためになったであろう」と結論しました。


嘘の上に存在するような専門分野をどう扱うべきか、私は多くの精神科医や教授に尋ねてみました。

すると彼らは「抗うつ薬を使うのは、糖尿病のインシュリンのようなもの」と答えます。

しかし、これは全くの誤りです。

続けて彼らが言うのは「ナンセンス!」、つまり、彼らが言わんとするのは「患者は脳内のセロトニンが不足しているのであり、セロトニンを増やす薬を投与すれば良くなるはずだ」ですが、これは間違いです。

うつ病患者の脳と正常な患者の脳に違いがないことは、いくつかのしっかりとした研究で確認されており、もうすでにセロトニン仮説は終わっているのです。

抗うつ薬は化学物質の不均衡を修正するものではありませんが、これは精神科医の大好きな嘘の一つです。


「糖尿病にインシュリンの不足があるのと同じで、あなたの脳も化学物質が偏っていますよ。この化学物質の不均衡を修正しましょうね。」……

嘘ですよ。

実際には、薬こそが脳内で化学物質の不均衡を創り出しています。2、3ヶ月も服用すれば、もう止められなくなるのはそのためです。

うつ病には逆にセロトニンを減らす薬もあります。

セロトニンを増やしても減らしても効果のあるうつ病?……糖尿病患者に糖分を与えても良くはなりませんよ。

精神医学は間違った道に進んでしまいました。


ロバート・ウィタカーがその著書"Anatomy of an Epidemic"(邦題:心の病の流行と精神科治療薬の真実)で見事に描き出しています。

精神科の薬が本当に脳内化学物質の不均衡を修正することで患者に有益なものであるというなら、働くことができず年金や生活保護に頼らざるをえない人の数も減っているはずです。しかし、精神科薬の導入と時を同じくして、その数は爆発的に増加しているのが現実です。なぜこんなことが理解できないのでしょう。

私たちは、本来やるべきことと全く逆のことをしています。

精神科薬は本当に危険です。使用はできる限り短期間に抑え、その後は止めるべき薬です。

もともと服用すべきでなかった患者も非常に多い。

そもそもうつ病など、そのほとんどの患者は自然に回復するのですから、数週間は経過を見るべきなのです。抗うつ薬さえ服用しなければ、断薬の問題も起こらなかったのです。

すると精神科医はこのようにいうのを私はよく耳にします。

「薬は自殺リスクを減少させる。だから薬の投与は重要なのだ」と。

しかし私が調べた限り、これらの薬が自殺予防になることを裏付けるしっかりとした記録は何一つ存在しないばかりか、それとは全く逆に、FDAのデータによれば、若者から40歳未満までは薬が自殺リスクを増加させているのです。

40歳以上では無作為試験での製薬会社の不正行為が計り知れないほど多いため、私たちにその詳細はわかりませんが、最悪の場合、全年齢層で自殺リスクを高めている可能性があります。


≪2004年、リリー社の運営するラボラトリーのシャワー室で、金具にスカーフをひっかけて首つり自殺をした死体が発見された。うつ病のあるなし、自殺傾向のあるなしを調べる入念な健康診断を受けたのち、学費を稼ぐために「健康なボランティア」として治験に参加していた女性である≫


詳細に調査した結果として、製薬企業のビジネスモデルが組織犯罪であることを知り、さらにそれはマフィアの組織犯罪よりもはるかに多額の金を国の財布から盗み、またはるかに多数の人間の命を奪ってきた組織犯罪として、マフィア以上の悪質さであること。しかも彼らは利益さえあげれば、事態が明るみにさえ出なければ、向けられる抗議の声さえ小さければ、人の命などお構いなしに、意図的にこの犯罪を犯していることがわかった今、人にその知識を伝えようと思うのは、人間としてきわめて自然な感覚ではないでしょうか……。


==========


 彩流社 ☎03-3234-5931

 http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-7007-2.html