47歳の女性(Aさん)からメールをいただきましたので、紹介します。

Aさんが体験したことは、まさに現在の精神医療の縮図ともいえる成行きです。

不眠=⇒心療内科を受診し薬物治療開始=⇒効果? 薬の副作用? 薬物依存=⇒体調の複雑化=⇒治験の誘い=⇒さらなる状態悪化=⇒薬が増える=⇒最悪の状態=⇒減薬を考える=⇒今流行りの減薬クリニックを受診=⇒完全断薬に至らず、断念=⇒残薬の再減薬チャレンジ=⇒減薬に協力的な医師を探す=⇒このブログを知る=⇒……



不眠から心療内科受診

かこさん、初めまして。私は▽▽在住のAと申します。

ブログを拝見してメールを差し上げています。

私はもともと人間関係でストレスを溜めやすい性格でしたが、今から11年前の平成16年7月(当時36歳)、姑のことや将来的な不安感で悩み、不眠になったことで初めて心療内科を訪れました。

××メンタルクリニックというところで、担当医師はI先生でした。(この病院を選んだのは、たまたま当時住んでいた所から近いという理由だけです)。

一通り話をして、出された薬は以下のようでした。

セパゾン1mg×2 (ベンゾ系抗不安薬)

ドグマチール50mg×2(抗精神病薬)

パキシル20mg×2 (SSRI) 

レンドルミン0.25mg×2 (ベンゾ系睡眠薬)

ヒルナミン5mg×2 (抗精神病薬)

ソラナックス0.4mg×14日分(不安時)

(注・正直、初診で、不眠を訴える患者にこの薬の種類、量は多すぎないか? パキシルも最初から40㎎。添付文書には「投与は11020mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する」と書いてあります。また、不眠になぜ最初からメジャーが2種類も? しかし、Aさんは――)



私には薬の効果がとても好ましいと感じられて、特にパキシルには精神的にかなり頼っていました。

不眠の原因になっていた事への心配も和らぎましたし、その他、初対面の人に会う時も緊張しなくなったり、薬の良い面を堪能していたという具合でした。

軽い躁状態にもなりました。その間、ネットで知り合った初対面の人に気軽に頻繁に会ったり、遠出をするのも苦にならないといった状態で、本当に薬なしの生活が考えられなくなっていました。

なので、減薬について先生にお願いすることは考えもしませんでした。

処方薬依存

その後、2年半くらいした頃、院長であるS先生に変わりました。理由はI先生だと金曜日しか受診出来ず、一度診察の機会を逃してしまうと1週間待たなければならないからです。このころから、うつ状態のことが増え、身体もしんどくなっていました。

この病院は、予約はするのですが、予約した時間に診察されることはまずなくて、いつも人がいっぱい。2時間待ちの3分診療の典型みたいな病院でしたが、私は薬を貰えるところ、と割り切って通っていました。

精神的に薬に頼り切っていたので、3分診療のその3分の間にする話といえば、「この

薬を増やして欲しい」とか、「これはいらない」とか……。とにかく薬の要望だけでした。

 そして、紆余曲折あり、処方も次のように変わっていきました。

パキシル20mg×2(SSRI)マックス処方

ジェイゾロフト50mg×1(SSRI

ロヒプノール1mg×1 (ベンゾ系睡眠薬)

メデタックス1mg×2 (ベンゾ系抗不安薬)

便秘薬

体調が悪くて病院へ行けない……という日もありましたが、薬を手に入れるためやっとの思いで通っていました。


治験の誘い

(注・医師の口から治験の話が出るということは、病気がよくなっていない、それどころか悪化しているということを意味しています。多くは薬剤性による悪化ですが、打つ手を失った医師はさらに新しい薬で何とかしようとします。というより、もう他に方法がないので、とりあえず新しい薬でも試してみたら? といった感じかもしれません。しかし、私はこういう成行きで治験に参加して、改善したという話を聞いたことがまだありません)。

通い始めて5年程たった2010年に、「治験をやらないか?」と担当医に言われました。

エビリファイのうつ病への適応を診断するための治験で、治験をやる以上は、体調が良くても悪くても必ず通院することが必要。そういうことは私のためにもなる、という説明でした。

私にとって大きかったのは、治験に参加すると、治療費が無料になるばかりか、一日7000円もらえることでした。私の不安の一つに経済的な困窮があることは先生も知っていましたので、今思えばですが、足元を見られたんだと思います。治験をやると、製薬会社から病院に多額の謝礼が支払われるということも後から聞きました。

しかし、治験は私にとって想像を絶するものでした。

エビリファイだけの効果を観察するために、それまで飲んでいた精神薬を突然すべて止めなければならなかったからです。

本当にふらふらで、パキシルの離脱症状も出て、今考えても、よく病院へ通ったな……と思います。

(注・以前、このブログで、エビリファイの同様の治験に参加した女性の話を紹介しました。突然の断薬、エビリファイ服薬、結果ジストニアを発症してしまったケースです。

http://ameblo.jp/momo-kako/entry-11489640660.html

http://ameblo.jp/momo-kako/entry-11489643437.html

治験には、薬を飲んでいる場合、その薬の断薬(非常に短い期間での断薬)というリスクがついて回ります。しかし、当事者はそのことを治験コーディネーターなり医師からきちんと説明されているのかどうか?)



何とか治験を終えた時には、私の中では先生に対する不信感しか残りませんでした。(その時点で、精神科の薬を突然断薬することの危険についてはわかってはいませんでしたが、身をもって体験しました)。

そこで、病院を変わることに決めましたが、その決め方も安易で、「その時点で住んでいた所から一番近い病院」という決め方でした。

「体調の悪い日にいかにして通院するか?」が当時の私の一番の悩みだったので、そんな決め方をしてしまっていました。