FBにも書きましたが、昨日(3月2日)、千葉地裁で石郷岡病院事件の第10回目の公判が開かれ、傍聴してきました。

 この日は、被告2名に対する検察側の論告求刑の日。検察側は両名に懲役8年を求刑しました。

 傷害致死の場合、3~20年の求刑になるようですが、そうした中での8年です。

 検察はまあまあ頑張ったという印象です。

 被告両名ともに否認を続け、反省することは一切なく、全面対決の姿勢を見せたことも、量刑に影響を与えたかもしれません。

 

 この日は被害者のお父様とお姉さまの心情意見陳述が行われましたが、冒頭、お姉さま(体調不良のため欠席して、文章を提出)の陳述書に被告弁護人がクレームをつけ(陳述内容が「心情」ではなく「事実」に関するものが含まれていると)、開廷した途端に1時間近く休廷となりました。

 話し合いの結果、「事実」に関する部分を削除したものが読み上げられました。

 お父様の陳述書も、その部分を削除して「心情」のみの意見となりました。

 その中で伝えられたこと――。

 暴行後、首から下が麻痺をした状態でベッドに寝たきりになった息子さん。気管切開後のカニューレを入れた喉で、ある日、息子さんが大好きだった「チューブ」の歌を小さく口ずさんでいたそうです。見ると目にはいっぱい涙をためていたと。

「僕の人生、どうしてこうなっちゃったんだろう」とお母様にぽつりと漏らした言葉がいまでも忘れられないと……。

 

 私がこの事件に関わったのはすでに息子さんが亡くなられた後のことでしたので、実際お会いしたことはありませんが、写真を見るかぎり、ごくごく普通の学生だったのではと感じます。お父様も述べられていましたが、スポーツが好きで、バンドを組み、友だちも大勢いたとのことでした。

 そんなどこにでもいる学生が、ほんのちょっとしたことで精神科を受診し、そこから坂道を転げ落ちるように、最終的にはこういう結果になってしまった……。

 ここに至るまでには、他にさまざまな「被害」が存在していたことと思います。診断の問題、薬の問題、病院の問題……この事件は、そうした精神医療が抱える問題の最終段階であり、裁判で裁かれているのは、そうした流れの出口に当たる部分だけです。しかも監視カメラの映像という証拠と、ご家族の何としても真実を明らかにしたいという熱意があって、初めて世に知られることになった事件です。

 そうした流れを思うと、お父様の心情意見陳述は、本当に胸がつまりました。

 傍聴には石郷岡で働いていた看護師も来ていました。

 立ち話の中でぽつりと言った言葉――「あそこで働いている私たちが、日常どういう世界にいるのか、それも知ってほしい。どれほど怖い思いをしているか……」

 確かに「暴力的」な患者はいるでしょう。そういう患者と対峙せざるを得ない看護師という立場。防衛的にならざるを得ない職場であることも確かです。

しかし、今回のケースは明らかに違います。

 そして、その看護師が恐れる状況も、もしかしたら医療(薬)が生み出した可能性もあるのです。

 どうかこうした精神医療が抱える諸々の問題を裁判員の方が正しく判断し、求刑通りの判決(あるいはそれに近い判決)が出ることを願ってやみません。

 14日、できれば判決を聞きに行こうと思っています。