ベンゾに関してはこれまで伝えてきたように、今年はいくつかの動きがありました。しかし、実際問題として、当事者や今後ベンゾを処方される人たちにとって(つまり医療を受ける側にとって)何か利益につながる動きだったのかどうか……残念ながら疑問が残ります。

 裁判によい影響を与えてくれればいいですが、それもまた???

 

 しかし、ベンゾに関する被害は確実に存在します。

「もし、あのとき、医師がこういう処方をしなかったら」……おそらく防げたであろう健康被害はどれくらいあるでしょうか。

 あまりに安易にベンゾを使い、あまりに長期にベンゾを出し続け、にもかかわらず、ベンゾの本質を知らず、したがって副作用も依存性も知らず(知っていて知らぬふりかもしれませんが)、出すだけ出して、減らし方も知りません。

 大学病院と名のつく精神科の医師もまた、ベンゾ減薬については、素人並み(以下)の知識です。

 某国立大学病院の精神科に入院して減薬を試みた人がいました。

 入院中、メールで情報を伝えてくれたのですが、よいのは「最初」だけ(というのは、ベンゾについて知っているふりをし、患者を安心させ、そのときだけは信頼関係が結ばれていました。)

 入院期間は1ヶ月ほどの予定。

 そして減薬開始。

 ペースが速すぎます。そもそも1ヶ月で勝負をつけようということ自体、ベンゾというものの性質を知らない証拠です。あるいは、減らすだけ減らして(それなら1ヶ月あれば十分です)、あとは知らないよ、ということでしょうか。

 結局、そういうことになりました。

 1ヶ月ちょっとで、ほぼ強制退院です。体調不良を訴えても、あとは「通院で」。

 しかし、もはや通院できるだけの体力はありません。

 それでも、退院。

 

 減薬において医療のできることは限られている、と言えばそうかもしれません。

 離脱症状が辛いからと、いつまでも入院させてくれる病院は、ほぼないでしょう。

 だとしたら、入院ではなく、最初から通院で、もっと慎重に、ゆっくりとしたペースで減薬をするべきです(医師のほうからそういう提案をすべきです)。

 もっとも、ベンゾのことを知らなければ、そんな提案もあり得ないわけで、ともかく、入院させて、ガンガン薬を抜いて、それで体調が悪くなったら、放り出す(言葉は悪いですが、実際はその通りです)。

 それは、ベンゾの減薬に限ったことではなく、他の薬(抗精神病薬等)でも同様のことが行われています。減薬をうたっている病院で減薬をしましたが、やはりペースが速すぎて、体調悪化。その挙句に、放り出すか、あるいは電気を勧める、クロザピンしかないと言う。

 薬を減らしてうまくいなかなくなると、医師はその患者に他の病名をつけたがります。

 そうしないと医師として立つ瀬がない。悪化を減薬した自分のせいではなく病気のせいにできるからでしょう。

 ベンゾでいつまでも離脱症状を訴えていると、「うつ病」か「身体表現性障害」にされます。

現在は「減薬」ブームの感がありますが、残念ながら、医療はまだそのレベルに達していないと思われます。