以下は、以前知人から教えてもらった、ある精神科医のフェイスブックの記事です。

 書いた人、誰とは言いませんが、この医師、数少ない「わりと理解ある精神科医」ということになっています。

 この記事をシェアしている人もいますが、この方も減断薬に理解ある(というかそういう活動をされている)人です。

 この医師、某大学病院のお偉いさんで、セカンド医も実施されており(現在はどうか知りません)、その昔お会いしたこともあります。

その某大学病院に入院して(ひどい治療を受けていた)方の治療を考え直してもらおうという意図での面談でしたが、その医師のスタンスというものがよく分かった面談でもありました。

 精神医療の一般論(被害の話ということです)から始まり、この医師もこの点、大いに頷いていましたが、ではこの病院に入院されている方の話となると、手のひら返し。

「被害にあわれている方もいますが、この方のケースはそうではありません」と。

 総論賛成、各論反対の典型例。

 世間受けすることはやるけれど、実際の診療でそれを生かせず。

 話だけなら責任はないけれど、実際の問題となると責任が出てきますし、他者のやったことなら批判できるけれど、自分あるいは身内のこととなると、結局メスが入れられないという典型例。

 

 以下は、そんな医師の書いた文章です。

 以前知人に教えられたときも腹が立ちましたが、今日改めて読み返してみて、なんだか放っておけない気持ちになりました。

 私にはこの医師が何を言いたいのか、まったくわかりませんでした。

 こんなの、なんでシェアするの? 誤情報じゃないでしょうか。

 

 権威が好きな人がいます。

 権威が言うことは「正しい」と思う人がいます。

 トラの威を借りたいというのもあるのかもしれません。

 権威に頼って、大病院、大学病院を受診して、とても痛い目にあう人が多いです。

 権威なんぞ、なんの価値もありません。

こと精神医療に限って言えば、権威にたてつかない限り、絶対によくなっていかないでしょう。(久しぶりに腹が立ってます)。

 

 以下、引用します。

 

「私が、ベルソムラデエビゴをほとんど処方しないと書いたので、何人かの方から、では何を使うのかという質問をいただきました。神経症性不眠や軽症の不眠では、「生活リズムを改善し、昼寝しない、昼間にボーッとした時間をつくらない」、「15時以降にコ-ヒーや麦茶以外のお茶をのまない」で、かなり睡眠の質や量が改善すると考えています。どうしても必要な時はリスミ- 0.5~1mgを処方することがありますし、不安が強い場合は就寝前にメイラックス0.5mg程度を用いることもあります。

 抑うつが強い場合はレスリンリフレックスを就寝前多めに処方しますし、トリプタノ-ルノリトレンを用いることもあります。統合失調症の方でも眠気の出やすい抗精神病薬を眠前に処方して、レンドルミンロラメットを主に頓用として用いることもあります。薬物依存の方の不眠は難治のことが多く、ベルソムラ、デエビゴの問題ではなさそうです。

 それと睡眠治療の目標は「すぐ眠れること」ではないでしょう。催眠作用が強い薬、依存になりにくい薬、どちらが「いい睡眠薬」なのか考える必要がありそうですね

 余談ながら他に私が使わないのはサイレ-スデパス。ほんとに中止しにくいから。

 以上、あくまで私の意見です。のんでる方がおられたら処方医とよく相談してください。」

 

 この医師がベルソムラをなぜ使わないのか、知りませんが、それ以前の記事を見ると、どうやらベルソムラには依存性があるかららしいです。

「本剤は習慣性医薬品に指定されています(米国では、他の多くの不眠症治療薬と同様、スケジュールⅣに分類)。依存性が発現する可能性がありますので、注意してお使いください。」というベルソムラの「適正使用ガイド」の文言をあげています。

 

 ベルソムラには依存があるから処方しない。

 で、リスミーやメイラックス、レンドルミンは処方するって、どういうエビデンスの元での処方なんでしょうか。

 ちょっと精神医療について知っている人なら、この文章を読んで疑問を抱くだろうと思います。

 さらに、「薬物依存の方の不眠は難治」とありますが、それは薬によってすでに依存が作られているからではないですか。そういう場合は薬を減らす方向にもっていく必要がありますが、そのことには一切触れず、「難治」で終わり。そもそもこの不眠は睡眠薬(とくにベンゾ系)の常用量離脱による不眠だと思われます。

 そういうことを解説してこそ……と思うのですが、それどころか、ベルソムラとサイレースとデパスは依存性が強い(中止しにくい)から処方しないと胸をはられても……。

 困ったもんです。