国連が日本の障害者差別を巡り初審査を行い、今月9日、勧告が公表されました。

 

内容は、以下の通りです。

 

 障害に基づくあらゆる差別の禁止などを定めた「障害者権利条約」(日本は2014年に批准)について、障害者の精神科病院への強制入院や、分離された特別な教育(特別支援教育)をやめるよう要請。

 審査の過程では、政府の対策が不十分とされる様々な課題が明らかとなり、精神科病院での無期限の入院の禁止や、施設から地域生活への移行を目指す法的な枠組みづくりの必要性、また障害のある子とない子がともに学ぶ「インクルーシブ教育」の確立のためにすべての障害のある生徒が個別支援を受けられるよう計画を立てるといった対応の必要性が指摘されました。

 インクルーシブ教育については、この勧告を受け、さっそく永岡文部科学省大臣が、「特別支援教育の中止は考えていない」と表明しています。

また、精神科病院への強制入院、無期限の入院についてはまだ大きな反応がでていないようです。

 もっとも国連の勧告には強制力はありませんから、これで何かが変わるとは思えませんが、こうした日本の「障害者に対する態度」が国際的に見てかなり後進的であることは、日本人として少々情けない気持ちになります。

障害者差別、人権意識の低さ……。

 

 しかし、学校現場においてさえ、教師自身による「差別」が行われていることが多々あります。先日も広島県福山市の女性教師が小学校6年生の児童に向かって「顔も見たくない、地球から消えてほしい」と発言したというニュースが流れました。結果、児童は学校に行けなくなったといいます。

 この児童がどのような児童で、何をして教師のこのような発言になったのか詳細は不明ですが、例えばの話、発達障害的な特性を持つ子どもが理解できず、力量不足の教師によって「いじめ」を受ける子どもは、意外に多くいます。

 子どもの言動の「何かが」気に入らず、その子をいじめぬく。例えば、大勢の前で𠮟責をする、それも一度や二度ではなく、事あるごとに。結局、今回の事件の児童と同じように、学校に行けなくなった人もいます。それだけでなく、結局、学校によって精神科につながれました。

 薬を飲まされ、副作用でさらに学校に行けなくなり、薬で衝動性があがったり、トラウマに苦しんだりで、リストカット、飛び降り、家で暴れる……。

 元をただせば、教師の無理解、人間力のなさ等々が原因です。が、こういう状況になると、もうその子ども自体が「問題」であるというふうになっていきます。そしてその教師はずっと教師であり続ける……。

 こういう「教育者」がいる限り、日本においてインクルーシブ教育の実現など、夢のまた夢のようにも思えます。

 極端に言ってしまえば、現在、教室で「面倒な子」は精神科へという排除がまかり通っているのが日本の教育でもあります。

 なんと冷たい社会なのか。

 排除という点では、精神科病院への強制入院にも通ずる問題です。

 弱き者へのまなざしが、その社会の強さを表しているとしたら、日本社会は弱い弱い人間の集合体というしかありません。