日本経済新聞の広告に以下のような[MISSION]が掲載されました。

 

MISSION

脳内のスイッチでうつ病の治療を。

 この方法が当たり前になった未来を想像してみませんか?

それは、前向きな感情に影響する脳内の「意欲スイッチ」の調整が気分障害のまったく新しい治療法となりうる未来。神経細胞内にある、やる気や幸福感に関わるカリウムチャネルという門を適切に開け閉めするメカニズムを解明した藤田医科大学は、この意欲のスイッチのオン・オフを薬でコントロールする研究を進めています。5~10年先にはうつ病治療において副作用や再発リスクを抑えた選択肢となり、薬物乱用を含む依存症治療の希望にもなることを信じて。きわめて複雑で難解な脳の解析へ今日も挑み続けます。

 救える力を、創りだす。藤田医科大学

 

 藤田医科大学というところは、今でもまだ精神疾患を「脳の病気」と捉える生物学的精神医学のみに焦点を当てて、このような研究を行っています。

 30年ほど前、新規抗うつ薬であるSSRIが発売されたときも、この「やる気スイッチ」的なうたい文句で宣伝されたことがあります。

 朝の憂鬱もこの一錠を飲めば気分はすっきり、やる気満々、SSRIはまさに夢の薬です・・・といった宣伝が、主にアメリカにおいてなされました。

「君のやる気スイッチはどこにある?」という塾のテレビコマーシャルを地で行くような薬剤です。

 

 藤田医科大、「意欲スイッチ」をONにするメカニズム解明

カリウムチャネルについての記事です。

 

 人間の感情や意思等は、脳内伝達物質のみによって司られているのでしょうか。

 その仕組みが詳細に解明されれば、喜怒哀楽も薬一つで自由自在に人間がコントロールできるようになるということでしょうか。

 しかし、脳に作用する薬は、予想した通りの効果を必ずしも発揮しないことは、すでに多くの向精神薬が証明しています。

 夢の薬であったはずのSSRIの綻びも、大した持続期間もなく、露見しました。

 意欲のスイッチのオン・オフを薬でコントロールする。

そのことが、「人間」という存在にどのようなリスクを負わせることになるのか。

薬で感情をコントロールするということは、ある意味で、人間を「生きる屍」化することです。