ハーフティンバーという言葉を聞いたことがありますか?いや、聞いたことがない?
むしろ家を建てよう、買おうか、というときにハウスメーカーさんや住宅不動産会社さんから「ハーフティンバー様式の人気の家ですよ」とか営業されたことはないでしょうか

またヨーロッパ、特にドイツ、スイス、またはロンドンなどに旅行したり留学した経験のある方なら、一度は見たことがあるのではないでしょうか
黒い柱や梁が外壁に露出していて、日本の木造住宅みたいな懐かしい感じ、もしくは白と黒のストライプがおしゃれな三角屋根やバルコニー、アーチ型の花窓や木と木の間にレンガがはいっていて楽しそうな感じのする家
そんな印象が多いのではないですかね

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なぜ、こんなことを言うかというと、ついさっき「ハーフティンバーって何?」と知り合いから聞かれたもんですから
ちょっと説明しとこうかな、と思ったのでした。
ハーフは半分、ティンバーは丸太とか木材とかいった意味です。と、するとハーフティンバーは半分の木材という意味ですね、なぜ半分なのか?それはこのハーフティンバーというものがおおっぴらになってきた経緯によります。

そもそも「ハーフティンバー」というのは、建築工法の手法のことです。様式としては16世紀イギリスのチューダー様式と関係があります。チューダー様式というのはイギリスのチューダー朝といわれる一時期に広まった建築の様式のことです。チューダー朝って何?というとイギリスの王族の未亡人と結婚したチューダーさんという人の息子たちを含めた家系がある時期隆盛を極めていた時代のことです。

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その時代に堅苦しいカトリックから離れた、ある種別の分派宗教イギリス国教会というのが生じたころでもあり、現在まで続くイギリスの体制が確立されつつあった時代です。そのころに地方貴族の勃興もありカントリーハウスといわれる地方貴族や地主の邸宅が生まれました、これはハウスといっても家というより砦や日本における権威を強調する平城などといった城郭に近いものでしょうね

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このカントリーハウスにおけるデザインを素材も石とか工事が大変なものではなく、デザイン形式を守りながらもっともっと簡便に安く木造でやってみよう!というのがハーフティンバーと現在呼ばれている建築デザインです。
殿様がお城や砦なら、その配下である旗本とか馬周り衆とかいった感じの人たちががんばってつくった建物です。
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しかも、ヨーロッパではすでに大きな木を切り倒してしまっていたので、太い木がなかなかとれなくなっていました。
だからちょっと細い木、半分の太さの木=ハーフティンバー、となったわけです。

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結果としてちょっと粗末ではあるけど素材感を活かした、変に装飾過多ではない、潔い感じのする建物が町を構成することになり、現在でもそれが町並みを形成しているわけです。

まあ、わが国でいってみれば城下町の町屋の風景に近いんでしょうね、そんな大衆化することで洗練された建築デザインは普遍的価値をもつという事例のひとつでしょう。