語源についてのご質問もありましたので、わかる範囲で書いときますね。


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【ネズミ歯錐】 これはまあ、見たまんまではないでしょうか、ちょっと大きめの穴を開けるために中心の歯と回転する周辺の歯で構成されています。錐の先端ということでちっちゃいからネズミ歯なのではないでしょうか?
以前、日本にはネジがなかったお話をしましたが、ドリルもなかったのでこんな工夫になったのではないでしょうか

【ネズミ漆喰】 黒漆喰ほど黒くはないが、墨を混ぜて色を灰色にした漆喰塗り壁。ねずみ色ということですね。この仕上げは私も何度か実行していますが、なかなか風格があっていいです。自然に色が抜けてくるのも風情がありますよ、で、また黒く塗り替えることで何度でも家がよみがえるわけです。

【ネズミ木戸】 江戸時代の芝居小屋で客の入り口を上下狭めて、にじり口のようにまたいで入るようにした入り口です。


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【聖牛】 せいぎゅう、ひじりうし。建設用語の中でも不思議な神聖な響きをもっています。河床に設置して水流を弱めたり、この河川の流れをコントロールして護岸する装置です。この聖牛の足元の石を詰めたものが「蛇かご」です。古来河川の氾濫は日本の国土では重要な問題でしたから治水を任せるこの「聖牛」には、三角の木材の角っぽいところとどっしりと落ち着いてほしいということで、きっと、暴れ川としての竜神を抑えてほしいという、何か祈りを込めた思いが「牛」にやどっているんだと思います。

【牛梁】 これも大きな屋根の小屋組みを支える意味で大黒柱とセットで存在した家の守り神みたいなものではないでしょうか。太い丸太の自然な力強い曲がりが牛の背を思わせます。ずっと家といっしょに暮らしてきた農耕牛と同じように家族の一部なんでしょう。


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【トラロープ】 工事現場などで立ち入り禁止や「ここから先は気をつけろ!」といった意味で張られるロープです。いわゆる警戒色であるところの黄色と黒のしましまです。トラの柄はジャングルでの迷彩用の保護色だそうですが、警戒という意味ではハチと同じ配色ですよねなぜ「ハチロープ」にならなかったのでしょうかね。きっと現場の人は「トラ」の方が好きなのでしょう。そういえば現場服のトップブランドも「寅一(とらいち)」でした。

【虎綱】 垂直に物体を立てるときなどに、周辺から支えをとるために引っ張られる綱やワイヤーのことです。身近な例ではアンテナの支柱に張る針金も「トラっていえばトラ」です。工事現場で仮設状態の柱などを支えるときに「おい!トラを張るぞ!」などと言っています。強い綱を張るという意味を込めているのかもしれません。「控え」ともいいますが、やはりトラの方がかっこいいですよね。


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【兎の毛通し】 屋根の三角形になる頂点下につける部材を破風(はふ)といいますが、この破風のうち平安時代以降に登場した意匠に「唐破風(からはふ)」というものがあります。この屋根脇の部分を破風というのもなかなか粋なネーミングですよね。「はふ」って聞くとちょっと間抜けですが、Wind Breakerということですね。
「唐破風」というのは、当時のもっともモダンであった手法として「唐=外国風の破風だぜい!」という意味でしょう。
この破風の下に垂れ下がるようにセットされているのが懸魚(げぎょ)です。「懸かる」は中天に懸かる月などのように使われますので、天に魚を掲げているという意味なのです。この懸魚のうち意匠にこだわった横長いタイプにものが「兎の毛通し」です。「兎の毛」とは微細なもの非常に繊細な細工ものといった意味です。

【卯建(うだつ)】 「うだつの上がらない」の語源になった「うだつ」とは隣家と接する部分の屋根に取り付けた延焼防止のための防火壁のことです。町屋が立ち並ぶ商家の屋根上にあります。これが「建設できない=かいしょなし」という意味でで「うだつがあがらない」という言い方が生まれたのでしょう。海の荒波の上で沸き立つ白波の波頭のことをウサギといいますから、甍の波上で跳ね回っているウサギにたとえたのではないでしょうか。