22:00過ぎ、新宿を発つ。
深夜バスはつらい。
はっきりとつらい。
やはり人間は横になって眠るべきだと思う。
僕は近頃、3~4時間で目が覚めてしまうのである。
普段なら眠くなるまで仕事したり本を読んだりするのだけれど、消灯した車内ではそれもままならない。

寝たり覚めたり、煮え切らないまま朝を迎え、岡山に到着した。

それから、移動の合間、ずっと仕事をしていた。
コンビニでパンを買い、フェリーの待合室でもパソコンを開く。
書き物の仕事の残量を甘く見ていたのである。
愚かとしか言いようがない。

あれよあれよという間に豊島の港に到着。
フェリーの切符売場にこんなものがあった。

ここは「豊島事件」の舞台だったのだ、ということを改めて感じる。

雨が降っている。
寒くはない。
傘を開いて、ゆるゆると歩き出す。

「横尾館」という建物があった。

ふらりと入る。
美術家・横尾忠則の展示が行われている家だと、入ってから趣旨を知る。
なんちゅう色使い。
特に庭園が半端ない。
「滝のインスタレーション」で心地よい眩暈を覚える。

漠然とした活力のようなものを受け取って、今度は「てしまのまど」という店にふらりと入る。
離島でお店開くっていったらきっとみんなこういうのが一つの理想だろう。
パンとラタトゥイユのセットをいただく。
全体的にあまりにもおしゃれすぎて萎縮して僕は、写真を撮ることができなかった。

 

それから、産業廃棄物処理場の見学に向かう。
雨に打たれながら泥濘の道を歩く。

樹の幹にカニがいた。

このカニとはその後もちょこちょこと出会うことになる。


つづく。