ソリティア社員が国を滅ぼす | 六本木の公認会計士いきぬき (息抜き編)

ソリティア社員が国を滅ぼす

ソリティア社員とは、大企業においてろくに生産的な業務を行うでもなく高給を与えられ、その地位についても経営危機にない企業による解雇・降格が事実上不可能となっている労働基準法によって強力に保全された正社員の中での既得権層。

ノンワーキングリッチと同義語。

my news japan」編集長の渡邊正裕氏の2010年12月31日の一連のTwitter上でツイートから生じた造語である。

社員に支給されるPCにインストールされているソリティアを一日中やっているような高齢社員を象徴として、「ソリティア社員」と名付けられた。

例えば、渡邊氏によれば、「電通のある窓際部署では6人全員が担当部長で、1日中、PCのゲーム「ソリティア」をやっているというが、年収2千万円以上であり、大企業には、こういった部下のいない「担当部長」、つまり、単に給料が高いだけの部長待遇の社員が多い。」という。

氏の取材活動によると、「ソリティア社員比率の高さ」と「経済的規制の強さ」は間違いなく正比例するという。そのため、インフラ系やマスコミ系にソリティア社員が多く、楽天やファーストリテイリングなどの市場競争で強みのある企業にはソリティア社員はいない。

なお、このブログのテーマの一つである会計監査業界は、経済的規制の強い業種であるため、ソリティア社員比率が極めて高い。

ソリティア社員は、何も生み出さないばかりか有害でもある企業内の人的な不良資源といえる。テレビ局など規制産業では40代以上の8割を占める。

①巨額の人件費を占有し、若者から雇用を奪うほど高給(1千万円超)
②企業の生産性を落とし、日本経済から活力を奪い法人税収を減らし国際競争力を落とす存在

このような規制産業等で温存された既得権層は、若者の雇用機会を奪っているという面があり、就職氷河期や新卒一括採用による日本の雇用システムの原因となっている。労働市場の流動性を阻害している既得権層であり、日本では大企業で正社員という道を踏み外すと、彼等に対する絶壁のような格差に見舞われる。

また、大企業の正社員となっていても世代格差は深刻であり、若年層の生み出す価値の多くはソリティア社員の高額な給与として再配分される一方、企業は新たなソリティア社員を若年層からは生じさせないように

現在の若年層内部での競争を促進するとともに賃金上昇カーブを抑え、非正規社員を増やし、海外に経営幹部人材を求めはじめている。

ソリティア社員という造語の語感の良さと、多くの大企業の最前線ではたらく30代ビジネスマンの支持を得てかなりの勢いで拡散しており、渡辺氏は今後、「ソリティア社員が国を滅ぼす」、というタイトルでの書籍化をするといっている。

2011年のネット造語として流行りそうだ。

なお、テレビ局や大手広告代理店など既存のマスメディアはソリティア社員が最も多くいる特権業種であるため、マスメディアでこうした自らの体質を批判する造語が取り上げられるかは不明であり、自浄作用は期待できないとの意見がネット上では圧倒的多数である。

このブログのテーマの一つである、M&Aにおいても、かつて楽天はTBSを買収しようとしたが、マスメディアの拒絶によるネガティブキャンペーンの世論操作にあい、頓挫した歴史を持つ。

そのため、世界的にもソリティア社員の既得権が強いメディアや規制産業の体質は、日本の資本市場のリスクとして捉えられており、外国資本が逃げ長期に渡る不景気の要因の一つとなっていると見受けられる。法人税率を下げるだけで、成長産業の資本が国外に逃げず、一方で外資が入ってくると思っているのか。

現在、盛んなM&Aは、成長意欲のある国内資本による外国企業の買収(インアウト)案件の一辺倒だ。これは、企業の「内部留保」が外国に移転しているということだ。一方で、外国の「内部留保」は日本に入ってこない。

私たちは、ソリティア社員を許さない一方で中途採用を活発に行う楽天が、ソリティア社員であふれ新卒採用一辺倒のテレビ局を買収した場合の、

国益を、

損なわせた当時の世論が正しかったのか、再考するべきではないか。当時、テレビ番組で意見を述べた評論家等が誰によって選ばれたのか、考えるリテラシーが我々にはあるはずだ。