『去年(こぞ)今年(ことし)』 2014年年の瀬のお茶会で、「ウンカの力」を知る | 俳茶居

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       防人に木の芽の路の地雷かな (呑亀〉

去年(こぞ)今年(ことし)』  2014年年の瀬のお茶会で、「ウンカの力」を知る



 ルハン邸の玄関を開けると、羊さんと破蓮に迎えられる 2014年12月28日


一年が猛スピードで去って行く。年末になるとそう思う。しかしそれは人間の感覚で、実際には地球が太陽の周りを回るスピードが速くなったわけではない。


主役の茶葉に迎えられ、静かな茶会の始まり


 

 年末12月28日午前の部に、ルハン さんのお茶会の客となる幸運があり出かけた。「ウンカのチカラ」をテーマに出自の明確な「東方美人」と「蜜香紅茶」で構成された6種+番外1種をいただき、一年の終わりにご褒美を頂いた気分になった。参加した午前の部(9:00~12:00)で頂いたお茶は以下である。

東方美人 2014 許時穏(苗栗)  苗栗県コンテスト二梅 

東方美人 2014 鄧国権(苗栗)  苗栗県コンテスト三梅 

蜜香烏龍 2012 臻味茶苑(台北) 梨山伝統 

蜜香烏龍 2012 建福茶荘(嘉義) 竹山冬片 

蜜香紅茶 2014 嘉茗(花蓮)   花蓮蜜香紅茶コンテスト銅牌賞 

蜜香紅茶 2013 吉林茶園(花蓮) 焙煎蜜香紅茶 

蜜香紅茶 2012 建安(三峡)

(ルハンさんの茶譜より) 

 

 東方美人、密香紅茶はウンカの食害でワンフェイクし、違う感覚のお茶になったのだろう。特に東方美人は、初めて飲んだ5年くらい前、その刺激的な香りに感激したことを覚えている。それが台湾のどこで作られたのかは覚えていないが、新鮮で強い香りだった。今回の「ウンカのチカラ」茶会では、それぞれの茶葉の持つ香りの他にボディーの滋味をゆっくり味わうことが出来、とても良い気分にさせていただいた。3番目に頂いた梨山伝統が印象深く記憶に留まっている。香りもさることながらそのボディーの美味しさを味わうことが出来た。

         凛とした佇まいの茶壺(村上躍作)


蓋碗、伝統的茶壺、現代作家茶壺(村上躍作品)を使い分けられたのも、茶器と茶葉の相性への配慮が伺えて良かった。村上茶壺の黒光りする外見と、その中で茶葉と熱湯が繰り広げるドラマを想像することは楽しかった。隣に座られた さんが、「茶器は大切よね。」と一言と呟かれた。


          良い年でありますように


俳句の季語に「去年(こぞ)今年(ことし)がある。大晦日から新年になるあたりの事を言う。(新年の季語)

去年今年貫く棒の如きもの 〈虚子〉 

高濱虚子のこの句、大晦日から年始に変わることを見事に捉えた一句である。「大晦日から元旦になるのは、しっかりと過去が棒のように連なり、切れ目なく押し出されるが如く新年になるのだ。」と解釈できる。言われてみればその通りだが、表現することは容易くはない。

大晦日と新年、去年と今年は実は切れてはいない。そこに区切りを付け、新年としてリセットし、新たな気持ちでスタートしようとするのは人間の知恵である。年末の「ウンカの力」で運気をいただき、新しい良い年を迎えることとする。ご一緒に年末の3時間を、楽しく過ごすことが出来た皆様に感謝である。そして素敵な茶席をプロデュースしてくれたルハンさんに謝辞を伝え、労をねぎらいたい。是非次回もお声がかかる事を楽しみにしている。多謝、再見、謹賀新年。  


                     2015年 元旦  俳茶居