なちゅの市川綜合研究所

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「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

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【2796】ファーマライズホールディングス (東証プライム) NT

現在値 644円/100株  P/E 39.4  P/B 0.94  5月配当 11月株主優待

調剤薬局中堅。買収で勢力拡大。投資ファンドと資本提携。
配当金は5月末一括の20円のため、配当利回りは約3.11%となります。

ファーマライズホールディングスは株主優待制度を実施しており、11月末に単元株以上を保有する1年以上保有株主に対して2,500円相当の自社店舗商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.98%となります。

業績を確認していきます。  

■2021年5月期 売上高 523億円、営業利益 12.4億円 EPS 45.8円 

■2022年5月期 売上高 532億円、営業利益 15.0億円 EPS 48.0円 

■2023年5月期 売上高 520億円、営業利益 15.2億円 EPS 35.5円

■2024年5月期 売上高 540億円、営業利益 10.5億円 EPS 16.0円 ce修正
□2023年11月2Q 売上高 269億円、営業利益 7.1億円 EPS 28.2円

□2024年2月3Q 売上高 406億円、営業利益 8.6億円 EPS 17.2円(3/25)

2023年11月中間期の売上高はYoY+4.7%の269億円、営業利益はYoY+23.9%の7.1億円と対前・対計画で増収増益となりました。主力の調剤薬局事業については、M&Aや出店による上乗せにくわえ、新型肺炎禍の一巡で処方箋枚数が順調に回復したほか、後発薬加算や地域支援加算といった処方箋単価増も寄与しました。調剤薬局の出退店については、出店12(M&Aを含む)・退店2の純減10で上期末の店舗数は310店となりました。


なお2024年5月期の通期見通しは3Q時点で減額しており、売上高がYoY+4.0%の540億円(期予:535億円)、営業利益は▲26.5%の10.5億円(期予:14.7億円)に修正しています。調剤薬局事業は処方箋枚数自体は計画超で推移しているものの、仕入環境の悪化による原価増のほか、M&Aによる支払手数料(※後述)が嵩み、営業利益を▲4億円下方修正しています。3月25日に開示済の3Q決算は売上高406億円&営業利益8.6億円で進捗しています。

 

進行期は2025年5月期を最終年度とする3年中計の中間年度の位置付けでしたが、令和4年度の診療報酬改定により300店舗超チェーン(の集中率85%超店舗)は調剤報酬点数減点措置を受けたことから、昨年9月に減額ロールしています。売上高については523億円→570.6億円(従予:584億円)、営業利益は12.4億円→18.8億円(従予:25.0億円)にそれぞれ下方修正しています。なお取組事項は変わらず、①調剤を核とした事業展開強化、②経営基盤強化、③ESG/IR強化の3点を挙げています。

 

①はかかりつけ薬局として高齢者への関係性強化と地域支援調剤加点の獲得を志向した“健康サポート薬局”と称する健康寿命増進型の店舗を81店舗まで拡大させています。②は既買収10社のシステム統合やDX化によるオペレーションの効率化(電子処方箋の受入、電子お薬手帳の提供、マイナポータル連携、LINE友達活用等)を進め、利便性・採算性改善を図っています。


当社は2018年に投資ファンドのアスパラントに三者割当増資&転換社債の合算で15億円分(@570円)を割り当て、M&A案件のサポートを受けてきましたが、昨年11月に持分の殆どがスズケンに相対売却されています。スズケンは医薬品卸大手であり、卸=小売で中長期的なシナジー創出が見込まれます。また当社は上述の「300店ハードル」が足枷となり、小粒~超小粒案件を継続的にM&Aしてきましたが、調剤減点を受容することとし、積極的な増店施策に舵を切っています。足許では30店を東名阪で展開するGOOD AIDを買収し、調剤店舗数を一気に352店舗まで拡大させています。

 

財務状況については、資本異動を契機とした転換社債の転換が進む一方、高水準の自社株買い(10億円/12.07%)を実施しているため、自己資本比率は29.0%に留まっています。他方で、配当予想は周年記念配当の6円を乗せた年20円配を予想しており、進行期に関しては配当性向100%を大きくオーバーする大還元を予定しています。


*参考記事① 2023-04-18 618円 OP

【2796】ファーマライズHD/調剤基本料の減額改定受ける“300店ハードル”が業績拡大の重荷。

 

*参考記事② 2022-04-07 775円 OP

【2796】ファーマライズHD/調剤点数減額改定見込みも枚数増でしのぐ、現中計は達成圏。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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【3244】サムティ(東証プライム)  OP

現在値 2,693円/100株  P/E 11.0  P/B 1.26  11月配当優待 5月配当

関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計94円のため、配当利回りは3.49%となります。

サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の2単元保有株主に対して、当社が運営(運営予定含む)12ホテルの共通宿泊券を1枚進呈しておりますので、1枚10千円として換算した場合の、2単元保有時想定配当優待利回りは約7.20%となります。

業績を確認していきます。

■2021年11月期 売上高 904億円、営業利益 94.6億円、EPS 242円 

■2022年11月期 売上高 1,284億円、営業利益 140億円、EPS 233円

■2023年11月期 売上高 1,986億円、営業利益 195億円、EPS 221円 

■2024年12月期 売上高 2,050億円、営業利益 210億円、EPS 244円 ce変則

□2024年2月1Q 売上高 217億円、営業利益 4.5億円、EPS▲55.8円(4/15) 

□2024年5月2Q 売上高 650億円、営業利益 67.0億円、EPS 30.1円 四e

 

2023年11月期の売上高はYoY+54.6%の1,986億円、営業利益はYoY+38.7%の195億円となり、3Qの増額見通し並みで着地しました。不動産事業の再生転売は60物件、開発・分譲については上場予定の傘下REITにホテルを拠出したほか、その他機関投資家を中心に計66物件を売却して好調に推移しました。ホテル事業も飛騨高山と羽田空港にメルキュールを開設し、既存施設も旅行支援や訪日客復元で回復が進んだ一方、ストック性の賃貸事業については売却物件の増加により僅かながら減収減益となりました。

 

進行期である2024年12月期は13ヵ月変則決算のため単純比較出来ないものの、売上高はYoY+3.1%の2,050億円、営業利益はYoY+7.5%の210億円と実質横ばい圏を予想しています。不動産事業の開発・分譲事業は案件数減少で後退するものの、再生転売はレジやホテル(羽田メルキュール持分)のREITへの拠出等が想定されるほか、運営物件や訪日客増でホテル事業は大幅な増収増益を見込みます。なお、4月15日に開示済の1Q決算は売上高が215億円&営業利益4.5億円で低進捗ながら季節偏重で計画線と解されます。

 

2022年に当社は従来中計の「サムティ強靭化計画」を“アフターコロナ版”の現中計にロールしています。修正中計の期間は5ヵ年で、最終年度の2025年11月期に売上高2,200億円(CAGR17%)、営業利益350億円(CAGR15%)を目指します。譲渡益依存のP/L重視のフロー型経営から、アセット品質の確保や賃貸売上の増加、財務余力維持のB/S温存のストック型経営への切替を志向する一方、進行期の営業益予想はなお210億円程に過ぎず、目標計数の達成はハードルが高い印象です。

 

ストック資産維持の方向性から、傘下REITへの拠出は抑制し、当初17%(足許15%)のインカム比率を50%まで引き上げる方針です。実際に足許のレジREITへの拠出は従前よりかなり抑制的となっているものの、上場を延期していたホテルREIT(サムティ・ジャパンホテル投資法人)については、IPO接近のため拠出が多くなっています。

 

持分法適用(32%)としていたホテル開発・運営のウェルス・マネジメント(3772)とは提携解消したものの、2022年には大和証券Gが出資する森岡毅氏のマーケ会社「刀」と協業し、ネスタリゾート神戸の経営権を取得しています。今後は向こう5年で同施設に100億円を投じ、賃貸マンションやホテルに次ぐ“第三の柱”として、テーマパークを事業化する方針としており、神戸に続く第2弾として沖縄北部でJUNGULIAを2025年に開業予定(当社は一部出資)です。

 

財務面は2018年に149億円をライツで調達し、2019年にも大和証券Gが自社株買取と転換社債(CB)引受で127億円を出資したほか、2021年にも同様にCBで120億円を調達し、目下の自己資本比率は21.1%となっています。株主還元は配当性向を30%基準としながらも、4円増配となる年94円配当(配当性向38.4%)を見込んでいます。


*参考記事①  2023-11-07  2,476円 OP

【3244】サムティ/ホテルREITの上場延期が奏功、中計達成に向けた業容拡大も進む。

 

*参考記事② 2023-04-17 2,147円 OP

【3244】サムティ/不透明取引による決算延期明けだが、公募ホテルREITが上場へ。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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【8908】毎日コムネット(東証プライム) OP

現在値  784円/100株  P/E 9.9  P/B 1.24  5月配当株主優待 11月配当

学生マンションを地主に提案、一括借り受けるサブリースが柱。新卒採用支援も。
配当金は5月末・11月末の年2回の合計28円のため、配当利回りは約3.57%となります。

 

毎日コムは株主優待制度を導入しており、5月末時点の単元株主に対して、ベネフィット・ステーションの年間会員資格を付与しております。

業績を確認していきます。

■2021年5月期 売上高 170億円、経常利益 14.6億円 EPS 52.9円 

■2022年5月期 売上高 188億円、経常利益 16.9億円 EPS 61.4円 

■2023年5月期 売上高 212億円、経常利益 20.8億円 EPS 77.0円

■2024年5月期 売上高 215億円、経常利益 21.0億円 EPS 78.8円 ce

□2023年11月2Q 売上高 104億円、経常利益 8.8億円 EPS 34.1円 

□2024年2月3Q 売上高 145億円、経常利益 8.2億円 EPS 31.3円(4/10)

2023年11月中間期の売上高はYoY▲8.1%の104億円、経常利益はYoY+0.9%の8.8億円となり、対前で減収ながらも対計画で上振れました。柱の不動産事業については、管理部門の期初時点18年連続で入居率100%(自社貸主物件)はCC佐賀の未達で達成出来なかったものの、他は全て満室稼働となったほか、開発部門で計画どおり2物件を売却しました。学生生活事業についても、売上の過半を占める夏季の合宿等の課外活動分野が平時の6割程度まで回復したほか、採用支援も活動時期の早期化による広報(DX)支援ニーズ増加で増収しました。


なお2024年5月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY+1.2%の215億円、経常利益はYoY+0.8%の21.0億円を予想しています。不動産事業は開発事業で3物件(1Q2件、4Q1件)を売却し、3棟の新規開業により管理戸数は純増254戸の12,046戸を見込みます。学生生活事業も、学生旅行や合宿の回復が顕著なほか、採用支援も堅調であり、全セグメントで好調な状況が確認されます。4月10日に開示済の3Qは売上高145億円&経常益8.2億円と低進捗ながら、実際は季節偏重で上振れ圏と解されます。

 

進行期は2029年5月期を最終年度とする中計の初年度であり、売上高を212億円→300億円に、経常利益を20.8億円→30.0億円まで引き上げる計数としており、向こう6年で4割超の増収増益を見込んでいます。取組事項としては、①既存事業の強化・拡大、②事業領域の拡大・変革、③新事業創出の3点を挙げています。

 

①・➁の既存事業と領域拡大については、開発強化で管理戸数目標を3,000戸増の15,000戸水準に引き上げるほか、地方新規エリアの拡大や単身社会人向けの開発など多様な開発を進めます。また、アプリやAIを活用したDX化による直客化(24hリーシング)により、高効率・好採算化を図るほか、③の新規事業は、新卒採用支援から人事コンサルに幅を広げるほか、集まった物件情報を活かしたシニア住宅やコンセプト物件の開発等にも取り組みます。

 

財務に関しては自己資本比率は39.3%と不動産事業者としては異例の好財務体質を維持しており、用地取得等の物件取得には十分な余力を有しています。他方、株主還元については、配当性向35%基準で横引きの年28円配(配当性向43.8%)を予想しており、今次中計期間についても同水準の維持を見込んでいます。


*参考記事① 2023-10-28  722円 OP

【8908】毎日コムネット/2029年迄の6年中計を公表、社会人向けなど業容拡大を志向。

 

*参考記事② 2023-03-25 778円 OP 

【8908】毎日コムネット/学生課外活動復活と物件売却進捗で最高益、総還元性向は7割圏。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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