1998〜1999年頃、当時日本経済はバブル崩壊し不況の真っ只中だったがまだまだ企業の経営者や役員さんなどの高所得者さんやらが好景気期に避暑地として所有した別荘なんかを頑張って維持していた頃、当時その役員を上司としてもつボクの友人が従業員価格の激安で貸し出してるから、という理由でボクの家族を誘ってくれた。
場所は栃木県那須市。6月か7月シーズン前の頃だったか。
その別荘は森林の中のいわゆる別荘が集中しているエリアにあり森の中とはいえ、このオフシーズン時でさえ怖いとか寂しいとか全く感じなかった場所だったが散歩でもしようと一歩外に出てみると人が居ない見通しの悪い未舗装の車幅1台分の狭い砂利道や、鬱蒼とした樹々の隙間から入る日の光のみで、昼間でも薄暗い場所だった。その時天気も曇りだったし。
当時ヨチヨチ歩きの息子を持つボクは昼寝後散歩に連れ出し薄暗い道を2人で歩き始めた。
5〜10分ほど経っただろうか、そろそろ抱っこしろって言うんだろうな、と思っていた矢先、左手に少し開けた空間があってそこから物凄い視線を感じその方向を見てみたら……。
ボクから見る牛の身体部分は前頭真横で首だけ一斉にこちらに向けている。
綺麗に前頭L字に首だけ曲げてこちらを見ている。この、クビだけというのが怖い(多分これがトラウマ)
まるでオブジェの様に本当に動いてない、シッポさえも。
ボクは瞬時に固まった。
周りは風や鳥や虫の音さえも聞こえない無音状態。
物凄く長い時間にかんじたが数秒間の事だったんだろう。
こちらに一斉に攻めよってくるかもしれない、 その恐怖感で固まっていたボクだが我に戻り息子を抱き抱えその場をダッシュで走り去った。
越谷辺りに住んでると滅多に見る動物じゃないからかね。
後日母親にその事を話したら越谷でも牛や馬は普通に飼っていて農作業に使っていたとの事。
昭和〜30年代ね。
その件以来この歳になっても牛が怖くて怖くてたまらない。
焼肉は普通に食べるけどね。
それから20年が経ち現在成人した息子にその時の事を聞いてみたら全く覚えてないらしい……。
そりゃそうだよな。
それではまた!