猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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それはそれはもうあの恐ろしい大魔王様に厳命され足として使うようになったタクシーを下り、目の前に建つマンションの一角を見上げて、小さなため息をひとつ。
重力に逆らって動く鉄の箱に乗ってたどり着いたドアの前、解鍵するために取り出したキーケースの中にある2枚のカードキーを見て、ため息をもうひとつ。
ピッと鳴る電子音をさせ開いたドアの先、玄関に揃えて置かれている大きくてピカピカな黒の革靴に、更にため息を吐き出した。
廊下を進んだ先、私の趣味なファンシーキュートな趣味のリビングにいたのは、なんともそぐわぬひと。
ソファーにもたれラグの上にだらっと座る、私の小言対策にか近所のコンビニで買って来ましたって感じのプラスチックの容器に入った野菜スティックと発泡酒のロング缶で晩酌中な敦賀さん。
敦賀さんは私を見て言う。
「おかえり、最上さん。お疲れ様。」
当たり前みたいな顔をして。



あぁ、もぅ………ため息も出ない。





あの日の朝、恐る恐るに振り返った私が見たのはいつもの秀麗な顔よりちょっと油断したみたいなかわいい寝顔。
その向こうに見えた時計の針が差す数字と頭に浮かぶ本日のスケジュールに、慌ててベッドを抜け出した。軋む身体にシャワーを浴びて、急ぎ足でメイクに身支度。
それから、鞄を取りに行ったリビングで起き抜けですってぼさついた髪とヨレついたボトムにシャツを羽織っただけの敦賀さんと鉢合わせた。
「最上さん、俺……」
私の腕を優しく捕らえる大きな手と、形の良い唇から零れ出る先の言葉が恐くて……
「わ、わわ私、これからお仕事が…」なんてわたわたとテンパった半泣きで慌てる私が黒の瞳に映っていた。
そんな情けない顔の私を見て、少し考えた様子の敦賀さんは、にっこりと似非紳士臭い笑顔で言った。
「最上さん、ここのスペアキーもらえるかな?」
などと……あぁ、何故私はあの胡散臭い笑顔のひとの言う事を聞くとろくな事にならないと解っていながら………



その日の夜からであります。
敦賀さんが何故なのかひょっこりと「ただいま」と、さも当然のことのような顔をして私の部屋へと棲み付くようになってしまったのは……
渡したスペアキーを返してもらおうとすれば
「あぁ、ごめん。俺だけが最上さんの家の鍵を持ってるなんて不公平だもんね。」
なんて言われて渡されたのは、敦賀さんのお家のカードキーで……敦賀さんの豪邸のスペアキーなんて恐ろしいものを持っていられないと返そうとするのに
「防音設備あり、ルームシアターあり、トレーニングルームも完備。最上さんの自由に使ってね?」
なんてにっこり笑顔圧力で返却を受け取ってもらえなくて……    
頑として帰ろうなさってくれない、尊敬する先輩。
まさかソファーで寝かせるなんて出来ないとベッドを譲ろう奮闘もしたけれど、前日の疲れの残る身体をひょいっとベッドへと引っ張り込んだ敦賀さんのそのセラピー効果もあって気が付いたら、敦賀さんの腕の中なんてところでぐっすりと眠り混んじゃってて………
それからずっと、私なんぞの貧相な身体を抱き心地がいいとかなんて戯言を仰る方に言いくるめられたり、半分実力行使な移動法の末にだったりで………
朝、目が覚めると私のあるのかないのかわからない悲しいサイズの胸やら腰やらに敦賀さんの腕が絡み付いてたり……いやっ!べ、べ別に、あの男女のうにゃらかな破廉恥事がある訳でなないのですが…… 
何故か、敦賀さんと同じベッドで眠らされてたりしております。




そんなこんなで、気が付けばほぼ毎日?週に4~6日くらいの頻度でもって敦賀さんがシレッと我が家に帰って来ちゃうようになってしまっていて、あのヤンマガ兄弟に負けず劣らずな距離での生活になってしまっています。





もう、本当に………何がなさりたいんですか?





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久しぶりにこのシリーズを書くにあたり、ちょっいと被り防止にと読み返しって羞恥ぷれいをしてみたんですけど………
我ながら、何を考えてこんな自分で首を絞めるよーなどえむなシリーズをはじめやがったのか……あと、物量が凄まじくてげんなりしたりー。
(´Д` )


あ、これ、たぶんも一話、蓮さんサイドなものが続く……のかなぁ?書けるといーすねぃ。
何がしたいんだろうね、この蓮さんは。
| 壁 |д・)さぁ?←



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

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