猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する番外編的な続きのひとつとなっております。


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「蓮が、逃げ出した。」



事務所の稼ぎ頭で、仕事人間とも言えてしまえそうな無遅刻キングな敦賀さんのボイコット。
有り得ないそんな非常事態な筈なのに、今日も今日とて相も変わらずにその本格的過ぎるコスプレ衣装を止めないでいる事務所の社長は私にそう言った。
ギリシャ神話の神様みたいに月桂冠まで頭に乗っけてシーツでも巻きつけたみたいなふざけたコスチュームで、同じくな服装にかわいらしい小ぶりな天使の羽を背中に背負ったいつものあの執事のセバスチャン(仮)な彼を従えている。
私の座る柔らかなソファーの前にあるローテーブルに文字通りに山積みに積み上げられた、人生の中でなかなか生でお目に掛かれそうもない程山の如くに積み上げられた札束を前にして。

 



どうしようもなく油断し切って安心してしまうような敦賀さんのあのいい香り。
抱き寄せてくれるあたたかな腕とゆるゆると優しく頬を撫でてくれる、少しかさついたみたいな指先。
「ごめん…ごめんなさい…………最上さん……最上さん………………キョーコ…」
私を呼ぶ、あの耳障りの良い低い声。
その声に宿る哀しいみたいな寂しいみたいな……泣きたくなような感情に、手を伸ばしたくなるのに………鉛でも詰め込まれたみたいに動かない身体と開かない瞼。
名残を惜しむみたいに、額に瞼に頬に落とされていった柔らかなくちづけの感触。
「ごめんね……………でも…それでも………君に…………………生きていけないから………だから………………て?」
懇願する低い声。
私の頬から、離れていくぬくもり。



いやなの…いや……お願い…嫌です………置いて行かないで……………



纏わりつく重たい泥みたいな浅い眠りからやっと抜け出した時には、もう既に横にいた筈のぬくもりも彼の気配もなくなっていた。
ギシギシに違和感満載の身体を無理矢理にお越して、苛立ちのままにぼさぼさになってるだろう髪をぐしゃっと握り締めたその時、私の携帯が鳴った。






私をここへと呼び出した社長からの電話。
「蓮から連絡があった。最上くんの望む償いを……なんだろうとするだと。とりあえず、こんなもんでなんの償いにならないのも解ってやがるが、あいつがこれまで『敦賀蓮』で稼いで来た分の大半だ。」
訴えたいなら弁護士なりなんなりと用意するし、それで足りなきゃまだ搾り取るぞ?なんて指差された先にあるものに目線すらやらないままに
「……で?とうの敦賀さんはどちらに?」
苛立ちを隠さないままの声で問えば、背後の執事さんに指で葉巻を求めた神様擬きな社長が言った。
「逃げた。君が視界に入れたくもないかもしれないだろうって、『敦賀蓮』の仕事も投げ出してな。」
慰謝料の足しにするって車は取り上げといたからそう遠くにゃ行ってないとは思うがな…なんて、空気清浄機に向かって煙と一緒に吐き出す。
「それで、最上くんは……どうする?」
絢爛豪華、神の玉座みたいな椅子に踏ん反り、揶揄うようににやりと笑ったくせ者な社長は、私にそう尋ねた。
だから、私は答える。




「決まってるでしょう?もちろん………捕まえに行きますよ。」





私から、逃げ切れるなんて思ってるでしょうかね?
ちゃんちゃら可笑しくって臍でお茶が沸きそうだ。
最上キョーコ、根性と執念深さにはそこそこの自信がございます。
何がなんでも………敵前逃亡したあの方の首根っこを引っ捕まえてやりましょうとも。





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えーーーと、なんぞこれ。
これからどーしましょうかしらね?


つ……続く…の、かな?
。(;°皿°)



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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