少し前になんとなくぽちぽちと作ったなんとも中途半端にぐちゃっとしたパラレル設定な猫木の妄想駄文
の続きが読みたいってコメントくださいました方に背中を押されちゃいましたので、
あの続きのよーな久遠くん視点なものとなっております。
甘さ云々よりも、ぶっちゃけストカものっぽく成り果てましたので、もうどんなでも大丈夫って方はお付き合いくださいましー。
( ´ ▽ ` )ノ



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銀のスプーンどころかプラチナのスプーンを咥えて産まれてきただって?
はっ。
そんなこと……散々に言われ慣れたし、解ってる。
けど、人生に於いて大事なのはどんなスプーンを咥えて産まれたかより、本当の本当に唯一ただひとつ、心の底から手に入れたいものを捕まえられるかどうか…………そうだろう?




光り輝くステージに立つ両親の元に産まれて、物心つく頃には自分を取り巻く環境が世間一般よりは恵まれ、そして、羨望されるものだとは理解していた。
けど、当たり前のようにそんな両親の背中を追って飛び込んだ世界では、その反動とばかりに理不尽な闇が待ち受けていた。
俺の演技は父の劣化コピー扱いか、母譲りの容姿でしか求められない。俺を取り巻く全てが俺を透過して両親を見ているようだった。
混血と呼ばれ、振るわれる暴挙と奪われた私物や役や仕事。
俺を認めて貰おうと足掻けば足掻くほどに、それを否定されお前の居場所なんてないと詰りつけられて追い詰められてしまっていた。
そんな俺を痛ましげに見る両親と、燻ったものを吐き出す事も出来ないでいた苛立ちに、あんなに暖かかった家の空気までがギスギスしたものになっていた……そんな頃だった…………
彼女が、家にホームステイしにやって来たのは。
日本で父が所属していた事務所のボス。久しぶりに見たボスは相変わらず、どこの仮装パーティーに出る気なのかって程に派手派手しい衣装とテンションで……引き連れたダンサーズと散々に踊り踊った後に、ちんまりと残されていたのが、彼女だった。



どこにでもいそうなアジア人の女の子、そんな印象の彼女。
映画のプロモーションで来日した父の付き人みたいなものを数日務めたらしい彼女をいたく気に入った様子の父。「我が家の一員となるからにはキョーコは私たちの娘だ。」そう胸を張られた時には、正直、ひねて不貞腐れたような息子などかわいくもなくなったのかと……おもしろくなかった。
だから、父を尊敬の目で見て慕う様子の彼女に……そのクセにどこか戸惑ったぎこちなく遠慮がち過ぎた様子が、自分の居場所に入り込んだ異物の様に思えて、イライラとした空気を隠さずに辛辣に当たってしまっていた。
両親が彼女を構うのも、彼女が父に頭を撫でられて困惑するくせにこっそりと頬を染めるのも、母の容貌にキラキラと夢見がちな瞳で見るくせにどこかビクつくような怯えも…………両親心配そうな伺う目も、全てを彼女のせいにして居心地が悪いと家を飛び出したままになってたんだ。
そんな俺が家を出て、いつける先など親友のリックのところしかなくて…………



それでも、リックも俺に「逃げるな、立ち向かえ」って言うんだ。
解ってる、俺だってこのまま腐ってるばかりじゃいけないってのは解っているんだ……でも、ドロドロと粘り付くみたいな暗闇に囲まれて、どこへ向かって走ればいいのかもわからないんだ。
ある日、リックと大喧嘩したんだ。
仲直りにって、こっそり帰った自宅のキッチンであやふやな記憶を頼りに見よう見まね作ったオムライスは…………見るも無残な出来栄えで。
そんな俺を見つけた彼女は言ったんだ。
『久遠くんも妖精の血を継いでるから……オリジナリティーでファンタスティックな料理になっちゃうのかな?』
って
「マズい」さえ上手く言えなくなるほどの凶悪な味の俺の作った化け物じみたオムライスを一緒に攻略してくれた彼女。
母の美貌にメルヘンな夢を見ている彼女を揶揄うつもりで演じた妖精。
いつしか、そんな彼女の笑顔を守りたくって本気で役を憑けるようになっていたんだ…………そのすべてが彼女の計画の上で踊っているなんて気付きもせずに。
そうやって気が付けば、彼女の笑顔のために彼女の妖精を嬉々として演じるようになっていた俺。
それでもまだ、父さんが彼女の頭をくしゃくしゃと撫でるのも、母さんが彼女を抱きしめた時にぴきょっと固まったその後にほにゃっと照れくさそうにしているのも…………どうしておもしろくない気分になるのかなんて、解っていなかったんだ。




そうやって、何時しか彼女のおかげで先の見えぬ暗闇の中に一筋の光が射すように、立ち向かう先が見えたと思えたその頃。
その頃には、自分の心に根付いた病をひっそりと理解していた。
彼女に触れる者が、例え彼女のクラスメイトでもリックでも父さんでさえ胃の腑がひり付くような苛立ちを覚えるようになっていたから。
 それでも……もう恋愛なんて懲り懲りだと傷ついた瞳で語る彼女は、誰のものにもならずにそばにいてくれるって……安心していたんだ。



酷いじゃないか。
苦境に手を差し伸べ、留学からホームステイ先まで手配してくれたボスへの費用と恩を返すのだと……嫌になるほどの優秀さで早々に着々とステップアップして経営学などを修めた彼女。
年の差もあって、俺の事なんてまだまだ妖精か弟かにしか思ってもくれないのに…………それこそ、子ども扱いを逆手に取って抱き付いても頬にキスしてみても、ちっとも男として意識してやくれない癖に!!
俺の心を掴み取ったままで、日本に帰るだなんて…………





両親にまた遊びに来るよう泣き縋られて弱り顔をしていた彼女。
割と発達が早く、その頃にはとっくに○通があったのをいい事になんだかんだと言いながら押しに弱い彼女、いっそのこと押し倒して既成事実でも作ってしまおうかとかも考えたけど…………
自分の手に、まだ自分で立つ力も彼女を支え守る力もまだまだ足りない事の自覚もあって



約束だけで我慢したんだ。






そうして彼女と別れてから2年。やっと今日、この国へ来れた。
モデルとしても、俳優もしても、両親の地位にはまだまだ及ばずとも少しは認められるようになれたし、ちゃんとボスにだって事務所に所属してこの国で活動することのお墨付きを貰ったよ?


ねぇ?キョーコちゃん
約束したよね?




俺の背がキョーコちゃんより大きくなって迎えに行ったら……結婚してくれるって。

 


指切りもしたもんね?
まさか……幼気な少年の純真な心を弄んだりしないよね?




さぁ、約束通り迎えに来たよ。
My  sweet  angel





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ホームステイした時点でキョコさん16才、久遠くん10才くらい?な年齢差を想像しておりました。
(≧▽≦)
2年半くらい留学して帰国したキョコさんは、ローリィの元で留学費用の返却と恩返しの為に第二のセバスチャン(仮)的なお仕事をして日々ローリィの思いつきな騒ぎに巻き込まれている……みたいな?


んで、ホームステイ先の小さな少年との微笑ましい約束な思い出…………とか思ってたら190センチくらいなまで育ちに育ったストカ臭いのがやって来ちゃうと。笑




んで、こっからどうやってキョコさんを捕まえるかは、皆様の妄想次第にございますのよ!!
ヾ(@°▽°@)ノ



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

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