こんにちは
ビストロ ヒマワリの
後藤 聖名(みな)です。
今日は 開業当時から今までずっと
私の中に迷いや葛藤があって
書けなかった内容を勇気を出して書きます。
前回の記事「生きているごはん」を
書いていたら、
やはりこの事はお伝えしなければ！！
思ったのです。
またしても あの、
「おかあさん、ごはんがしんでしまうよ」という2歳の息子の言葉に、今も助けられています。(※息子は今、高校生です)
ビストロ ヒマワリでは
店内でお出ししているお料理も、
お弁当や、テイクアウトのお料理も
作り置きせず、トゥーオーダー(cock to order…ご注文を受けてから作り始める)で調理しています。
お客様に、なるべく出来立てホヤホヤの一番美味しい状態でお料理を召し上がって頂く事が 大きな価値提供だと考えているからです。
お母さんが家族の為に 晩ご飯を作りながら、ちょこっと味見する時。
家族が食べる時よりも 一番美味しいって
ご存知ですか？
出来立てホヤホヤをハフハフしながら
食べられるのって
作った人だけの特権ですよね。
そんな 出来立てホヤホヤをお客様に
食べて頂くために デザートや煮込み料理など、時間がかかりすぎるもの以外は
ご注文を頂いてから
野菜の皮をむいたり、肉や魚を切り出すところから作り始めています。
デザートも完成の状態で保存していないので、ご注文をうけてから
カットしたり、フルーツを切ったり組み立てをしてからお出ししています。
だから 一般的なお店よりも
お料理を提供するまでに、時間がかかります。
野菜や肉、魚も切り置きしているだけでも
酸化して 変色したり、美味しくなくなるのですが、提供する早さを第一に考えていたら作り置きをしなければいけません。
勿論 お待たせする時間が あまりにも長すぎるのはいけないと思いますが
とにかく早く提供する事を一番に追求していくと
ほとんど作り置きする事になり、それを温め直したところで出来立てホヤホヤには遠く及びません。
「料理がしんでしまっている」からです。
前回の記事を読んでおられない方は
よろしければご覧下さいね。
お店を始めてから今までシェフは 頑なに
そのスタイルを続けて来ましたが
正直、世間の流れとは逆行していました。
「早い、安い、旨い」のが流行る店の条件と言われていましたし、皆様お忙しい中、貴重なお時間を割いて来て下さるのですから 少しでも早く提供するのが最大のサービスだというのが世間一般の主流の考えだからです。
サービス担当の私でさえ、
シェフのそのやり方を見ながら
正直、いつもハラハラ、ドキドキでした。
お客様のご希望に添えず、ご迷惑をおかけしてしまった事も沢山あります。
お客様をお待たせしなければ、
もっと繁盛するのに。と色々な方からアドバイスを頂いたことも、一度や二度ではありません。
でも このスタイルだからこそ生まれる価値があり、だからこそ、開業当初から今まで、途中お店を移転してもずっと通い続けて下さるお客様がいて下さるのでは？
と 今になってですが思っています。
そして
ヒマワリでごはんを食べるといつも、本当に元気になる。
と言って下さる方が多いのも、
シェフのこのような調理のスタイルで
「お料理が生きている」からなのだと思います。
もうすぐお店を始めて19年になります。
これだけやってきて、
今さらではありますが
シェフが 一番良いと思って頑なに続けている
「トゥーオーダーでお作りする」というやり方で
皆さまに価値を感じていただけるように
私がシェフの思いや一番大切にしていることを もっとお伝えしないといけない。と ようやく考えられるようになりました。
シェフと私、たった二人でやっているお店ですから本当に、何もかも 二人三脚なのです！
勿論、ランチタイムはなるべく早くご提供できるよう最大限の工夫を心がけていますし、
事前にお急ぎとわかる場合は
ご予約時にメニューのご注文をして頂いて
事前に準備して、なるべく早くお出しするということも可能です。
それ以外で
急にお店が混雑して来るなど
思いの外、時間がかかってしまうような場合、途中で
突然「急いで下さい」と言われても
出来るかぎりのことはしますが
ご希望に添えない場合もあります。
お客様のお気持ちは
本当によくわかるので とても心苦しいのですが
素材にきっちり火が通るまでの時間を縮める事は出来ませんし、シェフがたった一人で、お客様全員の分を 一つずつ順番にお作りしていますので その流れを途中から、変えられないのです。
小さなお店の中は
シェフがハンドルを握っているバスみたいなもので、走り出したら お客様全員と、シェフが一心同体になって ぐねぐね道やデコボコ道も、はたまた美しい景色のところも、乗り越えながらデザートまで進んでいきます。
と そんな風に私はいつもイメージしています。
他のお客様と一緒のバスになんて、乗りたくない方、
スピード重視の場合は
スピード重視のお店を選んで頂くのがお互いの為に宜しいですね。
また、ご理解頂きたいのですが
「急いでいるのでお料理を
全部いっぺんに持ってきて下さい」
とか
グループで来られた場合、コースの途中で急に
「一人だけ急ぐので 一人分だけ先に出して下さい」
というご注文にもお応えするのは難しいのです。
グループでいらして、ご予約なしで
アラカルトで全部バラバラのご注文。なども 当店の場合、ご対応出来ません。
ご注文されたお客様のお料理はお待たせしてしまうのは勿論ですが
他のお客様のお料理にも影響してしまうのです。
フレンチのコースでは
お客様が お料理を召し上がっておられる間に 次に召し上がる料理を順番に調理しています。
ソースも瓶から出してジャッとかけるのではなく、お肉やお魚を焼きながら、焼いた時に出るジューやお野菜やその煮汁なども使いながら 一皿分ずつ 毎回お作りしています。
ですからフランス料理は
少し時間はかかりますが
本来、どのお料理も、ソースまで全部
作り立てを召し上がって頂ける仕組みなんです。
お肉も、お魚も キチンと火入れが出来て、尚且つ焼きすぎず、その素材が一番美味しくなる
「丁度」の加減で 提供するように努めていますので
お客様様にもなるべく その丁度のタイミングで召し上がって頂きたいと思っています。
これは裏話ですが
途中、お客様がお手洗いや電話の為に
席をはずされた場合、あまり長くかかりそうなときは私がシェフにお料理をいったん止めてもらうようにしていますが
そういう場合も ハラハラ、ドキドキなんですよ。
お肉が焼けていくのを途中では止められないですし、
完成したお料理をそのまま置いていたら 余熱で火が入りすぎたり冷めたりと
折角のお料理が残念な事になりますので。
まあ、そんな色々な、アクシデントまでも含めて、レストランは面白い！と私は思っていますし、
熟練した職人のいる小さなお店でしか
味わえない醍醐味なのだと思います。
お弁当の場合は 出来立てをすぐにという訳にはいきませんが 召し上がる直前に取りに来て頂けるのを前提として
なるべくご来店時間ギリギリ直前にお作りしています。
こんなお店ですから、
少しでも段取り良くお作り出来て
お客様にもご迷惑をおかけしないためにも
お弁当も、ご来店の場合も
なるべく前日までにご予約を頂けますと幸いです。
当日の場合も なるべくお早めにご連絡をお願い致します。
まだまだ至らないところも多い私達ですが
これからも、
ヒマワリのお料理で
皆さまがホッとして、そしてますます元気になって頂けますよう努めていきたいと思います。
このところ、コロナの影響か、知っているお店も、何店か閉店されて
少しショックを受けています。
私達は、まだまだ元気に
やっていきますので
今後とも どうぞ宜しくお願いいたします！
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