「THE TIME CHANGES -part 1/3-」
〝時代は変わる、それは世界のありようさえも姿を変える、
いま、私はずいぶん老いた、
何かを変える力はない、だからだろうな、
私は私の意思を継ぐ、若さが愛おしくも感じてる〟
宴は終わり、閑散たるヴードゥー・ラウンジ、
疲れた顔のダンサーたちはそのきらびやかなる衣装を捨てた、
夜の終わりはもうすぐそこだ、
〝命は受けて継がれゆく、
それが家族だと知った、
例え血の繋がりがないにしてもね〟
男は少しくたびれた、闇がその老いを明らかにする、
ダンサーを愛おしげに眺めてた、
それはまるで我が子を想う眼差しで、
〝家族がいたんだ、私のような悪魔を慕うろくでなしだ、
それでも人は人を想うものだよ、君もそう思うだろう?〟
彼はその命のなかで、それが闇を統べるものだとしても、
確かに何かを手にしたはずだ、
それは繋がり、人と人が結びつく、
優しさとは呼べないまでも、幼き彼を思わせた、
それはやはり家族としか言い表せなきもの、
〝時代は変わる、父である私は老いた、
しかし私には達せずにいる何かがあって、
それは次の世代に引き継がれるはず、
そう、世界がどうあろうと、
汚れたままの姿を晒し、いくら失望に身を斬ろうとも〟
また新たに生きゆく命はあって、
成し得ぬものは成し得ぬままで、
やがて時代は変わりゆく、
そのすべてを見届けようと、
老いた男は席を立つ、
時代は変わる、ただひとことだけを残して、
“THE TIME CHANGES”
THE END(……?).