「月夜の旅人」
オレンジは静寂を経て、いざ月が統べる刻、
ジプシーたちはボレロを纏って天蓋近い断崖で、
身を寄せ合っては寒さをしのぐ、握りしめたネックレス、
風がさらって宝石たちは散らばった、
赤い月にそそのかされて、
輝く石たち、螺旋描いて暗がりに舞う、
未知をゆくもの、ラクダは怯え膝震わせて、
旅の一座は「夜明けを待つか」とランプを置いた、
踊り子たちは手拍子、指笛、忘れかけてた故郷の歌で月夜に舞い、
背中で聴いてた一座の長は、
人差し指舐め、風の向きを案じてた、
旅路のさなか、各地の生地を縫い込んだ、
色とりどりのマントなびかせ、
結い髪には拾い集めた光る石、
月に届く道の果てを眺めてた、風は強く足下から突き上げる、
旅の一座の長は叫んだ、
暗天指差し、高らかにも砂に灼かれたかすれた声で、
「僕たちの集めた石は、
この風の地にさらわれるだろう、
だけどほら見てみなよ、
荒れた夜空に舞う宝石が、
光に満ちた星空になる」
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