銀でできた階段おりる、
南向きの踊り場から眺める街は、
昨日降った雨の匂い、真珠に似た色、
川が街をふたつに分ける、
東側に歓楽街、西に向かえば赤い土の採掘地、
その先には、鉱夫と農夫の住む村が、
夜ごと煌めく流星を待つ、名もなき星が黒みの青を滑り落ち、
視界にその尾が消えるころ、街はひととき享楽に酔う、
誰も躍るシアターになる、
泣いてた少女も顔上げ笑った、
それ見た老犬、しっぽを振って、
ガラスの傘の真下の通り、痩せた少年、
指笛吹いた、
ポリスマンは空砲鳴らす、なぜか誰もが笑ってる、
星座の名前をひとつも知らない、
それでも夜の空は宇宙に流星、
街はひとつ、シアターになる、
誰も彼も束の間の、思い思いに見る夢は、
光る月のスクリーン、
鉱夫も農夫も流れる音楽、酔いしれられて子供に還る、
満遍なく咲く笑顔、曇る胸にはリズムが挑む、
いやがおうにも笑ってしまう、
そんな夜のトワイライト・ジャズ・シアター、
明け方までゆくトワイライト・ジャズ・シアター、
下弦の月まで笑ってる、そんなふうに錯覚をする、
トワイライト・ジャズ・シアター、
photograph,text,illustration by Billy.