世界の終わりに吸い込むタバコはどれくらい美味いんだろう、
きっといまこの瞬間と同じ味だ、それでも乾ききった風に吹かれて断崖に立ち、
伸びた髪をなびかせて、ありもしない明日を思って苦笑い、
その瞬間がくるのなら、ビールとタバコをダースで買って、味わうように待っていよう、
命の最期に味わう煙、それはどれくらい美味いんだろう、
明日がそうでもおかしくないんだ、火を点けて吸い込む毒の変わらぬ香味、
継ぎ足す火が足りないみたい、体中が痛むんだ、
欲しいのは麻痺、眺める東に陽は昇らずに、
すべて終わる気配だけが生きてる、つぶやくことなんてない、
そんな夢想を君に話した、つまらないって笑われた、
だけど苛立ちなんてひとつもなくて、えくぼが光に照らされて、
吸い過ぎ注意なんて野暮だと、ちゃんと分かってくれてんだ、
退屈さえなきゃ少しくらい、はめを外さなくっちゃつまらない、
また氷河がやってくる、誰ひとりも生き残れない、
フラスコ越しに見る宇宙、ガラスのオーロラ光ってたんだ、
フラスコ越しに見る宇宙、ガラスのオーロラ光ってたんだ、
photograph,text,illustration by Billy.