人魚になる夢を見ていた、それは幼いころから見続けた夢、もちろん、現実にはならない。
夢のなかの私はサカナになった下半身で、半裸にも関わらず恥ずかしさすら忘れて泳いでゆく、深海から水面へ、遥か遠くに感じながらも速度だけは増してゆく。
深海に生きるものたちは、地上の景色を知ってるだろうか、貴方たちを置いて大地を踏んだ、最初のイキモノのことを想像したりするんだろうか。
別に知りたいとも思わない、そう言われたらそこまでだけど……深海にはない光が水の上に輝いていて、ヒトは普段、ろくに見てもないその光のなかで生きている。
なにかがあったときだけ、祈ってみたり、あるいは見上げて溜息をついたり、変わらずにそんなことを続けている。
そう、誰もがそんなふうで、やはり私もそんなふう。
自分の都合で深海に潜り眠る日々を選んで、息苦しくなったら今度は光に照らされようという浅ましさ。
そのわがままさこそが私、開き直りもいいところだけれど、「だってみんなそうでしょ」とも思ってる。
美しくも穢らわしくも、生きていたらいろいろあって、汚れてゆくのを知っても進みたいときがある、自分を浄めると分かっていても進めない道がある。
あたたかくて浅ましくて、優しくて底意地も悪く、卑怯だけど賢くなりたいとも思う、誰もに優しくあろうとさえ思う、だけど、それをするほど私たちには時間がない。
そう。
私たちには時間がない、一生を考えても、限られた時間をどう使うか、きっとそれしかない。
地上に瞬く星があるなら、我先にと手を伸ばすだろう。
深海で見た想い出には美しいものばかりなんかじゃない。
それでも私は目を醒ます、水と空気の間に目覚め、また汚れと共に生きてゆく。
約束が。
約束があるはずなんだ。誰と交わした約束だろう、大切な誰かかもしれないし、過去の自分かもしれない、どちらでもいい、私はまた呼吸をするため、深海から光の地上へ浮上する。
<了>
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起業というには心細く規模も小さいのですが、ひとつひとつ階段を。
やれることをひとつずつ。
でも、やれることをやりたい、やりたいことを続けたい。