分厚い本。
でも、プレゼンを自分の武器にしたい人にはオススメ。

ポイントは、
1)信念を持ち、真実を語る
2)聞き手を理解し、感情を揺さぶる
3)準備をする

スピーチの天才100人 達人に学ぶ人を動かす話し方
サイモン・マイヤー ジェレミー・コウルディ
阪急コミュニケーションズ
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■どんな本か?


『スピーチの天才100人』は、歴史上の偉人や政治家、功績者が行った
スピーチについてエピソード付きで紹介している本です。

基本的に、プレゼンのテクニック本というよりは冒頭にスピーチの
見るべき一節が紹介してあり、その後にそこに至る背景や何故この
スピーチやスピーカーが特筆すべきなのか?という解説が続きます。

例えば、ナポレオンがパリを追われた際にした最後のスピーチでは
こんな一節が紹介されています。

さらば、友たちよ。諸君一人ひとりをこの胸に抱きしめられれば
どんなにいいだろう。


または、原爆の父、ロバート・オッペンハイマーのこんな言葉も。

我は死なり、世界の破壊者なり。


これはヒンドゥー教の聖典からの引用だそうですが、実験が成功と
分かった時、世界を変えてしまったことへの重い空気をよく表しています。

どうです?ぐっときましたね?

■スピーチのポイント3つ


さて、そんな本書に登場する100人のスピーチの名手ですが、
実は細かなレトリックを別にすれば彼らのスピーチには驚くほどの
共通点があります。

簡単なので3つ見てみましょう。

1)信念を持ち、真実を語る
スピーチの天才と呼ばれる全ての人物に共通しているのは、
「語るべき事を持っている」、そしてそれについて率直に語っている。
ということです。

正直であることは当たり前と思われるかもしれませんが、
仕方の無いプレゼン機会があることもまた事実なのです。

伝説的なスピーチは必ずメッセージがあり、信念と共に語られています。
「伝えるべきこと」が無いのであれば話さなくていいでしょう。

2)聞き手を理解し、感情を揺さぶる
本書には、スピーチの名手が聞き手の感情を良く理解しているエピソードが
出てきます。スピーチの本質は、自分の伝えたい事をしゃべるのではなく
相手が聞きたいことをしゃべるのだということがよくわかる点です。

例えば、イギリスの軍人ティム・コリンズはイラク戦争を前に若い兵士達を
前にこう語りました。

「イラクは、歴史豊かな国です。エデンの園があった土地であり、大洪水が起きた土地であり、
アブラハムの生まれた土地でもあります。そっと歩くように、どうか気をつけて頂きたい」

尊厳、歴史、文化について触れた後のこのフレーズは、若い兵士が持っていた
大義の為の戦争と殺戮の違いを理解させたといいます。
自らの行動の本質が分からない若い兵士の力になったでしょう。

3)準備をする
アメリカの大統領にはスピーチライターがついているように、
すべからくスピーチの達人は準備を重要視します。

中にはリハーサルまでも入念に行う人もいるほど。

スティーブジョブスはそのプレゼン能力の卓越した高さが話題に
なることが多いですが、プレゼンの練習を入念に行うことで
知られています。

というわけでスピーチやプレゼンのコツを知りたい方に
オススメの本。

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