私のシェアハウスに滞在する母子は、5割以上が高松に移住しています。
これは驚異的な数字だと思っています。

個人ではなくNPOなどで、何十人という大規模の受け入れを、豊富な資金の手厚い待遇で行っても、
移住者は一人もいない、というのは残念ながら「普通」のことです。

なぜこんなに移住につなげられるのか?


私達原発移住者の心の底にあるのは、希望や明るい気持ちではなく、恐怖です。
マイナスの感情と思うかもしれませんが、同じ知識と同じ感情を共有できるかどうかが、
絆を深められるかどうか、また移住につながるかどうかのカギを握っていると思います。
もちろん楽しいのが一番ですが、楽しいだけではダメなようです。


・除染について
私の家に来る方には、まず先にダンボール箱で着替えをうちに送ってもらいます。
私はそれを洗濯しておき、後到着した母子はまずお風呂に入り除染をしてもらい、
こちらで洗った服に着替えます。関東の水は汚れているためです。
(敏感な人は、東京から持ってきて香川ではまだ洗ってないタオルを言い当てたりします)
靴も洗い、バッグの底を拭き、EM菌処理します。
洗えない上着は室内には持ちまず、土間に保管してもらいます。
持ち物で洗えるものは洗ってもらっています。

ここまでするなんて、やりすぎだと思うかもしれませんが、
いままで反発的な意見を頂いたことは一度もありません。
「しっかり除染してくれて、安心」「せっかく保養に来たから綺麗に過ごしたいので嬉しい」
「某施設は原発避難民がたくさん来るのに、除染をしていないからガイガーカウンターが
鳴りっぱなしだった」と、皆さんおっしゃいます。

中には、関西で途中下車して関東で使った服や靴を全部捨てて新しいものに代えてから
ここに来る人もいるくらいです。

気をつけなければいけないんだ、ということを私という他者と一緒に再認識をする
イニシエーションがあることで、移住や防護への意識も高まります。