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彼は自分の目の前に見知らぬ少女が現れたので、少し怯える表情を浮かべ、小さく唾を飲みました。
目の前に立つ少女は、ほんのり頬に笑みを浮かべ、彼にゆっくりと瞬きのノックを1回
トン・・・。
彼女の優しいノックは彼の心のこわばりを優しくほどきました。
不思議なことですが、彼女とは初めて会ったはずなのに、どこか懐かしい感覚に包まれました。
窓の隙間から僅かに月明かりが射し込み二人の顔を照らし、優しく包み込みます。
少し潮の香りがしたような気がしました。
そして、彼は振り返り何も言わずちょこんと部屋の隅に座りました。
彼女もその隣にそっと座りました。まるで生まれたときから一緒にいる幼馴染みのように。
静寂の中、彼が口をひらき
『ごめんね、僕ってさ・・・』
と彼が何かを言おうとしたとき、彼女はそれを遮るように窓を指差しました。
そして、にこりと彼女はまた笑みを溢しました。
『窓・・・?』
彼女は頷きました。しかし、閉ざしてしまった窓を開けることに後ろめたさを感じる彼は、少し躊躇しました。
月がそこにいるからです。
どんな顔であったらいいのか。何といったらいいのか。今まで喧嘩をする相手がいなかった彼は、『仲直り』の仕方がわからなかったのです。ですから、彼にとってその窓を開けることはとても勇気がいることでした。
(やっぱり、僕にはできないや・・・)
チラッと彼は視線を彼女に戻すと心をキュっと締め付けられるような気持ちになりました。
今までずっと笑顔をみせていた彼女の顔がとても寂しそうだったのです。
~続く~
【岡田直輝】
★ステージ挨拶
★MR.WORLD授賞式の写真☆準GP