ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

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ついに緊急事態宣言が首都圏で発令されましたが、今年もよろしくお願いいたします。

 

現在東京では陽性者数が連日増加し、それに比べると重症者数は少しずつ増加という状況が続いていますが、

まずは私の知り得る範囲で医療の状況をお伝えします。

 

現時点、首都圏を中心に10か所以上の総合病院で勤務する友人医師らと連絡を取っておりますが、

年末から現時点で特筆すべき大きな変化はありません。つまり、外来も救急も手術もほとんどの病院で通常稼働しています。

ただし、クラスターが発生したために診療規模を縮小している病院が周辺地域に散発しているという話は聞きます。

 

他には、郊外の公的病院の友人の話ですが、周辺の中核病院がクラスター発生の影響を受け診療を一時的に縮小し、

その代わりに3次救急やコロナ患者の受け皿となる影響で不急の手術は延期する方針となったようです。

 

いずれにしても救えるべき命が助からないという”医療崩壊”には至らず、

概ね、私の病院も含めて通常稼働を続けているというのが現状と思います。

 

医師会長は”すでに医療崩壊の状況にある”と全国ネットの会見で発言していましたが、

過剰に不安を煽るのはやめていただきたいと現場医師の一人としては思う次第です。

 

公的病院に勤務する友人と連絡を取っている中でよく聞いたのが、

陽性者が増加するとともにコロナ軽症者の入院が増え、そこにマンパワーと病床を取られてしまうという問題です。

コロナが2類感染症相当に指定され軽症入院が増えていることが現在大きな重しとなって、公的医療機関にのしかかっているようです。

さすがに2類相当を見直す時期ではないでしょうか。

 

逆にコロナ重症患者については私が話を聞いた友人の地域中核の公的病院でも現在治療中は3名のみで、

全体としては大きな負担にはなっていないということでした。

 

東京都を中心とした陽性者数の増加に関しても、感染者数自体が冬場に増加していることに疑問の余地はないものの、

連日発表される報告日別の陽性者数や陽性率を鵜呑みにして感染状況を把握することは危ういと考えております。

その理由は陽性者数が増加すると同時に、検査数自体が年末年始と全国的にぐんと増えているからです。

検査数が増加すればそれに相関して陽性者数が増えるという構図は今も変わっていません。

また、自費PCR検査など分母にカウントされていない検査数が増加していることを考えると、

陽性率の上昇も数字通りに受け止めるよりは、見かけ上陽性率が上がってしまう要因があることも理解すべきです。

 

しかしそれらの影響を鑑みても実際の感染者数が冬場の流行で増加傾向にあるのは間違いないと私は思いますが、

重症者数がいまだに大きく動いていないことから、連日の報道の数字通りに驚く必要はないでしょう。

 

現在の全国重症者数は796名、都内が121名となっています。

冬場は重症者数1000人程度という過去の私の予想には近づいておりますが、陽性者数の増加の程度よりは重症者数が大きく動いていない印象です。

 

さて、ところで、

本日は慈恵医大で対コロナ特別院長補佐の職を兼任している外科統括部長の大木先生の提言を紹介します。

最新版が下記三浦氏のtwitterから読めます。

 

 

 

要約すれば主に下記の内容になりますが、一読いただければと思います。

 

・重症者に対する医療体制の補強、対応施設への経済的補償が必要

・国内での致死率はインフルエンザと同程度と推定され、過度に不安を煽るべきでない

・新型コロナ重症者が一部の病院に集中し、その病院の声ばかりが報道されており、全体を見たフェアな報道がされていない

・医療崩壊と執拗に報道されているが、公立病院ですら十分に活用されていない。1月3日時点の都内87名の重症者の内、過半数の48名が私立医大で治療されており、公的病院の受け入れがいまだに少ない(国立国際2名、東京医療センター0名、都立駒込0名、墨東6名、都立広尾1名、都立大塚0名、など)。

・慈恵医大関連病院にはまだ余力がある。また慈恵医大、慶應大などの大学病院では不要不急医療の筆頭格である人間ドッグが未だに実施されていることからも医療崩壊からほど遠い。慈恵医大では8床のコロナICUを準備していたが、この半年ほとんど使用されず、現在も1床しか使用されていない。

・2類感染症指定の害が大きい。院内で医療従事者1名の感染が出た時点で病棟を閉鎖、接触したスタッフ全てを自宅待機しているようでは病院がいくつあっても足りない。慈恵医大でも軽症用コロナ病床は常に埋まっている。一般症には数百の空きが常にあるが、指定感染症のためこれらの空床をコロナ患者に活用することもできない。2類感染症であるために人もハードも極めて効率の悪い運用を強いられている。2類指定からのダウングレードが必要である。

 

大部分、私は同意できる内容の提言です。

読んでいて衝撃だったのは、あれほど医療崩壊とマスコミが報道している東京都内ですが、

新型コロナ対応の中核であるべきはずの都内の公的病院が、実際にはあまりコロナの重症者治療を担当していないという内容でした。

国立国際などは重症者治療の現場として何度もメディアに出ていたように記憶していますが、記憶違いでしょうか、、、

 

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今年も残すところ今日を含め2日となりましたね。

12月下旬に入ってメディアを賑わせているのは新型コロナ変異種ですが、

変異種については、私を含め多くの現場医師はあまり驚いておりません。

 

流行するウイルスは変異するのが常ですし、変異の結果、感染力が強くなる一方で弱毒化したウイルスが流行することが多いです。

これは、単純に感染力が強いウイルスの方が他よりも広がりやすいことと、

宿主を殺さない弱毒ウイルスの方がウイルスの生存に有利であるからです。

 

映画やドラマにあるような、突然変異で強毒化したウイルスが広まる、というのは少ないようです。

インフルエンザはたまに強毒種が流行しますが、これは鳥の体内で変異した新しいタイプのものが人間に広まるからで、

人間に広まったものが突如強毒化するわけではありません。

 

さて、年末の医療の状況ですが、

私が連絡を取り合っている友人らの10か所程度の関東圏内や札幌の総合病院で、

現在外来停止や救急停止、手術停止などのいわゆる”医療崩壊”と呼べるような状況の病院はありません。

どこも通常稼働をしております。これは一貫して12月中変わりありませんでした。

一か所、クラスターが院内で生じ、2-3日救急を止めた病院がありましたが、そこもすぐに通常稼働に回復しています。

 

また、先日、コロナ重症患者を4床、コロナ中等症を20床以上治療している病院の、

担当の感染症専門の医師にも話を聞きました。

 

彼の病院も多くの入院コロナ患者を診ているものの、外来や救急、予定手術などは全て通常稼働しております。

 

先日話を聞いた時点では、

重症患者4名のうち、人工呼吸器が使用されているのは1名のみでした。

残りの3名は高齢のため人工呼吸器の使用を望まず、実質的に自然経過でのお看取りの状況にあるようです。

 

メディア報道の影響か、コロナ重症と聞くと全員に人工呼吸やECMOが使用されているような印象があるかもしれません。

しかし、実際には全例に集中治療をしているのではなく、

高齢の場合には人工呼吸器などによる高度な治療や、延命に当たるような行為は行っていないのが現状のようです。

連日、30~50名ほどの新型コロナウイルスによる死者が全国で報告されていますが、

その多くはこのような形で亡くなっている高齢者の方と類推されます。

 

ましてや、ECMOなどは非常に限られた症例にのみ用いられているようです。

 

人工呼吸器については、通常の肺炎などのケースでもご家族が治療を望む場合に使用が検討されます。

しかし老いによって余命が非常に短いと考えられる場合、人工呼吸器を用いても回復の可能性が極めて低い状況と考えられることが多いため、適応とならない方が多いです。

 

これは通常の誤嚥性肺炎や細菌性肺炎にかぎらず、間質性肺炎などあらゆる肺炎による高齢患者の重症化において、

これまでも現在も行われている医療の実際です。

 

現実には人工呼吸器を使わないことの方が多いです。

ましてやECMOとなるともってのほかで、まず使用することはありません。

 

肺機能が人工呼吸器を使用しても保てない場合に、肺機能さえ補えば回復が期待できる重症例にECMOは使用されます。

必然的に予備能が高いと考えられる程度までの年齢の、従来健常だった方が急激に肺炎で重症化した場合にようやく条件を満たすことになります。

 

高齢者が主に重症化する新型コロナにおいては、全体としてECMOの適応となるケースはごく一部となります。

人工呼吸器やECMOが必要で、そのためマンパワーも必要だから医療従事者は大変、

という理解は必ずしも重症例の大半に当てはまるわけではないようです。

 

私が話を聞いた友人の感染症専門医は実際、特に燃え尽きているようでも、疲れ果てているようでもありませんでした。

むしろ、昨今では酸素投与が必要な時点でステロイド投与を開始することで、

重症化を防げる症例も増えてきたと手ごたえを感じているようで、やりがいを感じているように見受けられました。

 

ただ一方で感染症対策を行いながら患者さんの日頃のケアを行う看護師の負担は高いと話していました。

行う医療やケア自体は他の重症患者と大差はないようですが、

それらすべてをN95マスクや、ゴーグル、防護衣などを装着して行うことの不快感や苦痛が高いというのが大きいようです。

そして、自分が感染するかもしれないという精神的負担や重圧がより負担を強めています。

 

コロナ重症床を確保している病院には1床につき1500万円の手当が支給されるように国が調整しているようですから、

これは是非、過酷な看護を担当する最前線の看護師のスタッフに報いてほしいと思います。

1500万というのは結構破格で、通常1床の重症床のベット代(診療報酬)がざっくり5~10万ですから、

そのベッド1床を150日から300日運用したのと同じ補助を病院は受け取れるのと同じです。

 

さて、全国の新型コロナ重症者数はこの2週間程度、600人台で緩やかな増加傾向です。

 

どの程度まで増加するか現状まだわかりませんが、1000人程度と考えていた予想から大きく外れることはなさそうな気がします。

2000や3000とはならない公算が日に日に高くなっており、

あとは一刻も早くワクチン接種の開始をすべきと私は思っています。

 

ワクチンには重症化を防ぐ効果があるとされており、

つまるところ結局は重症化しうることが新型コロナの最大の恐怖要因だと思いますので、それがワクチンによって緩和されれば、

世の中の空気も大きく変わってくるのではないかと思うのです。

 

今回のコロナ禍は実際のウイルスによる高齢層への脅威自体もさることながら、

それと同等かそれ以上に心理的要因からの社会的問題を多く起こしていると私は思っています。

ワクチンの接種はそのいずれにも効果があり、事態を改善するだろうと思います。

 

ところで、世の中はコロナ騒ぎで一辺倒ですが、

冬場は絶え間なく、脳卒中の重症者が当院にも搬送されております。

おそらくこの1か月で全国では数千以上の重症者が増加したのではないでしょうか。

コロナだけでなく、脳卒中にもお気をつけていただければと思います。

 

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重症者数が500を超えたのは12月の頭の頃ですが、それ以降増加ペースは穏やかになり、

10日程度かけて554人というのが現在の重症者数です。

 

この推移をみる限り、今後2000人、3000人と増加する可能性は極めて低く、

しばらく低緯度地域への寒波の波及と共に順次南の地域に重症者が増える地域が出てくることでなだらかな上昇を続けるか、

もしくは本当に500-600程度をピークとして下落に転じるかのいずれかという印象です。

 

この冬に関しても、やはり日本では西欧諸国のような劇的な感染者死者の増加は起きないと考えてよさそうです。

アメリカでの1日の新型コロナ死者数は確認されているもので9日時点で3000人を超えており、

日本の実に100倍程度です。人口は3‐4倍程度ですから、いかに桁の違う状況が欧米では続いているかが分かります。

これだけの規模の死者が出ているということは当然、重症者数についても2桁は違うでしょう。

 

 

 

余談ですが、連日のマスコミ報道がボディブローのように効きつつあり、

報道に洗脳扇動された世論におもねる形でGoToなどの政策にも影響が及びそうな状況になってきました。

 

現実にはGoToトラベルは5000万人以上が利用して、感染者が400人台というのを先月末あたりのデータでぼんやりと記憶しています。

細かいところまで数字が正確かどうかは別として、その感染率は10万人に1人程度かそれ以下です。

感染者増加に影響が全くの皆無かと言われればそうではないものの、影響は極めて小さく、社会にとってはメリットの方が多い政策だということが明らかです。

しかし、メディアや世論に押され、分科会提言もGoTo停止に向かい、政権も支持率などを気にして悩みだしているのが現状でしょう。

GoToはそもそも旅行する利用者をサポートする政策ではなく、感染対策をきちんとしている観光業や飲食業界、さらにそこに関連する様々な業種を下支えするはずの政策ですから、

政府憎しとこの政策を目の敵にするマスコミは実際には観光業や飲食などに携わる多くの業種の人々を苦しめることになります。

 

とはいえ、私は経済や政策の専門家ではありません。

私が発信できる情報のうち、最もこのブログを読む方にとって有用な情報となるのはやはり現場の医療の状況だと思いますので、

ここからは12月12日現在の時点で私が収集している首都圏、関東圏、あとは札幌周辺の計10か所以上の情報から医療の状況をお伝えしたいと思います。

 

先に結論から言いますと、特に医療崩壊と呼ぶような状況はありません。

どこも救急受け入れも予定手術も行っています。

一時期、1か所の総合病院で院内に患者数名看護師数名のクラスターが発生し、救急や予定手術を停止するという情報が友人からもたらされましたが、この病院も結局数日後には稼働再開しました。

元々、近隣に総合病院が乱立している地域のため、全く地域医療への影響はなかったようです。

 

札幌周辺のいくつかの医療機関からの情報では、ここも1か所現在救急などを停止している総合病院があるようなのですが、

周辺の他の病院が受け皿となり、特に問題なく機能しているとのことです。

 

大都市では1か所や2か所総合病院内でのクラスター発生などにより、部分的に機能が縮小したとしても、

他の病院が受け皿となるのでマスコミのよく言う医療崩壊は起きません。

彼らが報道しているのは医療崩壊ではなく、一病院の一部所の診療停止というレベルのものがほとんどです。

 

医療ひっ迫が連日報道される大阪についても、数多の総合病院がひしめておりますから、

一部医療センターなどの一部機能が停止したとしても、それで医療崩壊と呼ぶべきではないと私は思います。

 

一方、旭川のような小都市で総合病院が複数診療を停止してしまうと地域内での影響は大きいです。

私は直接旭川の病院関係者の情報ソースはありませんが、大規模なクラスターが発生した旭川厚生ではホームページを見る限り、

緊急性を要する入院や予約の外来以外の受付は原則止めているようです。

 

ただし、旭川についても同じく主要総合病院である旭川赤十字病院では、

入院診療、外来診療通常通り、分娩中止、一部予定手術を延期、のみとあり、分娩以外は概ね通常稼働しています。

 

分娩を予定していたお母さんらの不安は痛いほどよくわかります。

しかし、他にも旭川には大病院として旭川医科大学病院があり、こちらも通常稼働していますので、

この状況でマスコミの言うような医療崩壊と言うのかというと、私は否定的です。

 

旭川赤十字でも予定手術も再開され、分娩も今後再開されるようです。

 

 

 

最も報道されている旭川や大阪が上記の状況であることから、現時点で日本全国で医療崩壊している地域はないと言えます。

 

「医療が崩壊しようというときに」というような言葉をよく耳にしますが、

一体何を根拠に「医療崩壊」と軽々しく言っているのだろうか、と私は思ってしまいます。

 

一方、先日、旭川赤十字病院でのクラスターのニュースの際にやや疑問に思ったことがあります。

先日の記事を読む限りで、濃厚接触としたスタッフをが自宅待機のため予定手術を延期とありました。

これに関して一体どの程度の期間の自宅待機を行っているのだろうか?と疑問になりました。

 

私の勤務する病院でも外来で検査を受けた患者がたまたま新型コロナ陽性だったため、

対応したスタッフを濃厚接触と判断し、PCR検査を受けるという事例は何度かありました。

この際、濃厚接触をした日をday1とすると、患者自身の陽性が判明したのがday2の夜でしたから、

濃厚接触したスタッフはday1、day2は普通にそのまま勤務しています。

 

day2の夜に患者が陽性だったということを聞いて、始めて「私接触しちゃった」ということが分かるのですね。

その後day3にそのスタッフはPCRを行うことになり、day4には結果が出ます。

day4の時点で結果が陰性で、且つ症状が何もなかったため、当院ではこのスタッフはday5から通常業務開始となりました。

 

つまり、このスタッフがこの騒動で職場に出られなかったのはday3と4の2日でした。

症状がない場合にはこの程度の離脱が一般的と思うのですが、そうであれば余程多くの人数が濃厚接触とならない限りは、

現場診療へ大きな影響はありません。

 

ただし、この自宅待機の期間は病院や保健所判断によって異なるため、この日数が長かったり、

PCRについても2回以上の陰性が必要となると、リタイア期間が2日から5日、7日と伸びることになるでしょう。

そうすると医療現場には大きな穴をあけることになります。

濃厚接触したスタッフが無症状でPCR陰性だった場合に、最短で復帰させるかどうかによって現場への影響が大きく変わってくることになります。

 

ここの所を慎重になりすぎると当然人員不足を招き、それこそ人為的に医療崩壊という状況に近づくことになります。

 

また、医療崩壊ついでにもう1点最近の報道で気になったことを挙げますが、手術に関するものです。

 

先日NHKのニュース7では重症者増という報道や旭川などでのクラスターによる医療ひっ迫報道に続けて、

全国での手術件数減少を報道しました。

 

見ている人のイメージはあたかも、医療がひっ迫されていて手術まで減っている、

必要な手術を受けられない、という印象になるような構成でした。

 

実際に手術件数が全国で減っているのはこれは歴然たる事実だと思います。

しかし、その原因のほぼ90%以上は、コロナ自粛による受診控え、検診控え、手術控えです。

医療崩壊によって手術が受けられなくなっているのではありません。

 

私の病院でも脳外科の手術は例年と比較して2-3割今年は少ないです。

しかし緊急手術はあまり減っていません。

減っているのは予定手術で、4-6月に外来受診が少なく、動脈瘤などの予定手術を行う病気があまり見つからなかったこと、

もしくは見つかっていたとしても患者さんのご希望で手術が延期されたことが理由です。

4月ー6月は特に入院して手術を受けるということ自体を不安がる人が多かったです。

そのため、また落ち着いた時期に手術をしましょうか、というようなことが待てる病気については頻繁にありました。

 

これらが手術が減少した主だった理由で、これはどこの病院の外科医も言っています。

不謹慎かもしれませんが、「コロナで手術も減ってしまって、暇だね」というのが多くの外科医の本音だったのです。

 

それを医療ひっ迫⇒手術数減少というように報道するのは、これは印象操作に他なりません。

自粛⇒手術数減少が概ね正しい構図です。

 

以前のブログにも書きましたが、この4-6月の自粛による受診控えは飲食店や観光業のみならず、

診療所や病院にも経営的な打撃を与えました。

これを機にクローズした診療所も実際に何件か私の地域でもあります。

 

医療崩壊を叫ぶ医師会によって自粛ムードが高まれば、

医師会の主な構成員である開業医のクリニックが苦しむという、これはまた滑稽でお粗末な話なのです。

 

感染対策こそ最大の経済対策、というのが現在の日本医師会長のスローガンのようですが、

これは感染対策(自粛)こそ経済対策という矛盾した誤ったメッセージとなってしまうので、非常によろしくないと私は思います。

 

そんなことよりもワクチン接種の道筋を迅速化する、

医療体制をより強靭かつフレキシブルにするという努力を真っ先にやってほしい。

 

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