コロナウイルスが2022年も世界中で猛威をふるい、世界情勢が不安定となりいろいろな形で生活にまで影響が出た一年でした。

「当たり前のなにもない日常が有り難い」と感じたところも多くあった年、何とか健康で普通に過ごせた事の有り難みを振り返る今日この頃です。

 コロナ禍で日本だけでなく世界的にペットを飼う人が増えたと聞きました。
 長引く自粛生活においてペットは癒やしの存在。ところが「ロックダウンが解除されるなり捨てられてしまう犬猫が増えた」という悲しいニュースも聞こえてきます。

 その一方で動物の殺処分に対する批判や関心は急速に高まり、人々の動物愛護に対する意識も変わり始めているように思います。

 ペットの殺処分という人間の身勝手を失くす為に、日本と世界の「動物愛護」の現状と私達が出来ることは?と日々考えます。

 人も動物も幸せに暮らせる社会を目指し私達が「動物愛護」について出来る事とは…。

 実際に日本では動物を取り巻く環境は改善されているのでしょうか?

 現状について正しく理解しながら私たち一人ひとりが出来ることについて考えていかなければと思うのです。

 数字の上では改善傾向にみられる犬や猫が置かれている現実。
 去年の11月、動物好きの人にとって驚くようなニュースがフランスから届いたのを覚えています。
 ペットショップでの犬や猫の販売が2024年から禁止されるというニュースでした。

 フランスでは毎年10万頭にも及ぶ動物が遺棄されている事が、この法案成立の背景にあるようですが、日本の現状はどうでしょう。

 「10年前には20万頭以上が殺処分されていましたが、今は3万頭近くまで減っています。2021年末に発表された最新(2020年度)のデータでは、犬猫合わせて2万3764頭殺処分されていて、その内訳は犬が4059頭、猫では1万9705頭、年々減少していますが1日におよそ65頭が処分されている計算ですから決して少ないとは言えません。

 改善の一因は法改正と動物愛護への関心の高まりで、まだまだ多くの犬猫が、殺処分されている状況ですが、数字の上では6分の1まで減少しています。この10年でどんな変化があったのでしょうか?
 「動物愛護管理法の法改正により動物取扱業者から引き取りを求められた場合、繁殖制限の助言に従わずに子犬、子猫を何度も産ませた場合、そして犬猫の病気や高齢を理由に終生飼養の原則に反している場合は、引き取りの申し出を行政が拒否できるようになりました。  
 また遺棄や虐待などに対する罰則も強化されました。

 それらにより引き取る数が減り、殺処分をする施設というイメージがあった保健所や動物愛護センターなどの行政施設は、“犬や猫を殺す施設”から“生かす施設”へと変化しています。

 環境省が発表するデータによると行政の引き取り数は、ここ10年で3分の1ほど減り2020年の引き取り数は7万2433頭のうち4万9584頭は返還、又は譲渡されているとのこと。民間の保護団体が直接ペットを引き取るケースが増え、動物愛護団体やボランティアの努力は大きいとさまざまなメディアで言われています。また著名人が動物愛護に関する発言をしてくれている点もいい影響をもたらしていると聞きます。

 それでも動物を取り巻く問題がなくなった訳ではないのです。

 「殺処分数というのは、行政が発表する単なる数字」に過ぎないのです。
 保護団体やボランティアが行政から引き取って、必死に殺処分を回避しているだけなのです。
 それによって今度は引き取り過多になり過剰な多頭飼育も増えてきているのです。

 行政施設が殺処分を行っていないというだけで、根本的な解決にはなっていません。

 さらに昨今は、コロナ禍の影響で譲渡会が開催できないことも悪循環を招いています。殺さないけれど譲渡も出来ず、多頭飼育に拍車がかかり民間の保護団体やボランティアの活動がひっ迫してしまうのです。

 「劣悪な環境で飼育される犬や猫は果たして幸せなのでしょうか?」
 殺処分をしなければ良いのでしょうか?
 さらに殺処分の数には表れなくても交通事故や虐待により命を落とす場合も多いのです。

 それが本当の意味で“殺処分ゼロ”といえるのかということを考えてしまいます。
 殺処分の数は8割以上を猫が占めていますが状況をより詳細にみていくと、その6割が目も開かないような子猫です。

 「子猫は、数時間おきにミルクをあげないといけません」。世話が大変なので一般の行政が対応するのはなかなか難しいのです。

 その為、ミルクボランティアと呼ばれる人たちが引き取って元気になってから譲渡しています。
 ボランティアの人の努力がなければその数はもっと増えている事でしょう。

 動物愛護の活動というと、動物を保護し譲渡会を実施する保護団体のイメージがあるかも知れませんが、動物愛護の問題を根本的に解決する為には人々の意識を変えていく事も必要です。

 「今を生きている命は幸せに、不幸な命は生み出さない」を掲げ社会への啓発活動をやって行かなければと思います。

 殺処分の問題もゼロが実現しなければ本当の意味での“殺処分ゼロ”ではないと私は考えます。

 ①無責任な飼い主を“ゼロ”に
 ②動物達の命を捨てる人を“ゼ
  ロ”に
 ③動物達の命を粗末にする人を
  “ゼロ”に
 ④幸せになれない命を“ゼロ”に

 現状に対処するだけでは、ボランティアの負担ばかりが増えてしまいます。

 自治体、学校、企業などの団体向けに「命の大切さ」をテーマにした講演を実施し、特にこれから大人になる将来を担う子供さん達の教育活動に力を入れ、人と動物が上手に仲良く暮らせる社会を目標にして欲しいと思うのです。

 子供さん達が大人になった時、殺処分がない世の中になっていれば良いですね。

 啓発活動は成果を数字でみることが難しいですが、中学の道徳の教科書に“捨てられた悲しみというテーマで命の尊さを学ぶ授業が行われているという、中学で採用されたことは一歩前進だと思います。
 こういう活動はどんどん拡がって行くことを願っています。

 動物愛護の為に、私たちが出来ることは難しく考える必要はないです、自分の出来る範囲で一歩踏み出して戴ければ良いと思います。

 動物を飼っている人なら、その動物を最後まで大切に飼育する、飼っていない人は動物たちを見かけたら優しく接する、それだけでも立派な動物愛護だと思います。
温かく見守ってくれる人が増えれば幸せな犬や猫が増えていくはずです。

 動物愛護に対する思いを行動に移したい、ボランティアをしてみたいと考えている人は地域の保護施設に出向いて現状を理解し正しい知識を身につけ、周囲に啓発していく事も一つの方法だと思います。
 
動物との関わり方は人それぞれです。自分の置かれている状況によっても変わります。
 
動物を助ける事で自分自身が救われることもあるかも知れません。
 
皆様も是非この機会に、動物愛護について考えて見られたら如何でしょうか?

 この一年間、皆様の多大なご支援のお陰で活動を続けることが出来ましたこと、感謝の気持ちで一杯です。
 有難うございました😌

オアシスの会 加藤弘子