書棚「カシマカスタム」のご紹介 | 鹿島茂の読書日記

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鹿島茂公式ブログ。未来過去、読んだ書籍の書評をあげていく予定です。

 鹿島茂事務所より全ての愛書家に、鹿島茂の愛用の書棚「カシマカスタム」をご紹介させていただきます。

 書評家、兼、古書コレクターである鹿島茂。本の収納に関する悩みは尽きませんが、その悩みから誕生した特別な書棚が「カシマカスタム」です。

 アメトーク「読書大好き芸人」登場の芸人さんにもお使いいただいております「カシマカスタム」。本が好きで、本の収納にお悩みの方に、オススメしたい一品です。

 

 

【カシマカスタム8つのコダワリ】

①横並び対応&薄さ:本棚を複数横並びに設置することを想定し、本棚外側の金具の凹凸は限りなくゼロに。そして薄型17cmで統一。

②設置し易さ:設置が簡単な「完成品」でのお届け。

③専門書収納:専用オプションとして「大型本用棚板」を用意、薄型でも大型本の収納可能。

④耐震性能:つっぱり性能&安定性を考え、付属のつっぱり金具を「9cm」と「13cm」の2タイプ付属。

⑤より細かい棚高さ調整:本棚の場合、棚ピッチは3cmがスタンダード、これを一気に倍の1.5cmピッチに。

⑥引っ越しや本棚の移動:どんな天井高にも対応できるよう、本棚そのものに伸縮機能を備え、全てボルト組に。

⑦棚の追加OK:追加棚の設定が無い本棚も多いですが、「カシマカスタム」は1枚から棚の追加が可能。

⑧材質:表面材は耐スクラッチ性能の高いものを使用、本の出し入れで表面がハゲてくることなく、長持ち。

 

 

----- 以下、鹿島茂の寄稿文

 

 まずは2003年10月号の「室内」(工作社)に発表したエッセイを読んでいただきたい。長い間、じつに長い間、「理想の本棚」を捜し歩いたあげくに発見した「それ」のことが書いてあるからだ。

 

 書庫と書斎を兼ねた仕事部屋を持った。(中略)

 一般に、日本の書籍というものはたいていが四・六判かA4判で、奥行きが15センチ以上ある本は例外に属する。ところが、書棚のほうは、ほとんどが奥行き25センチから30センチになっている。これでは、狭い日本の家屋では場塞ぎであるばかりか、非効率的でさえある。また、本が増えてくるとどうしても二段詰めになるので、結局、書棚のどこかに本があることはわかっていても、それが捜し出せないといった悲喜劇を繰り返すはめになる。(中略)

 だから、今回は、第二書庫兼仕事部屋を借りるについては、この奥行き15センチの本棚にこだわってみたのだ。

 この意味で、東急ハンズの天井突っ張りラックは、私の条件に完全にかなうものといえた。しかし、いきなり大量購入しては失敗することもある。とりあえず、幅60センチ・タイプのラック(一万五千円)を二棹だけ購入して、様子を見ることにした。これがよかった。大きな欠点が一つ見つかったからである。
 組み立てはすべて購入者がやることになっているのだが、この組み立てにやたらに時間が取られるのである。勝手が呑み込めない一つ目では、なんと組み立てに半日もかかってしまった。締め切りに追われる身としてはなんとも痛い時間のロスである。こんなことではいつになったら書斎の整備が終わるかわからない。(中略)
 この欠点を克服したものはないものか?そう思って、なおも探索を続けると、同じ東急ハンズでも渋谷店のほうに、システムはほぽ同じでももう少し工夫がなされている天井突っ張りラックが見つかった。(中略)
 自分で組み立てる点では同じだが、こちらは、ネジ止め部分に女ネジが仕込まれているため、ドライバーを使わなくても組み立てが可能になっているのがいい。そのほか、天井に突っ張る装置でも、渋谷店のほうが一工夫なされていて簡単。横浜店のものは男手がなければ無理だが、渋谷店のものは女性でも組み立てられる。組み立て時間は、横浜店の半分以下、あるいは三分のーかもしれない。(中略)

 うん、これはなかなかいいぞ。いままで何力所かに散らばっていた同じジャンルの本がーカ所に集まったので、いろいろと連想も働き、新しい仕事への意欲も湧いてくる。

 

  「室内」10月号で出てしばらくすると、編集部から電話が入った。静岡県の家具インテリアメーカー・充英アートのNさんという方が、「取り上げられている東急ハンズ渋谷店に納入している書棚の製作をしている、もしよろしかったら連絡を取りたい」と言ってきているので、電話番号を教えてもいいかというので、OKを出した。数日後、仕事場にNさんが現れた。そこで、私がエッセイの中で取り上げた本棚(これは「天井つっぱりラックTEN」と言うらしい。以下TENと略す)の素晴らしさを称賛すると同時に、愛書家、蔵書家としての希望をいくつか述べた。

  まず、素晴らしさというのは、エッセイでも少し触れたように、天井つっぱりネジに鋼鉄のスプリングが加えられているところである。これがあるために、本の重みでつっぱり力が弱ってもスプリングが伸びて空隙をつくらないようになっている。これは、転倒防止には最良の仕組みである。

  しかし、それでも不満はあったので、いかにも愛書家、蔵書家らしいワガママな希望を伝えたところ、しばらくして、Nさんからまた連絡が入り、希望の改良点を加えた新型ができたので、試験使用してくれないかと伝えてきた。かくて、テストが行われたのだが、これが素晴らしい出来だったのである。希望と改良点は以下の通り。

 

 第①の希望は、TENでは、本棚の上箱と下箱を繋ぎ止める金具が本棚の外側にあるため、金具が出っ張ってしまっていて、隣の本棚と連結するときに隙間が出来てしまうので、薄さはそのままで、なんとかならないかいうこと。

→【改良点①】横並び対応&日本の書籍にマッチした薄さ

本棚を複数横並びに設置することを想定し、本棚外側の金具の凹凸は限りなくゼロに。

もちろん薄さはそのまま。本を1列でとにかくズラーっと並べることを前提に、薄型17cm[外のり17cm、内のり15cm]で統一した。

 

 第②の希望は、他のつっぱり本棚よりはましたが、それでもキットから組み立てるのは非常に時間がかかるので、上箱と下箱は組み立てが終了した完成品として届けてもらえないかということ。

→【改良点②】設置し易さ

この手の本棚は「お客様組立」が基本、でも本好きの方程ものぐさの方が多いのも事実。

そこで、設置が簡単な「完成品」でのお届け。

(このサイズで完成品お届けと言うのは、当時は中々なかった。)

 

 第③の希望は、奥行きが外のり17センチ、内のり15センチというのはまさに理想だが、しかし、私のようにかなり大判の専門書も多い人間にとっては、そうした本も収容できるように下部の棚が迫り出しているようなものはつくれないだろうか、というもの。

→【改良点③】専門書収納

外国書籍や専門書にはA4サイズぐらいある大きなものもある。

そこで、専用オプションとして「大型本用棚板」を用意、薄型でも大型本の収納も可能とした。

 

 第④の希望は、天井の高さが部屋によりまちまちな場合があるので、それに対処できるような方法はないだろうかというもの。

→【改良点④】耐震性能

つっぱり性能&安定性を考え、付属のつっぱり金具を「9cm」と「13cm」の2タイプ付属。

設置天井高さに合わせてご使用可能とした。

また、地震の際に高い所からの本の落下を防止するよう、上段はブックガード標準装備。

ブックガードはオプションで増やすことも出来、下段用や大型本用も用意。

 

 第⑤の希望は、棚を据えつけるためのダボ穴相互の間隔(ピッチ)が広いと、本を詰めると上部が大きく空いてしまったり、あるいは反対に本が入るサイズでなくなったりすることが起こるので、ダボ穴のピッチをもっと狭くしてほしいということ。

→【改良点⑤】より細かい棚高さ調整

本棚の場合、棚ピッチは3cmがスタンダード、これを一気に倍の1.5cmピッチに。

棚高さを細かく調整できる為、本を隙間無くギッチリと並べることが可能。

(これは、漫画コミック等、高さが全て揃っている場合に更に有効な機能。)

 

 第⑥の希望は、今後、事務所の面積が足りなくなって引っ越しする可能性があるので、その点も顧慮していただきたいということ。

【改良点⑥】引っ越しや本棚の移動

どんな天井高にも対応できるよう、本棚そのものに伸縮機能を備え、全てボルト組に。

この為、設置場所変更で天井高が変わっても対応出来、引っ越し先でも高さを変えるだけでそのまま使用可能。

また、ボルトを外すことでバラバラに分解することが出来る為、2階に運ぶ等の移動も問題無く対応。

完成品お届けでありながら、移動性も考えられた仕様に。

 

 第⑦の希望は、引っ越しをして天井の高さが変わったりすると棚ダボの追加が必要になるはずだから、アフター・メンテナンスをしっかりしてほしいということ。

【改良点⑦】棚の追加OK

追加棚の設定が無い本棚も多いが、「カシマカスタム」は1枚から棚の追加が可能。

もちろん後付けもOKなので、蔵書の増加に合わせてカスタマイズOK。

 

 第⑧の希望は、他の本棚の材質が悪く、いかにも安っぽいので、この点にも注意してほしいということ。

→【改良点⑧】材質

表面材は耐スクラッチ性能の高いものを使用、本の出し入れで表面がハゲてくることなく、長持ち。

 

 さて、最後に「カシマカスタム」を100台以上使用した経験者からのサジェスチョンを述べておきたい。天井に突っ張って据え置きが完成しても、本を詰め終わった後にもう一度、突っ張りのボルトをドライバーでしっかり止めること、これが重要なのである。そして、できれば三カ月一回、あるいは半年に一回、緩みが来ていないか点検するといい。床と天井が軟弱だと、どうしても緩みが来るからだ。

 この点検を怠らなかったおかげで、3.11大震災でも我が家の「カシマカスタム」は一台も倒れることはなく、本が落ちるということもほとんどなかったのである。

 

  げに偉大なるは「カシマカスタム」である。このような優れものを開発した充英アートに拍手!

 

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