安達茉莉子さんのエッセイ。


安達さんという方、私は誠品生活のトークイベントや本とこラジオや『鬱の本』で知りまして、この人の言葉のほとばしりにはいつかもっと触れなければいけない…と思いつづけ、ついに手に入れたのがこの本!わくわく楽しみにひらく。


そしたらもう「はじめに」から良かった~。行間から風が吹き抜けてくるようなさわやかさ。安達さんの住む高台の部屋にやってくる風というのも、こんな肌ざわりがするのではないか。


でさ、私、生活エッセイの苦手なところってあって。はじめからおわりまでおしゃれで意識高そうじゃないですか?そのあと本を閉じ、自分の部屋を見回したとき、落ちこみそうじゃないですか?


しかーし!


安達さんの文章の雰囲気や佇まいには、読者を絶対にそんなふうに置いていかない人だという安心感がある。それというのもね、安達さんの目指している生活改善運動は、「人格否定を伴わない生活の改造」だから。安達さん自身が、片付けられない自分に対して、少しずつ絶望してきた人だから。自分が生活改善できたからといって、他人にそれをゴリ押ししない品がある。


それから安達さん以外の登場人物が、名脇役しかいないところも良い。Yさんやパヴェルさんや敦子さんやお母さん、あと何より妙蓮寺の人々。


私、この本を読んでこないだ妙蓮寺に行ったんだけど、どえらい素敵な街でした。昔ながらのおでん屋さんに八百屋さんに本屋さん。いま、私に何かあっても、いつもどこかに誰かがいる。ここに住んだら、疲れて帰ってきても、家までの道すがら元気をもらって、1日の終わりに気持ちの良いピリオドをつけてる自分がありありと想像できるもの。そんな街が、今の時代にどれだけあるでしょうか。


恋に落ちたよ妙蓮寺。

 

 

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