火の鳥はすべてを見ている…そして知っている。
ヒト、モノ、スベテ ハ ドコカデ ツナガッテイル…
これは手塚治虫が残した、壮大すぎる人間ドラマ
自分の前世がなんだったのかと、ふと考えることがある。
「火の鳥」を読んでいたら、尚さらそんなことを考えてしまう。
男女に限ったことではないけれど、「運命的」だと信じたくなる瞬間は確かにある。
彼または彼女とはきっと、ずっと前から…もしくは別の次元にある世界の何処かに生きていた時からずっと、出逢うことが決まっていた。お互いに、欠けたカケラを探し求めるかようにして今、巡り会えているのだ。そう思うと、この無限の宇宙の中で2人がつながったことは、決まっていたとは言え、奇跡だ。
「火の鳥」はとても、ひと言ふた言で語ることはできない。むしろ、そんな軽く扱ってはいけないとも思う。今また読みなおして、ワタシは猛烈に、感動している!
スベテ ハ ドコカデ ツナガッテイル…今までも、そしてこれからも。
ウォシャウスキー&ティクヴァの「クラウド・アトラス」がアタマをよぎった。これもまた、幾つもの時代を行き交うひとつの魂の、物語。。。
ワタシがマボロシの鳥に出逢ったのは藤城清治の展示会にて。
魔人とまで呼ばれた芸人チカブー。誰をも魅了する「マボロシの鳥」のショーが始まる…しかし鳥は、窓の隙間から逃げてしまう。
落ちぶれたチカブーは、長い年月を経てかつての劇場に戻ってきた。そこで彼が見たものは…
「火の鳥」もそうだが、ある時期がくると火の鳥は、火の中へ飛び込んでわが身を焼き、この中から新しく生まれ変わる。ハリーがフォークスに初めて会ったのは、ちょうどその再生の時。全てを見守るフォークスもまた神秘的な存在である。
今だに人気の衰えない「ハリー・ポッター」シリーズではあるが…残念ながらワタシ的におもしろく読めたのは3巻「アズカバンの囚人」まで。
ワタシのお財布の中ではあまりお目にかかることはできないのだが、1万円札には鳳凰がいる。
鳳凰は、中国の伝説の鳥で、雄と雌が存在しその卵は不老長寿の薬として伝えられてきたという。美しいその容姿と、平和な世にのみ姿を現すことから平安の象徴とされている。
一方、フェニックスというのは西洋に伝わる不死鳥のことで、500年ごとに自らを焼いてその灰のなかから蘇り、永遠に生きると伝えられているのだとか。
ならば手塚治虫の「火の鳥」は、これら2つの伝説が見事に融合されたものであると言える。
人はこれまでずっと、手に入らないものや叶わない夢を追い続けてきた。永遠の若さとか、永遠の命とか、権力とか、愛とか。多分、これからもずっと…ね。だって追いかける夢がなくては人はきっと滅んでしまうから。
こうして、不死鳥伝説は語り継がれていくわけだ。
ロボットに恋をしたボクと…ボクに恋をしたロボットの歌。
ボクは君を永遠に愛したいけど、君は美しい今を愛したい。
「終わりのないものなんて、最初から始まりなんてないの」…なんて、なんて切ないんでしょ。
驚くほど英語の発音がヘタクソなのだけど…セカイノオワリの歌詞力はすごい。
この独特な世界観は、その辺のアーティストが持っているそれとは明らかに違う。
「不死鳥よ ボクに永遠を与えてください ボクと君となら何にも怖くないから」
「もしもワタシのこの命が 限りあるものになることがいつかはできたのなら
もう一度あなたを制限時間内に見つけるわ そうしたらそれを奇跡と呼びたいの」
「死がくれる世にも美しい魔法 今を大切にすることができる魔法
神様 ワタシにも死の魔法をかけて
永遠なんていらないから 終わりがくれる今を愛したいの」
最近くり返しこの歌を聴く…
そしていろんな想いがアタマをめぐる。チヒロの事とか、レオナの事とか…ね。
【空に、不死鳥】
2017.7.3 夕方。
九州北部には台風3号が接近中で、そのせいか、異様に暑い。
いつもの帰り道に見上げる空にも、雲が不思議な形を作ってた。
風が出てきたので、すぐその姿は変わってしまったのだけれど…あれは確かに不死鳥だった。
太陽に向かって大きく羽を広げ、飛んでいく、不死鳥。
台風は、ほんとに来るのかな。
商店街の八百屋さんは、明日はお店を閉めると言っていたけれど。