1月12日、
その日は朝早くから何回も
甘えてきて膝の上で寝たい、と
か細い声で鳴いていました。
だけど放射線行く準備で
あまり構ってやれませんでした。
7時に家を出て、いつも通り
膝の上にふーちゃんを抱っこして
道中ずっと体のマッサージ。
いつもなら途中で
お気に入りの爪とぎの上に行くのに
ちょろっと乗る程度。
11時、病院にて
先生
「放射線治療も8回目ですね。
放射線科の先生と話し合った所
ふーちゃんの癌は大きいので
あと5回は追加で出来ると思いますがどうでしょう」
そんな話が出ていました。
費用は安いけど
副作用が強いオルソではなく
高額ながら皮膚表面や骨への
吸収が少なく副作用の出にくい
リニアックでの治療だからこその提案。
私達は放射線以外に出来ることが
ないのを知っていたので追加する
方向で話し合っていました。
ただ、仕事があるので
来週からはお泊りしなきゃ
なんですよーなんて話をしつつ
ふーちゃんを預けました。
車に乗って、
そっか、そうだよね
ふーちゃんの癌は
ふーちゃんの顔よりも
大きいから10回では足りないよね。
でもそしたらまた
節約頑張らなきゃねーなんて
言いながら、もしかしたら
気付いていたのかもしれません。
いつもなら30分程離れた場所で
6時間の仮眠を取るのに
その日はたまたま近くの場所で
買い物して、ご飯食べようとしてたんです。
それで何食べようなんて話てたら
先生から電話があり
すぐに病院へ行きました。
話によると
この1週間、すごい勢いで
胸水が溜まってましたが
今日は肺にまで水がありました。
息苦しかったのは
肺の水のせいかもしれません。
両方の水を抜きましたが
追いつかないスピードで
肺に水が溜まってきています。
それから、
癌は小さくなってるものの
放射線当ててない場所に癌が逃げて
広がっていました。
とりあえず
目が覚めなくなる前に
麻酔から覚まして
今、酸素室で横になっています。
呼吸が戻らないので
今すぐに連れて帰るのは
難しいと思いますが
このままだと
数時間、数日、
長くて数週間かもしれません。
安楽死も視野に入れておいて下さい。
そう言われました。
あまりに突然で。
でも、まだ死なないだろう、と
どこかで思っていて。
だから、少しでも呼吸が
落ち着くのを待つことにしたんです。
少しだけ、ふーちゃんに会って
少しだけ、ふーちゃんに触れて。
それから病院を出て
ごはん食べ終わった頃に
電話がありました。
先生曰く
あれから良くなり
座っていたんですが悪化しました、と。
病院に着き、いざって時
蘇生するかどうかの話し合いをして、
しない決断をして、それから
部屋にふーちゃんが運ばれてきました。
横たわるふーちゃんは
もうすでに意識がおぼろげでした。
酸素が行き渡らないせいで
目の表面がぼこぼこしていて…。
だけど、「ふーちゃん」と
呼びかけたら頭を上げ
こちらを見て鳴いてくれました。
私達は、
ああ待っててくれたんだ
ありがとうね、ふーちゃん。
よく頑張ったもんね、偉かったね。
こんなに小さな体で、
胃瘻の手術にも耐えて、
毎回の麻酔にも、放射線にも
耐えたもんね。
凄かったね、ふーちゃん強い子だね。
そう言いながら
ふーちゃんの頭を撫で
手を握り、体を撫でました。
2ヶ月で末期癌になった事、
きっとふーちゃんが1番不安だったはず。
それでも長い移動時間を
嫌がらずに頑張ってくれ、
少しでも食べてほしいという
わがままな気持ちにも答えてくれた。
なにより、
12月を超えたいっていう
無茶な願いを叶えてくれました。
本当に良い子。
強い子。
優しくて、甘えん坊な子。
4歳になっても子猫のように
おもちゃが大好きな子。
運動神経悪いのに
諦めずに飛び乗って
私達を笑顔にしてくれる子。
ふーちゃんを交互に
腕に抱きながら、
沢山のありがとうを伝えました。
それからどれだけ大好きか
どれだけ幸せだったかを伝え、
これから行くところは
キレイな大草原で、
小さなお花が沢山咲いてて
空は澄んだ青い色で
そこには大きな虹がかかってるんだよ。
その場所には15歳で亡くなった
愛猫あるくんと愛犬まーくん
うさぎのぷりん、ハムスターの
チョコと姫ちゃんが居るよ。
あるくんは臆病だから
ふーちゃんがガンガン
喋りかけて困らすんだろうな。
まーくんは猫好きだから
追いかけられるよ、気をつけてね。
ぷりんは神経質だから
そっとしといてね。
チョコと姫ちゃんの事は
食べちゃダメよ笑
そんな風に
ふーちゃん語りかけていると
その場所にスーッとふーちゃんが
現れて、あるくんとまーくんの間で
ニオイをかいでいました。
それからこちらを振り返り
ちょこんと座っていました。
よく見ると、
あるくんとまーくんよりも
頭一つ分、ふーちゃんのが
大きいんです。
ふーちゃん、やっぱ
大きい猫だったか、なんて
最期まで笑わせてくれました。
それから
ハッと息を吸って止まる、
ハッと息を吸って止まる、を
何回も繰り返した後
主人の腕の中で亡くなりました。
良かった、
そんなに苦しまずに逝けたね。
もう、体しんどくないね。
悪いものは全部
こっちに置いていったから
そっちでは元気にたくさん
遊べるね。
ありがとうね、ふーちゃん。
ふーちゃんキレイちゃんだね。
それから
胃瘻チューブを取ってもらい
体を綺麗にしてもらいました。
帰りはふーちゃんを
腕に抱きながら、ふーちゃんが
どれだけ素晴らしかったかを
二人で泣きながら語りました。
主人の実家に着き
皆にひとしきり撫でてもらってから
主人とお義父さんとお義母さんが
お経をよんでくれました。
お焼香は泣きながらで
うまく出来なかったな。
家について
ふーちゃんをベッドに寝かせました。
あきちゃんは戸惑って
不安そうだった。
見せない方がいいとわかってたけど
気遣ってやれる余裕がなかったんです。
ごめんね、あきちゃん。
それから深夜まで
ふーちゃんを囲んで
飲み語りました。
きっと、私達の足元見て
お金やばいな!とか
次から入院嫌だな!とか
主人の仕事に鑑みて今日だったんだよ!
なんて話しながら。
そんな事、気にしなくて
良かったのにね、って。
そんな風に
ふーちゃんへの想いを
沢山語って、沢山泣いて
沢山笑って過ごしました。
次の日、火葬して。
そうしてあっという間に
全てが終わりました。
異変を感じてから今日まで
本当に、本当に頑張ってくれました。
皆様の応援もあって、
ここまで生きることが出来ました。
すべてに
感謝でいっぱいです。
本当に、本当に
ありがとうございました。
そして、
私、本当に悔いがないです。
やり残した事や
あの時ああしてればと
思うことはあるけど、
でもやっぱり、
悔いはないです。
ふーちゃんと出会えた事
ふーちゃんとの楽しかった日々
極稀にすごく怒った日も。
全部感謝でしかないです。
感無量というか。
4歳で、なんで癌に、って
憤ったけどもう今は
ありがとうって気持ちでいっぱいです。
だから、不思議なんです。
なんで涙が止まらないのか。
ずっと、
「ふーちゃん」
「ふーちゃん、キレイちゃん」
って呼びかけてしまう理由が。
ふーちゃん
大好きだよ
ふーちゃん
ありがとう