指導者の方から「練習してるけど試合ではできない」とよく聞くが、どのような練習をしているのかが重要で、ゲームの局面を分解した練習を幾ら反復しても、そこにはゲームに必要な知覚情報が存在しないのでゲームには転移されづらい。
実際のゲームはその局面が突然現れるのではなく、その前の局面の影響を受けて現れる。
つまり、前の局面でのゲインの有無で攻防のポジショニングもプレイの選択も変わってくるし、それまでの局面における肉体的負荷や認知的負荷もプレイに影響を与える。
例えば、ボールが大きく動かした後にボールウオッチして足が止まり、ポジショニングが遅れて、適切な位置にポッドが作れなかったり、ボールウオッチして、敵味方の配置の確認が遅れて適切な意思決定ができないということがある。
局面的な練習ではその状況を再現することはできないが、15対15の実践的な練習では戦術的な負荷が強すぎて、選手はその状況以外なことにも意識が向かうため、適切な負荷設定にならないし、反復回数が取れない。
練習の導入で局面的な練習で動きを確認した後は、ゲームを分解した局面的な練習ではなく、その課題に必要な知覚情報を含んだゲームを単純化した練習が必要であり、段階的に戦術的な負荷を上げていきゲームに近づけていくことでゲームに転移できる。
そういう意味では、どのようにゲームを単純化できるかに指導者の力量は問われる。