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もう2年以上前のことですが、ピレネーmix多頭飼育レスキューがありました。
今思い返してもずいぶん悲惨な状況でしたが、無事に10数頭が救出できました。
ただ、人里離れた場所で生まれ育った子たちばかりでしたので、まるで野生動物のように人を見ると吠えながら逃げまどうような有様で、大型犬ということもあってなかなか里親さんが決まらず、時間がかかりました。
それでも運良く一頭一頭、里親さんが決まっていき、最後に引き取られていったのがビルくんです。
ひさしぶりにビルくんの里親さんからメールをいただきました。
『御無沙汰しております
あれから特に変わったこともなく
日々ビルとのんびりと過ごしております
あいかわらずビビりのビルです
公園でもひとが来ると警戒してるし
でも
自分がそばにいると誰がいても吠えなかったり
トリミングの後や病院では
もう ベッタリしてきます
その時は至福の時間です🎵
まだまだ1mmづつの進歩で
あと10m位ありそうですが
そんなビルも可愛くてしょうがないんですよ☀
突然の連絡失礼しました☺』
ビルくんも極端な怖がりで、私たちもさんざん苦労させてもらいましたが、最後の最後にすばらしい里親さんに巡り会えてよかったです。
ビルくんの正式譲渡が決まった時に、本当に肩の荷が下りたというか、長い闘いが終わった感無量の思いがあります。
近所からの通報で行ってみると、今日にでも救出しなければ危ない餓死寸前の大型犬たち。
それにも関わらず、「よけいなおせっかいだ。」と引き渡しに応じない飼い主。
何度も何度も説得を繰り返し、その間にも犬たちが餓死してしまわないように、せっせとフードを運び続けました。
ようやく飼い主の許可を得て、犬たちをレスキューする段階になっても、
「これほどたくさんの大型犬に、はたして里親さんが見つかるのだろうか?
見つかるまでの間、私たちは責任もって面倒をみきれるのだろうか?」
そんな不安でいっぱいでした。
「多頭の大型犬のレスキューなんかリスクが高すぎるから、手を出さないほうがいい。」とのアドバイスを受けたりもしました。
たしかにそのとおりです。
私たちも話を聞いただけなら、同じように言っていたかもしれません。
しかし、現場を見て、惨状を知ってしまったからには、どうしても放っておくわけにはいきませんでした。
今思い返しても、本当によくも無事に全頭が里親さんに巡り会えたものだと思います。
特にビルくんには頭部に大きな腫瘍があって、場所的に手術も危険だとの判断で、里親募集すらかけられない状態でした。それでもあきらめずに何度も検査をしながら、治療を続けた結果、なんとか手術で取り除くことができました。
そして無事に里子に出すことができましたが、なかなか懐いてくれないビルくんに、里親さんは根気よく可愛がってくださりました。
いただいたメールに書いてあるとおり、他人にはとても警戒したり、美容室や病院でもビビりまくってるようですが、その後は飼い主さんに『ベッタリ』だとのこと。
『まだまだ1mmずつの進歩であと10mくらいありそう』
とおっしゃってますが、それは毎日見てる飼い主さんだから進歩に気がつかないだけで、引き取った当初を思い出してみてください。
どんなに美味しい食事を持っていっても、優しい言葉をかけても、まったく受け入れようとせず、狂ったように吠え立てて、逃げ回るばかりだったではないですか。
何日も、何週間も、何ヶ月も。
そんな状態の大型犬に、怖がることなく、嫌気がさすこともなく、根気よく愛情を注ぎ続けてくださったからこそ今があります。
そしてベッタリしてくれるだけのことを、『至福の時間』と思ってくださるその優しさがあれば、ビル君はまだまだ進歩し続けるはずです。
大事にしていただいて本当にありがとうございます。
これからもビル君をよろしくお願いします。