策略の渦 6 | ぺんぎんの戯言ブログ

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スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

つい魂がどっか飛んでいってました。
素敵無茶ぶり企画、第6話!
更に無茶ぶり度、アーップ!
……ごめんよ、ケロちゃん。

でも信じてるからねぇ!

さてでは策略の渦に嵌まり込んで頂きましょう。どうぞっ!

(大変すみません、題名を間違えるなんて……orz)

∽∽∽∽∽∽∽

はっきりいって今の状態は絶体絶命。
どこからどうみたってそれ以外の言葉が見つからない。
そしてそれは強化ガラスの向こうで、扉の鍵をくるくる回しながらキラキラと笑っている先輩のおかげ。

ふっ、追いつめられたウサギの気持ちがよくわかるわ。
狼が舌なめずりしながらウサギを睨み竦ませてる、まさにそんな気持ちなのよぉ!

「そろそろ出てくる気にならないかな?」

キラキラ度がまた増してくる。
社長っ! どうしてくれるんですかぁぁぁぁっ!

*****

事務所で敦賀さんに捕獲されてから、社さんとの呼吸は阿吽の呼吸でびっしり詰まっているはずの予定がすべて空いてしまった。

そして私はそのまま連行され、車に乗せられてしまった。
顔は笑っているように見えるけど、怨キョが乱舞してるから、その怒り具合がただ事じゃないのがわかる。
でもこのまま家まで連行されたらどんなイジメにあうかわからない・・・・

「あの、敦賀さん」
「何かな?」

プスチクと笑顔が突き刺さって痛いぃぃぃ!

「あのっ、す、す・・・・」
「す?」

一瞬、突き刺さる雰囲気が柔らかくなった。よしっ!

「スーパーに寄って買い物をさせて下さいっ!」
「・・・・却下」
「えええええっ!」
「君をスーパーに降ろしたら、間違いなく全速力で逃げるだろ?」
「うぅっ!」
「だからマンションの地下のスーパーで俺もついて行くから、いいね?」
「はい・・・・」

ふぅ、とため息が聞こえその後に続いたのは、いつぞや聞いたような言葉達。先程より一層プスチク刺さるトゲが鋭くなり、顔は大魔王が見え隠れしている。

「だいたい君は自分がそういう綺麗な格好で男を誘って言うことがどう言うことなのかわかってる?」
「し・・・・」
「社長の陰謀とはいえ、そんなに綺麗になって男を惑わして、さぞ楽しかっただろうね」
「や・・・・」
「社さんならああやって誘っても大丈夫だと思ったの? 男と二人だけで一つの部屋にいるっていうのは危険なのに」
「き・・・・」
「君の事を考えて言っているんだよ! また軽井沢の時みたいに襲われてからじゃ遅いんだ!」
「つ・・・・」
「俺だっていつだって君を助けに行ける訳じゃないからね。もうちょっと君は自分の魅力に気付くべきだ。大体あの時の思いをするのは二度と御免だよっ」
「い・・・・」
「違うって言うのかい? だったら俺がちゃんと教えてあげるよ」

車の扉に張り付くようにして逃げるのが狭い車内では精一杯。
雰囲気が夜の帝王ですからっ!!!
ぶんぶん顔を横に振って、温度の上がった顔を見られないように座席の頭に顔を押しつけて隠した。
ここで鍵をなくすわけにはいかない!
あくまで演技の為の観察なんだから!

一言ずつしか喋らせて貰えなかったけど、これが男性の嫉妬なのかしら?
男と二人で一つの部屋って、敦賀さん、今のこの車内もそうだし家に入ったらそういう事じゃないんですかっ?

「そのドアはチャイルドロックがかかってるから安心だけど、あまり寄りかからない方がいいよ。結構スピード出してるからね」

そこはにこやかに言う所じゃありませんからぁぁ!
チャイルドロックって何? という疑問は、マンションの駐車場で車から降りるときに開かないドアで解消された。
どこまでも周到に準備されてるぅ。
逃げられないぃぃ・・・・

*****

超高級スーパーでもずっと腰に手を回され、ぎゅうぎゅうと抱きしめられたまま、買い物とも思えない買い物をする事になってしまった。

相変わらずここは全てが高すぎる。
庶民感覚には一切れウン千円という魚や、100グラム千円以上のお肉には縁がない。
レジでもすっとカードでスマートに会計をしながらも、私の腰の手はがっちりと捕まえたまま。

「さあ、行こうか」

にこやかに夜の帝王に笑われても、怖くて笑えないですからっ! それに困るんです、その顔で艶やかに笑われると心臓がドキドキ跳ねて・・・・
違うっ、違うんだったら、キョーコ。
今日は敦賀さんの観察に来たんだから!

部屋に入りドアがパタンと締まり、鍵が厳重にかけられる音がする。

「じゃあ、キッチンお借りしますぅぅぅ!」

ちょっとした隙に手をすり抜けキッチンに駆け抜ける。
お部屋の中を走るのがはしたないとわかっていても、今はそれを気にするだけの心の余裕がなかった。

「ちょっと待って、最上さん!」
「キッチンの場所はわかってますから!」
「そうじゃなくって! 待ってって言ってるだろう!」
「いやぁぁぁっ、そんな怖い顔で追っかけて来ないで下さいぃぃ!」
「君が逃げるからだろうっ!」
「敦賀さんが追っかけてくるからですっ!」

キッチンに入りシンクの上に食材を置くと、更に敦賀さんが追いかけてきて、シンクに両手を張り付けられた。
家の中だというのに二人とも息が荒くなっている。敦賀さんの必死な表情が心をかき乱す。

「待てって言ってるんだ! どうして君は俺の事だけ見ないし、聞かないんだ!」
「つ、敦賀さん! ち、近いです!」
「セツの時はもっと近くにいただろう!」
「あ、あれはそういう役でしたから」
「役ね・・・・役じゃないと俺とはこうして君と一緒にいることもできないの?」

敦賀さんの顔が近づいてきて、額に瞼に鼻に頬にキスを降らせてくる。その唇が私のに近づいた時、ぎゅっと握られた手に更に力が籠もった。

「イタっ・・・・」

つい、痛さに素直な声が漏れた。痛かったのは手だけど、私の心臓もドキドキし過ぎて痛い。寸前で止まった顔がちょっと引いて手の力が抜けた。

「あ、ゴメン・・・・」

その艶やかな顔を見ていたら、観察どころじゃない。嫉妬どころじゃない。男心がどうとかいう問題じゃない。
自分の心臓がその前に壊れてしまう!

するっと身を滑らし、躰から抜け出すとゲストルームではなく、トレーニングルームに立てこもったのだ。
ここなら敦賀さんに対するドキドキもガラス越し。

そう思ったのに、合い鍵を持ってやってきた敦賀さんは艶やかな大魔王国の帝王になっていた!
いやぁぁぁぁぁーーーーーっ!

そして冒頭に話は戻るのだった。

***** 第7話 ケロちゃんにつづく

うふ、私も鬼切り!
そして書き逃げ!
宜しくねえぇぇっ!