ごちそうさん(141)~カレーの菩薩、愛と勘違いのファシズム | 日々のダダ漏れ

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ごちそうさん 第141回
「チョッコレイトな開戦」
~カレーの菩薩、愛と勘違いのファシズム


め以子) すいません。大村さんまで。
大村) かまへん。かまへん。どうせ藤井君に呼び戻
    されとったから。建てるもんぎょうさんあるから、
    小さいじいさんでも働けて。

早速、西門家のバラック造りと、蔵を、
座敷にしつらえる計画が始まりました。

大村) 蔵座敷て、どんな風にしたいんや?
め以子) あ…あの…。
竹元) 奥!




め以子) 竹元さん!?
静) 生きてはったんですか。
竹元) 奥! 大変な事になってるじゃないか!
め以子) ああ…空襲で、焼けて。
竹元) うま介が無くなってるじゃないか!
    どうなってるんだ! どうなるんだ! 焼氷は!

**********

め以子) 何や、えらいこと、焼けてませんか?
静) 先生、独立しはったって聞いてたんですけど。
  それ、どういう事なんですか?
竹元) 無人島だ。
藤井) 無人島で暮らせるんですか?
竹元) 過酷だったが素晴らしい日々だった。住居を
    造り、井戸を掘り、見晴らし台を造り、木の実
    を採取し、海の幸で命をつなぐ。
め以子) そんなん、
     ホンマにできるもんなんですか?
竹元) できるに決まってるだろ! 古代の人々は昔、
    そうやって暮らしていたんだ。空から爆弾が落
    とせるようになっても、無人島で暮らすすべが
    ないとは実に愚かしい。人類とは、進化してい
    るのか退化しているのかわからんな!
    さて、座敷の話だったな、奥!
め以子) ああ、あの…藤井さんと大村さんにお願い
     してるんで、お気持ちは嬉しいんですけど…。
竹元) 私がやってやると言ってるんだぞ。
め以子) いや、あの、竹元さんにお願いするようなモ
     ダンなもんやありませんし。予算も…ねえ。
     そんなにありませんし。
竹元) がっかりだ! 奥! お前は私のことが、全くわ
    かってない! 私は、デパートの、大食堂並み
    の男だぞ! 蕎麦の付け合わせに、ハンバーグ
    ステーキを食せる男だぞ!
藤井) ちょっと…何で、こんなにこの蔵の改築やりた
    がるんですかね。
大村) いや…金かかるもんばっかり建てはったさか
    い、発注ないんとちゃうか?
竹元) そうだ! 建てたいんだ私は! 一面が、焼野
    原だというのに。建て放題だというのに…。
    私の情熱はあふれかえるばかりなのに…。
    このままでは私は、爆発だ!
大村) まあ、ほな、一緒にやりまひょか?
め以子) え、ええんですか?
大村) ああ。モチのロンや。
    何しろ先生は、おもろいもん造らはるし。
め以子) 面白のうてええんやけどなあ。
藤井) じゃあ、あの、ほら、奥さん。
    どうしましょう? あの…ご希望。
め以子) ああ。あの…来てくれはった人が、くつろげ
     たらそれでええんですけど。悠太郎さんやっ
     たら、こう建てる、みたいなんがあると、うれし
     いなあって。
大村) ほ~う。赤門の建てそうな…。
竹元) あのバカの。
藤井) 西門君…。
め以子) 何や、難しいですか?
大村) いやいや、あの、難しいいうか。
    赤門らしさて…なあ?
藤井) うん。
大村) 今一つ…。
竹元) ないんだ。
    あいつには、建築的な個性が何一つ。
め以子) えっ?
大村) とにかく、安全で、頑丈でいう事以外になあ?
    今一つ…。
竹元) こだわりがないんだ!
め以子) せやったんですか?
泰介) ただいま~。
め以子) お帰り。
源太) お、何や? 蔵の相談?
静) よかったら源太さんも知恵出して。
藤井) あっ、大村さん。
大村) 何何?
藤井) そういえば、小学校の窓のうて。
大村・藤井) ああ~。
竹元) あったな。
大村) あったね。赤門、気負い過ぎて。
竹元) 思い詰めて。何も描く事がないと、フルフルし
    ながら言いに来た。あのバカ!
藤井) あれ、倒れん事にこだわりすぎて、ほとんど
    窓のない、校舎になってもうてたんですよ。
竹元) そうだったのか!
大村) ほんで、これ倒れんけど、
    中の人、病気になるでぇて。ヘヘヘへ。
静) 悠太郎さんのやりそうな事やな。
め以子) そうですねえ。
竹元) そうだ! 窓が一つもないというのはどうだ!
め以子) えっ?
竹元) いっそ斬新じゃないか!
大村) ええかも、しれまへんな。
め以子) いやいや…嫌です。そんなん。
     窓ないなんて鬱陶しいやないですか。
源太) せやけど、
    よう考えたら、鬱陶しい男やったしなあ。
め以子) どこが? どこが?
源太) ありもせん浮気疑うて、怒鳴り込んできて。
泰介) えっ、お父さん、そんな事したん?
め以子) あ…いや。うちの女房は、かいらしいんやて、
     昔の話よ。
源太) ほんで、ひったくるみたいに、
    ぬか床持って帰りよったんや。
藤井) ぬか床?
源太) えっ?
藤井) えっ? いや、突然やな。ある日突然や。市役
    所にべにこ来たんや。あれそういう事やったん?
源太) ええ? 聞いてはらんかったんですか?
藤井・大村) うん。
大村) 赤門、恥ずかしい事は、割愛します言うて
    何にも言いよりませんねん。
源太) 柄はでかいのに、
    器は小さいやっちゃですからね。
め以子) 真面目なだけ…。
竹元) いいな、それ!
    蔵は大きいが、座る所は1畳しかないというの
    はどうだ? 空間で、あいつを表現するんだ。
大村) おっ、茶室の発想でんな。
め以子) いや、器が小さいんやないんです。
     常識的な人なんです。常識的な場所に。
泰介) 常識的かなあ?
め以子) ええ?
泰介) 非常識極まりない事して満州送られた気ぃも
    するけどな。
め以子) そこは、情熱家やの。
     普段はわかりにくいけど、実は、情熱家やの。
竹元) じゃあ、赤だな!
め以子) ええっ?
竹元) 情熱の赤。壁面は…赤一色だ!
め以子) 嫌です、そんなん。真っ赤っかやなんて。
静) 安全安全言うても、家内安全の方は、なあ?
め以子) お母さん?
大村) えっ、まさか赤門、浮気しよりましたんか?
め以子) もう、やめましょう。
竹元) 何だその興味深い話は!
源太) いやね、こいつがね、通天閣の、こんな話を、
    こんな大きして、大騒ぎしてなあ。
め以子) やめて。ホンマに。
竹元) いつ? いつ頃の話だ?
静) 一緒にカレー、食べはったやないですかあ。
竹元) ああ。
め以子) もう、やめましょう。
竹元) ああっ! ああっ! ああ~! カレーだ!
め以子) えっ?
竹元) 見えたぞ、奥! カレーだ!
    この空間の決め手は、カレーの女神だ!
め以子) はあ?
竹元) オブジェだ。巨大なカレーの女神が、この空
    間全体を、見下ろすんだ。
め以子) いや、あの…日本的な空間が…。
竹元) じゃあ、カレーの菩薩だ。
源太) どんなやねん!
竹元) カレー色だ。カレー色。カレー色、カレー色、
    カレー色、カレー色、カレー色、カレー色。
    カレーショック! すなわち、彼一色だ。
大村) 「オンリー ユー」っちゅうやっちゃね。
め以子) 絶対嫌です! そんなお座敷。
竹元) 何を言うんだ、奥! カレーの菩薩とは、
    すなわち奥、お前自身なんだぞ。
め以子) ええ…?
竹元) 天空から、あいつの空間を見守るというのは、
    お前なんじゃないのか。これを愛と呼ばずして、
    何と呼ぶ?
源太) まあ、お前、独占欲、強いしな。
め以子) そんな事…。
竹元) そうだ! この空間は、
    お前の愛と勘違いの、ファシズムだ!
め以子) 嫌や…そんな座敷。
藤井) 大変やったやろなあ、西門君。
大村) 大したやっちゃったと思うで、実際。
    ええ男やったと、わしは…。
め以子) あ…あの、大村さん?
大村) はい?
め以子) まだ、亡うなってませんから。
     まだ、亡うなってませんからね、悠太郎さん。
大村) ああ~ハハハッ。すまなんだ。わしも年やね。
泰介) 藤井さん。
    その後、父の事で、何かわかった事とかて…。
藤井) あっ、まだ、満州からの引き揚げが始まって
    ないから、何とも…。
め以子) そうですよね。まだ、情報が…。
竹元) 生きている。
め以子) えっ?
竹元) そう決まってるんだ。あいつが死ぬ訳がない。
    私なら、あいつをそばに置きたくないからな。
    屁理屈で面白みもない。しかもいるだけで物理
    的に、閉塞感が倍増する。そんな男を、そばに
    置きたい神も仏もいるはずがない!
め以子) 竹元さん…。
馬介) ああ~ああ、ああ。め以子ちゃん、
    今日くず芋余ったから持ってきたで。
め以子) ああ。
竹元) マスター!
馬介) はい!
竹元) うま介が無くなってるじゃないか、マスター!
馬介) ああ! 空襲で、ボボボボボッドッカ~ンって。
竹元) どうするつもりなんだ!
    今後どうする考えなんだ、うま介は!
馬介) ああ~まだ、どうするかわかりまへん!
竹元) 今後について、話し合おう、マスター。
    よし行くぞ。マスターこっちへ。
馬介) はい!? はい!? 先生? はい!?
    先生! 先生~!
静) 行ってしもうたな。
泰介) 竹元さんと、お姉ちゃんて、何か似てるなあ。
め以子) えっ、ふ久と?
泰介) 自分が興味ある事にしか、目ぇ向かんのやな。
め以子) ああ~せやね。
大村) せやけど、やっぱり、天才は天才やなあ。
藤井) ホンマは、大好きなんでしょうねえ。
源太) ホンマやな。
め以子) 何がですか?
源太) これ見てみ。



泰介) カレーの女神、おらんやん。
静) 何や、普通やね。
め以子) 何やったんやろう、あれ。
源太) まあ、冗談やったんやろう。
大村) いやいや。そんな事、おまへんで。
    ここ、見てみなはれ。
め以子) ああ。



藤井) 階段、わざわざコンクリートとはなあ。
大村) 粋な事しはるわ。
泰介) わざわざ、手すり。




め以子) これ…。
     あの人、迎えるための、座敷やないですか。

こうして、
蔵座敷の建築が、
始まっていくのでございます。


**********

日に焼けた竹元教授が帰ってきた~!相変わらず
うるさいのはご愛嬌。やはり、独立国家は無人島で
したか…。ごち絵で、そういう予想をされていた方が
いて、まんま当たっていたことに、ちょっと感動…↓
自由国家竹元建国
いや~、どの辺にいたんでしょうね? 南の方なん
だろうけど…。ああ、その無人島を見てみたい~!

ごちそうさんを楽しく観ていらっしゃる方は、
ここから先はスルーして下さいますように。
苦情は一切受け付けません。あしからず。


最終回に向けて、まとめに入ってきた様子。悠太郎
を落としつつ回想、からの~褒め殺し。そして、また
もや、ヒロインをこき下ろす称号の追加。カレーの女
神から、カレーの菩薩へ。アホの仏はカレーの菩薩
に。それにしても、本当に悪趣味な脚本家だと思う。
悠太郎もめ以子も、非常識で迷惑な人間であること
は周りも認識していて、それでもなお愛されていると
言いたいのだろうけれど…。「あまちゃん」の春子の
台詞のようにはならなかった。脚本の力と役者の力
の違いが、こんなにも明確に違いを感じさせるとは。

●春子がアキに言ったセリフ ↓
昔も今も、地味で暗くて、向上心も協調性も存在感
も個性も華もない、パッとしない子
だけど、だけど、
みーんなに好かれたね。
こっちに来て、みんなに好
かれた。
あんたじゃなくて、みんなが変わったんだよ。

●私だったら、め以子にこう言う…↓
昔も今も、貪欲で浅はかで、向上心も協調性も道徳
心も礼儀もない、食い意地しかないアホの子だけど、
だけど、(ドラマの中の)みーんなに好かれたね。
けど、(視聴者)みーんなには好かれなかった。
制作
が、東京から大阪に変わったんだよ。脚本に愛がな
かった。脚本家が、役者を、ドラマを愛してなかった。

あんただけじゃなく、みーんなが、ダメだったんだよ。

め以子の本質、いえ、このドラマの本質は、確かに、
(自己)愛と勘違いのファシズム
そのもの。でもね、自分で作り上げた設定を、わざ
とそう描いているのだと主張してしまうところが、私
はこれだけ頑張っていますとわざわざ主張してしま
うヒロインの中の人とリンクして、勘違いしているん
なんだなあと思ってしまう。勘違いのファシズム。ま
さにそれこそが、このドラマをダメにしたんだろうと。

公言したとおり、全力でふざけているのだろうと思う。
たぶん、ヒロインがいなければ、それなりに笑えるお
芝居にも見えたかもしれない。残念ながら、ヒロイン
には、コメディのセンスが致命的にない。彼女が口
を開くたびに、笑えなくなってしまう。せっかくの密室
劇も台無し。つくづく役者殺しのドラマだなあと、役者
さん達が気の毒になってしまう。悠太郎の中の人は、
出番がなくなって幸いだと思う。何しろ、出れば出る
ほど役者が落とされていくという稀有なドラマだから。


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