「続・最後から二番目の恋」第11話(最終回)~二人で200歳へ!!人生まだまだファンキーだ | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「続・最後から二番目の恋」

続・最後から二番目の恋

第11話(最終回)
二人で200歳へ!!人生まだまだファンキーだ


和平) うわ! びっくりした!
    誰かと思った。びっくりした~。
千明) うわ! びっくりした~。
    すいません。何かすいません。すいません。
和平) おはようございます。
千明) おはようございます。
和平) ああ、びっくりした。
千明) あっ、あっ、あっ、あっ。
和平) えっ?
千明) 見ないで下さいね。
和平) ハハハ。大丈夫ですよ。
千明) 大丈夫ですよ、そりゃ。見ないで下さいって
    言っただけですよ。ていうか今あなた、誰かと
    思ったと言いましたよね?
和平) いえ、別にそういう意味じゃないですよ。
    驚いただけじゃないですか。いや、私が大丈夫
    っつったのも、そんな深い意味ありません。
    だから気にしないで下さいよ。
    一緒に暮らしてんだから。
千明) いや、だから…。
和平) いや、大変でしょ? 疲れるでしょ? だって、
    動線的にあなたの部屋から洗面所行くのここ
    通らなきゃいけないんですから。毎朝見ない
    で見ないでっていうのはさ。
千明) やっぱ嫌じゃないですか。
和平) はい?
千明) こういう姿を、男性に見られるっていうのは。
    初日から。
和平) あっ、これは…。男性と思っていただいて
    ホントにありがとうございます。
千明) いえいえ。いえいえ。っていうか、
    早起きですね。毎朝こんな早いんですか?
和平) 何か、緊張してしまってね。何か、あなたの
    部屋って、あのう、私の上なんですけど、
    何かちょっとドキドキしちゃって。
千明) ドキドキしたとか久しぶりに言われたわ。
    ハハハ。
和平) いや、あなたがいつ暴れて落ちてくるんじゃ
    ないかと思ってね。何か天上見てたら
    ドキドキドキドキドキドキしちゃって。
千明) どんな暴れん坊なんだよ、私は。
和平) いや、このうち大体もう、ガタきてますからね。
    ヘヘヘへ。
千明) まあ私もね、ガタとかきてますけどね。
    っていうかあれなんでしょうかね。
和平) はい?
千明) あのう、結婚なさってる方とかっていうのは、 
    こういう試練を、乗り越えていくんですよね?
    きっとね。 だから若いうちがいいですよねえ。
    スッピン問題なしの時代ね。
和平) ハハハ。
千明) 私なんか
    「ノーメーク、ノーライフ」って感じですもん。
和平) いや、大した問題じゃないですよ。私たちね、
    もうそんなものクリアしてきてますって。大体
    もうほら、長年連れ添った夫婦みたいじゃな
    いですか。
千明) ちょっと。どこがですか。
和平) だって随分前から顔隠すの忘れてますよ。
千明) あっ!
和平) ハハハ。
千明) 見た…。
和平) ひゃ~!
千明) 見たな?
和平) イヤ~!
千明) 見たな~この野郎~っていうか、
    お風呂こっちですよね?
和平) はい、そっちです。
    それであのう、まっすぐ行っていただいて。
千明) はい。はい。
和平) あのう、右側の。
千明) 右側の。
和平) 最初の扉。
千明) はい。

(ドアの開く音…何かが落ちる音)
和平) そこ物置ですから開けないで下さいって、
    言おうと思ったのに。
千明) ちょっと、ちょっと。何かこれ、今落ちてきた。
    これ、開いちゃいましたよ。何なの?
和平) ハハハハハ。おめでとうございます!




千明) ちょっと。いたずら坊主か、あんたは。
和平) 楽しいですね。一緒に暮らすの。
千明) まあまあまあ、楽しいですよね。
和平) ずっと一緒に暮らしますか。
千明) ちょっと。
和平) えっ?
千明) 何だよそれ? 遠回しのプロポーズかよ~!
和平) ハハハ。あのう、洗面所そこ入って。
千明) こっち?
和平) あのう、最初の扉。
千明) あっ、はい。でももう、信じてないですから。
    ねっ、見え見えだもんね、これ。

(ドアの開く音)
千明) あら、ホントだわ。
和平) でしょ?
千明) はい。
和平) どうぞごゆっくり。
千明) はい。すいませ~ん。
和平) おめでとうございま~す。
千明) おめでとうございま~す。


**********

典子) よりが戻ったからって楽しくなんかないわよ。
    っていうか、「より」って何よ?
真平) 知らないよ、そんなの。
和平) よりっていうのはな、よくほら、糸をよるってい
    うじゃないか。ねじり合わせるみたいな意味だ
    な。もともと糸っていうのはさ、蚕から採れて1
    本1本はすごい細いんだけど、それを束にして、
    ねじり合わせることによって、1本の強い糸に
    するわけだよ。だからほら、そのう、よりが戻る
    とかっていうのはさ、ばらばらになったものが、
    もう一編ねじり合わせることによって、こう仲良
    くなるとか、元に戻るとかそういう風に使うわけ
    だよ。
典子) だから?
和平) だから?って。
    お前が聞いたから答えたんだろうが。
知美) 国語の先生か!
和平) それは何? 俺を褒めてくれたわけ?
    ツッコミ? どっち? いやさ、あのう、ツッコむん
    だったら、金八か!とかでしょ。あの、吉野さん
    うまいから、そういうの聞いた方がいいよ。

**********

千明) だから私は、結婚をする、
    準備と、自信はあるんですよ。
和平) へえ~。
千明) ちょっと。何でそんな意外そうな顔して
    見てるんですか?
和平) いやいや、そういう…。
千明) でもさっきからへえ~へえ~へえ~って。結
    婚について私が語るとそんなに意外ですか?
和平) いや、そういうわけじゃ。
千明) わかってないな。ってかやんなっちゃうね。こ
    れだけ付き合ってきて、随分私たち語り合った
    ですよね? それなのに私のこと全然わかって
    ないんですね。
和平) 何でそういう風な話になるんですか。
千明) だってそうじゃないですか。
和平) いや、そうじゃありませんよ。いや、私はあな
    たのことをね、わかろうとしてきましたよ。
千明) へえ~。
和平) 今でもしてますよ。ただほら、こうやって結婚
    については、ちゃんと伺ったことなかったじゃな
    いですか。
千明) まあね。
和平) だからまあ、今の話聞いててね、そういう風に
    思ってんだなあと、思っただけですよ。
千明) ふ~ん。
和平) じゃあ逆に聞きますけどね。
千明) はい。
和平) 妻と死別をした、52歳の男が再婚結婚につい
    て、どう思ってるかわかります?
千明) そんなの、わかりませんよ。
和平) お互いさまじゃないですか。わかんないなら。
千明) じゃあどう考えてらっしゃるんですか?
和平) したいですよ。心のどっかでは。でもしなきゃ、
    不幸だとは思ってません。まあでも、このまま
    一人で生きていくのはさみしいだろうなと思うし、
    一緒にいて楽しい人と、一緒に暮らしたいなあ
    と思います。
千明) へえ~。
和平) ほら。あなただってちょっと低めに
    へえ~って言ったじゃないですか。
千明) 吉野千へえ~です。
和平) 何だそりゃ? 面白くねえ。
千明) 嘘。ウケてる。ウケてる。
和平) いや、それは…。
典子) 千へえ~だって。
薫子) じゃぁあ…
和平) はい?
薫子) お2人が結婚すればいいじゃないですかぁ。
千明) ちょっと。何言ってんの。
和平) 何言ってんですか。

**********

和平) 武田さんが仰ってることを聞くと、まあ確かに
    理不尽だなあとは思います。
武田) ですよねえ。
和平) ただ、あのう、私50過ぎて今市役所でね、2つ
    の、課長を兼務させて頂いてるんですけど。や
    っとわかった事があるんです。人が働く場所は、
    どんな場所も、現場なんだって。いや、ふざけ
    んじゃねえ。やってらんない。上のやつらなん
    て現場のことは何にもわかってないんだって。
    皆さんそう思われると思うんですよ。いや、私
    もそう思ってきました。でもね、こうやって、朝
    から皆さんが、準備して撮影する場所も現場
    なら、その滅茶苦茶な事を言ってくる…えっと。
千明) あほ部長?
和平) あっ、いや、部長さんがいる場所も、現場な
    んです。それはあのう、社長も。我々からした
    ら市長も、おんなじなんですよ。みんな現場で
    働いてる。それぞれの現場には、出来ることと
    出来ないことがあって。それぞれにやってらん
    ねえよ。ふざけんじゃねえって、思うことがあっ
    て。間違ってるってわかってるけど、やらせな
    きゃならないこと、やらなきゃならないことがあ
    る。それはあのう、別に、会社とか、役場とか、
    そういう組織だけじゃなくて、家庭の主婦なん
    かも、おんなじなのかもしれませんね。いや、
    もちろんね、そんなつらい事のない上の上の
    上の世界があるのかもしれませんし。まあ下
    々の者働かせて、うん、何かこう、面白おかし
    く、生きてる人もいるのかもしれない。でもね、
    そんな人も、我々から見たらそう見えるだけで
    あって、きっとたくさんの、大変な現場を乗り
    越えて、その地位に、立ってるんじゃないかな
    って。そういう風に、思えるようになったんです
    ね。人それぞれには、それぞれの立場があっ
    て、それぞれの現場があるんだって。
    …うわ。ごめんなさい。何か、ホントに面白くな
    いこと言っちゃって。ホントにすいません。
千明) いえいえいえいえ。
和平) ごめんなさい。
千明) 何か、ちょっと、あれですよ。
    目から、うろこ、落ちました。
和平) はい?
千明) こうなったらさ、もういっそカッコよく働いて
    やろうか。その、上の人たちのために。
    ねえ、武田。
武田) はい。
千明) 滅茶苦茶なこと言われてもさ、そちらはそちら
    で大変なんですよね。こちらの現場は任せとい
    てください。事件は会議室でも起きてるんです
    よねえって言ってやろうか?
一同) はい。


**********

市長) 台本、熟読させていただきました。
    泣きました。素敵な恋のお話でした。
千明) ありがとうございます。
市長) 私は、ヒロインよりも二番手の女性に感情移
    入してしまいました。実ることのない片思い。
    切ないです。私も現在片思い中でして。
    ああっ!
万理子) うん!? うん?
市長) 長倉さん、申し訳ありません。女性というもの
    は、恋する気持ちを、内緒にできない生き物な
    んですね。
万理子) あの、私、市長に共感致します。
市長) えっ? えっ? あっ…。
和平) いや、私の妹なんですよ。
市長) ああ。
万理子) 私も、絶対に成就することのない片思いを
     しております。この方に。
千明) ああ、そうなんです。
市長) えっ?
千明) されているのです。すいません。
万理子) ですから、その状態でいられることに感じ
     る幸せ。非常によくわかります。たとえ恋が
     成就することはなくても、好きな方のそばで
     生きているということは、とても幸せなことで
     ございます。ですからお兄ちゃんにはずっと、
     優柔不断男のままでいて頂きたい。
     たとえ、片思いでも恋は恋です。
     そして、恋は人生に彩りを与えてくれます。 
     私はそれだけで幸せなのですが、
     その方を幸せにすることは出来ない。
     それはとても切ない感情でございます。
     しかし、切なくない恋などあるのでしょうか? 
     はっ! そう考えると、永遠の片思いというの
     は、ずっと恋の醍醐味を体感できるという事
     になります、市長。
市長) ありがとう。そうですね。ありがとう。
千明) 万理子。
万理子) はい。
千明) 一つだけ間違ってる。
万理子) はっ?
千明) たとえその恋に応えることができなくても、
    誰かに愛されているということは、私に力を与
    えてくれている。だからあなたは、私を幸せに
    してくれている。
万理子) 千明さ~ん。
千明) ああ、よ~しよし。よ~しよ~し、よしよし…。
市長) 私決めました。
    次の選挙も立候補致します。そして、長倉さん
    にず~っと秘書をやってもらいます。


**********

典子) 何かお父さんの帰りを待ってる
    子供たちみたいだね。
和平) ハハハハ。ホントだな。
    もうすぐお父さん帰ってくるよ~。
千明) ただいま~。
万理子) ただいま戻りました。
典子) おかえり~。
真平) おかえりなさい。
千明) 何この感じ? 何か嬉しいんですけど。




和平) お帰りなさい。今日も一日お疲れ様でした。
千明) みんなもご苦労だったな。
和平) ハハハハハハハ。


**********

和平) ここの家はね。
千明) はい。
和平) 両親が建てたんですけどね。
千明) すごい素敵な建物ですよね。
和平) ありがとうございます。
    何か親父がね、この、大きいリビングに
    こだわって造ったらしいんですよ。
千明) ふ~ん。
和平) お泊りになってわかると思うんですけど。
千明) はい。
和平) それぞれの部屋は
    そんなに大きくないんですよ。
千明) うん。ちっちゃい。
和平) ちっちゃい?
    でも、このリビングだけは広いんですよ。それ
    が、いいんだっていうのが親父の考えで。もう
    酔っ払うたんびにその話ずいぶん聞かされた
    んですよね。家族が、まあ、家族じゃない人た
    ちが、家族のように、常にここに集まって、ワ
    イワイワイワイやってるのが、親父の理想だ
    ったらしいんですよ。
千明) へえ~。
和平) フフッ。ちょっと忘れられないことがあってね。
千明) はい。
和平) まだ私が小さい頃なんですけど。
    多分夜中に、あれトイレに起きたんでしょうね。
    で、その日はね、みんなでワイワイ、
    ものすごい宴会の後だったんですけど。
    そこを通りかかったら、親父とおふくろがね。
    典子、お前別にエッチな話じゃないからな。
典子) わかってるわよ。バーカ。もう。
千明) ホント?
典子) ホントよ、もう。
和平) あそこの、ソファーでね、2人で寄り添って寝
    てたんですよ。ただ、それだけだったんですけ
    どね。寄り添って、何か、2人が笑ってるみた
    いで。子供ながらに、2人がすご~く幸せそう
    に見えて。今さ、真平がここでカフェやってくれ
    て。夜になったら吉野さんとか、大橋さんが来
    てくれて。こうやってみんなでワイワイ食事が
    できるって。それよかったなあって。
千明) うん。あら、もう一人来ましたよ。
    サブロー。来たの、お前も。
典子) ああ。サブちゃんだ。
千明) ってか、こっちにも来てたんだね。
    サブちゃんね。よいしょ。
和平) もうみんな大人になったから、
    話してもいいかなあ。
典子) 何よ?
真平) ねえ。
和平) いや。この家をさ、手放そうと思ったことがあ
    ったんだ。親父とおふくろが、この家残してくれ
    てさ。俺たちきょうだい4人は、住むところに困
    らなかったし、ありがたかったんだけど。さす
    がにちょっと、金銭的につらい時があってさ。
    まあ、ここを売って、きょうだい4人で住める小
    さな部屋を借りて。残ったお金は、生活費とし
    て貯金しようかなとか。いろんな事考えたんだ
    よ。一人で悩んで、このリビングで悶々として
    る時に、ふって見たら、そのテラスを、とことこ
    とことこって1匹の猫が来たんだよ。俺達がさ、
    時々ほら、餌やってた、野良いたじゃない?
典子) ああ。
和平) ほら、万理子に懐いてお前が可愛がってた。
万理子) はい。シタールです。
和平) シタール。
典子) シタールだ。そうだそうだ。
和平) あいつだったんだけどさ。俺の方見て、餌ちょ
    うだ~いみたいな顔して、あそこにちょこんと
    座ってな。それ見てたらさ、ここ売ったりしたら、
    もうこいつ、ここに来れなくなるんだなあって。
    ここに住んでんのはさ、俺たちだけじゃないん
    だって。フッ。それで、売るのやめたんだ。
    今思ったら、手放さなくてよかった。
    猫のおかげだね。
千明) だって。




典子) よかった。
和平) うん。
真平) さすが兄貴。
和平) 何言ってんだよ? お前。
万理子) 心から感謝いたします。
和平) いやいやいや。
翔) 俺、伯父さん目標にするわ。
和平) おっ。
典子) ちょっとハードル低過ぎない?
和平) 何だそれ? どういう意味なんだよ? お前。
    ハードル低いって。
えりな) あのう。
    私、タイムマシンとかで過去に行って、
    その頃の長倉和平を、褒めてあげたいです。




典子) んっ。やだもう。
和平) 何だよ? お前。
典子) もう。兄ちゃんが泣くから。
和平) 泣いてねえだろ。バーカ。
典子) えりな、大人になったね。もう。
和平) 泣いてねえよ。
真平) 典姉、大丈夫?




人が大人になるということは、
それだけ多くの選択をしてきたということだ。

何かを選ぶということは、
その分、違う何かを失うことで。




大人になって何かをつかんだ喜びは、

ここまでやったという思いと、
ここまでしかやれなかったという思いを、
同時に思い知ることでもある。




でも、そのつかんだ何かが、
たとえ小さくとも、
確実にここにあるのだとしたら、
つかんだ自分に誇りを持とう。




勇気を出して何かを選んだ、
過去の自分を褒めてやろう。
よく頑張って生きてきた。
そう、言ってやろう。




そして、これからを夢見よう。



世界を嘆くのではなく、
世界を信じるんだ。

私だって、
その世界の一員なのだから。






48歳の若造は、
今、そんなふうに思う。

人生とは、
自分の未来に恋をすること。




一人でするのがつまらなければ、
誰かと一緒に、未来に恋をしよう。



友であれ、恋人であれ、
夫婦であれ、家族であれ、
隣りに気の合う誰かがいてくれさえすれば、
人生はさらに、ファンキーになるはずだ。






**********



千明) あぁ~でもやっぱりいいですねえ。長倉家は。
和平) そうですか?
千明) うん。
和平) ありがとうございます。
    でも、あなたのおかげですよ。
千明) 私?
和平) うん。私は以前からずっとここで生きてきまし
    たけど、あなたが越してきてから、止まってた
    時計がね、動きだしたような感じがします。
千明) へえ~。
和平) でもその時計は、正確な時は刻んでない。
    時々ものすごい速さで回ったりするんですよ。
千明) まあ、ファンキーな時計ってことですかね。
和平) そうですね。フフフ。
千明) フフフ。すいませんねえ、何か。
和平) いえいえ。とんでもない。楽しいですよ。
    ファンキーってだってそういう意味でしょう?
千明) まあそうです。
和平) ああ。
千明) でもやっぱりね、いいんですよ。長倉家が。
    つまりは、長倉和平がいいんじゃないですか。
和平) おっ。
千明) あったかいんですよねえ。
    でも何か、温泉みたいなあったかさとは違って。
    何ていうのかな? う~ん。
    生ぬるいっていうのかな?
和平) 生ぬるい。全然褒めてないじゃないですか。
千明) 何でよ? 褒めてっしょ。
和平) 何でよ?って。だって生ぬるいって、
    いい意味で使われないでしょう?
千明) だって温泉みたいに熱かったら
    ずっと入ってらんないでしょう? 
    のぼせて倒れちゃいますよ?
和平) いや、そう…。
千明) 生ぬるいぐらいがちょうどいいんですって。
和平) ホントですかね? それ。
千明) ホントですよ。
和平) じゃあ、じゃあですよ。
千明) うん。
和平) じゃあ、生いらないっしょ?
    ぬるいでいいじゃないですか。
千明) え~? ぬるい?
和平) ええ、ぬるいで。
千明) いや、ぬるいじゃないのよ。やっぱ生が
    ついた方がいい感じがするじゃない。
和平) えっ?
千明) 生搾りとかさ、生レモン。
    生ビールもそうだけど。
和平) そっちはいい。
千明) ねっ? 何かちょっとおいしそうじゃない?
    しかも、生きるって書くんですからね。生って。
    生きてるって感じするじゃないですか。
和平) ぬるいが生きてる~ってこと?
千明) そう。生ぬるい男、長倉和平。
和平) 何じゃそりゃ?
    どうも、生ぬるい長倉でございます。
千明) どうもどうも、みたいな。
和平) 何言ってんだ。
千明) いやぁ、ホントにねえ。熱いのはきついもう。
    この歳になると。生ぬるくていいんだよ。
    だからあなたモテてるんですから。
和平) 私モテてます?
千明) モテてるじゃないですか。
和平) そうですか?
千明) しらじらしい。
和平) 何ですか? しらじらしいって。
千明) まあ、でもまあ、
    私もうれしいですけどね、モテてる方が。
和平) うれしいですか?
千明) はあ。いやだからほら、ねっ。人気のないレス
    トランとかって、予約なくてもすぐ坐れたりする
    じゃないですか。でも出てくるものは大概まず
    いみたいな。うまくないみたいな。そんな感じ?


**********

千明) つうかね…。
和平) あっ、うまい。
千明) 何なんすかね? 最近のあんたは。
和平) 何なんですか?って何がですか?
千明) 何なんですかってあれっしょ。何かあのう。
    このまま一緒に住みましょうよとかさ。
和平) うん。
千明) まるで老夫婦みたいですよねって。
    何なんだよ? それ。なあ。
和平) 何なんですかって別に意味ないですよ。
千明) 意味ねえのかよ。意味なく言うなや。
    何か、意識したじゃねえか。
和平) えっ? 意識しちゃったんですか?
千明) したわ~。
和平) ハハハハハ。
千明) 意識したわ~。
和平) 何が、意識したわ~だ。
千明) つうか。
和平) うん。
千明) いいか? 長倉和平。
和平) うん? はい。
千明) ずっと私のそばにいろよな。
和平) うん?
千明) そばにいろっつってんだよ!
和平) ええ。いますよ、そりゃ。
    隣りに住んでんですから。
千明) つまんねえな。そういうことじゃねえんだよ。
和平) わかってて言ってんだっつうの。
千明) わかってんなら言うなよ。
和平) じゃあ、吉野千明。
千明) おう。
和平) お前こそそばにいろよ。わかったな?
千明) いるよ。だから。
和平) うん。
千明) 隣りなんだから。
和平) いやぁ~。面白くねえ。それ面白くねえ。
    確かに。確かに面白くない。
千明) なあ?
和平) うん。面白くない。
千明) つうかね~私こんなに長く生きてんだけど
    されたことねえんだよねえ。
和平) うん? 何をですか?
千明) えっ? プロポーズだよ。
    お前悔しかったらしてみろよ。私にプロポーズ。
和平) いいですよ。
千明) おっ!
和平) 俺と結婚しろ。吉野千明。
千明) 嫌だね。ヘヘヘ。
和平) 断りやがって。
千明) だってそういうことじゃないでしょ。
和平) わかってて言って。
千明) わかってんなら言うなっつうの。
和平) わかってて言ってんだよ。この野郎。
千明) わかってんなら。フフフ。
和平) でも吉野千明。
千明) うん。
和平) これだけは、言わしてもらう。
千明) 何だよ?
和平) ちょっと、お前の耳の穴かっぽじってよく聞け。
千明) よし。聞こうじゃねえか。
和平) 他の男と、結婚することだけは
    絶対に許さねえ。わかったか?
千明) わかりました。そんな予定もございませんが。
    フフフ。残念…。
和平) よし。よし。わかった。
千明) よし。残念だな。
和平) ジャガジャン。
千明) ジャガジャンだな。
    っていうか、もう、長倉。おいおいおい…。
    もう何かちょっとぎゅって抱きしめるとか
    そういう事出来ないのかよ? そろそろ。
和平) バカだね。
千明) バカじゃねえよ。バカかな? バカか?
和平) 今、今やろうと。いつやるの?
千明・和平) 今でしょ。ハハハ。
千明) 古い。しかもちょっと。
和平) 古い。今俺はここで、やろうと思ってたわけ。
千明) 嘘だね。
和平) ホント。それを言うから。
千明) 嘘だよ。
和平) よし。待ってろ。
千明) 何だよ?
和平) お前から来い。
千明) いやいや。お前から来いよ。
和平) 吉野千明、来い。
千明) やだ。いいよ。だから。
和平) いいから来い。早く。
千明) 冗談だし。
和平) 冗談とか言わねえで、こっち来い。
千明) いいよ。いいよ。
和平) 何で?
千明) 私お酒飲むわ。お酒。









千明) フフフ。
和平) ハハハ。

(叩く音)
和平) 痛っ!? 脇ひっぱたいた、こいつ。
千明) ああ~和平さん。
和平) 千明。
千明) ハハハ。無理。
和平) 無理とか言うな。この野郎。


**********

人生って、
何が起こるか分からない。
だって、46歳の私より、
48歳の私の方が、若い気がする。




吉野千明、48歳。
長倉和平、52歳。
足して100歳。
こうなったら、
目指せ、2人合わせて200歳。



人生、まだまだファンキーだ。


**********

(最終回の感想なので、ものすご~く長くなります)

早く最終回が観たいような観たくないような、和平と千
明の恋のゆくえを、知りたいような知りたくないような。
何とも複雑な気持ちのまま迎えた最終回。はぁあ…。
終わっちゃった。実に、「最後から二番目の恋」らしく。
想定内の終わり方ではあったけれど、想定した以上
に、よかった。はぁあ…いいもの観せてもらったよ~
っていう、何とも言えない満足感といいますか、幸福
な脱力感に包まれた…ファンキーな最終回でした♪

それにしても、何て濃密な時間だったことか。ハイテ
ンションなやりとりが最初から最後まで続くという、2
話分はあるんじゃないかという、贅沢な台詞の数々。
一言も聞きもらせない、書き起こさずにはいられない
言葉の力に圧倒された。予告でドキドキさせられた、
あの「ずっと一緒に暮らしますか」も、冒頭いきなり出
てきちゃうしw まだまだ序の口、お楽しみはこれから
だ感が満載で。長年連れ添った夫婦のように馴染ん
だ2人の会話が楽しくて、二階の柱に刻まれた家族
の背比べの跡が見えたりするのも、長倉家らしくて。
(くすだまを持った和平の写真(右側の柱)を参照)

人が働く場所は、
どんな場所も、現場なんだって。

(by 和平)

この和平の言葉は、年をとってこそわかることだなあ
と。上に立つ者のいる場所もまた、現場なのだという
こと。課長の、部長の、社長の現場がそれぞれにあ
って、主婦にも、主婦の現場がある。人が働く場所は、
どんな場所も現場だって、そう考えると、それぞれの
現場で出来る事を、やれる事を、それぞれが頑張る
しかないんだよね~と思えてくる。自分だけが大変だ
と思うより、みんな頑張ってると思う方が前向きかも。
事件は、会議室でも台所でも起こっているのだから!

和平の熱弁は市長を泣かせ、そのまま万理子の千
明愛を炸裂させることに。千明の台詞は、万理子が
コンクールに応募する際の決め台詞となる展開に。
(でも、あれは絶対セリフを書ききれてないと思う!)

たとえその恋に応えることができなくても、
誰かに愛されているということは、
私に力を与えてくれている。
だからあなたは、私を幸せに
してくれている。
(by 千明)

うんうん。人に愛された記憶、愛されているという事
は、今だけじゃなく、未来の自分も幸せにしてくれる。
老後に思い出す、ささやかな楽しみといいますかw
恋した記憶も、愛された記憶も、時がたてばたつ程
甘く切なく美しい思い出になる。それが片思いでも。

そしてまるでお父さんを待つ子供たちのように、みん
なに迎えられた千明の図にホロっときて、その後の
和平の語りに泣かされ。えりなの「私、タイムマシン
とかで過去に行って、その頃の長倉和平を、褒めて
あげたいです」、の台詞で、あっという間に涙腺決壊。
和平に同化し、典
子になって嗚咽してしまった。えり
なだけじゃなくみんなで、その頃の和平を褒めてあ
げたかったよ! 本人の写真を使ったと思われるそ
れぞれの若い頃の写真が楽しくて。貴一さんの、い
や、和平さんのロン毛写真にニヤニヤ。それぞれの
子供時代から、アルバムにはいつしか千明が加わ
って、知美・知美母も加わって。家族が増えていく歴
史を、一緒に見ると言う時間がまた、あったかくて…。

最後の2人きりのやりとりが、実に千明と和平らしか
った。お酒の力を借りた2人が、抱擁にいたるまでの、
48歳と52歳らしい、照れ屋で不器用な姿が愛おしく。
和平が子供の頃見たという、両親の幸せそうな姿に、
千明と和平が寄り添って眠る姿を重ね合わせるとい
う、何とも憎い演出。余計な台詞はいらない。それだ
けでもう、2人の未来が見える。そう、私たちは、タイ
ムスリップして、子供の頃の和平が見た両親の姿を
見ているかのように、2人の姿を目撃したのだから!
ソファーで眠る2人はすご~く幸せそうに見えたよと
いつか、また、語られる日が来るんだろうなあって。

おとぎばなしのような、「大人のサザエさん」が終わっ
てしまった。またいつか、サザエさんちをこっそり覗き
見させてもらえる日が来ることを、切に切に願います。

人生、何が起こるか分からない。自分の未来に恋す
ることをやめないで、ファンキーを楽しみたいなあと、
思わせてもらいました。人生まだまだ…これからだ♪


「最後から二番目の恋」関連ブログ↓
「最後から二番目の恋」関連ブログリスト

●「最後から二番目の恋」HP


ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪


にほんブログ村


フジテレビ系ドラマ「続・最後から二番目の恋」オリジナルサウンドトラック/ポニーキャニオン
¥2,700
Amazon.co.jp
T字路(初回限定盤)/ビクターエンタテインメント
¥1,620
Amazon.co.jp

She was a boy (国内盤:解説・歌詞対訳付き)/プランクトン
¥2,592
Amazon.co.jp
最後から二番目の恋 (扶桑社文庫)/扶桑社
¥756
Amazon.co.jp